2010年3月21日(日)「しんぶん赤旗」

核密約廃棄し「非核日本」へ

神戸方式35周年のつどいで不破氏が講演


 入港するすべての艦船に「非核証明書」の提出を義務づける決議が1975年3月18日に神戸市議会で可決されて35年となることから、同市内で、「非核『神戸方式』決議35周年記念のつどい」(主催・同集会実行委員会、後援・神戸市など)が20日から2日間の日程で始まりました。初日は日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長が講演し、「核密約を廃棄し、非核三原則を国土全体で現実のものにしてこそ、世界に被爆国の声を発信できる」と訴えました。会場あふれる800人以上が参加しました。


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(写真)不破哲三・日本共産党社会科学研究所所長が記念講演した、非核「神戸方式」決議35周年のつどい=20日、神戸市

 不破氏は、「非核の日本」の展望がたたかいいかんで現実のものにできる時代が開けつつあるとのべ、そのためには「核密約の鎖を断ち切ることがどうしても必要だ。そこに『非核の日本』への関門、突破口がある」と強調しました。

 外務省が9日に公表した「密約」調査結果で、1960年の日米間の合意文書「討論記録」を公式文書と認めながら、「密約」であることを否定したことについて、「いくら調査しても、日本が米軍の核戦争基地にされている現実に指一本触れないのでは、旧自民党政権と何も変わらない」と批判しました。

 そのうえで、「核密約」の真相について、米国の核戦争計画との関係で日米関係史から解明するとともに、現状と打開の方向を縦横に語りました。そのなかで、不破氏は、核搭載艦船・航空機が自由に出入りする権利を、米国の「条約上の権利」として認めた「核密約」にこそ安保改定交渉の一つの核心があったと強調しました。

 また、数々の「密約」弁護論を批判。「核艦船の寄港は過去の問題」という議論についても、米国は91年に艦船からの戦術核撤去を表明したものの、94年の「核態勢見直し」で攻撃型原潜への核トマホーク配備能力を維持する政策に転換したと指摘。核搭載能力を持つロサンゼルス級攻撃型原潜が今年の1月、2月にも日本に寄港を続けている実態を告発し、「政府は米国の核戦略を読み違えている」と批判しました。

 不破氏は、日本の核基地は日本を守る「抑止力」ではなく、非核保有国への核の脅しをかける「侵略力」であると指摘。「これを見ないふりで、放置したまま、核兵器廃絶を主張して、だれが耳を傾けるだろうか」とのべ、「核密約の存在が明白になったいま、被爆国日本のとるべき道は核密約の廃棄しかない」と力説しました。

 非核神戸方式について、「核密約を廃棄した後の日本では、米艦船・航空機は事前協議を申し出るか、自分で非核証明をするか、どちらかを選ばないわけにはいかないことになる。非核神戸方式が日本全体に広がることだ」と指摘。「神戸の知恵が、非核日本の前途を照らし出している」とのべ、大きな拍手に包まれました。

 集会では、神戸市の矢田立郎市長があいさつ(代読)。「非核の国ニュージーランド」のバーニー・リチャーズさん、「フィリピン・ストップ戦争連合」のコラソン・ファブロスさんが発言しました。



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