2010年3月15日(月)「しんぶん赤旗」

中国全人代が閉幕

温首相「公平・正義」を強調


 【北京=山田俊英】5日から北京で開かれていた中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第11期第3回会議は14日、今年の施政方針を示した政府活動報告や予算、選挙法改正などを代表(議員)の賛成多数で採択して閉幕しました。閉幕後、温家宝首相が記者会見し、「わが国の発展のためには経済建設だけでなく、社会の公平と正義を推進しなければならない」と強調しました。

 温首相は格差問題での質問に答えて「中国社会には多くの不公平な現象、所得分配の不公平、司法の不公正がある」と指摘。「農村や中西部を見てほしい。上海や北京の発展が中国を代表するものではない」と語りました。

 その上で「正確な経済学と高尚な倫理学は不可分だ。貧しい人たちや弱者を重視すべきだ。彼らがまだ社会の多数なのだ」と表明しました。「中国が中進国になるのは今世紀の中ごろ。真の現代化にはまだ100年かかる」との見通しを示しました。

 中国経済の現状については「企業経営は基本的に好転していない。政策に支えられている状況だ」と説明し、今後は経済発展、構造調整、インフレ対策の三つに目配りする考えを明らかにしました。

 外交については「各国とともに公正で合理的な新しい政治経済秩序を築くため努力したい」と希望しました。特に米中関係は「最も重要な外交関係だ」と指摘した上で、オバマ大統領のダライ・ラマ14世との会見、台湾への武器売却計画を改めて批判。米側に関係改善の努力を求めました。

 人民元の為替問題については「金融危機で人民元相場が安定を保ったことが世界経済の回復を促進した」として今後も安定を重視する考えを表明。「人民元は過小評価されていない」として、人民元切り上げの圧力が強まっていることについて、「互いにののしり、ましてや相場上昇を強制することには反対する。むしろ制度改革に不利に作用する」と反論しました。


ゆとり社会実現へ格差の是正を急ぐ

 【北京=山田俊英】中国経済が回復しつつある中で開かれた今年の全国人民代表大会(全人代)は例年に増して格差是正を強調した会議になりました。「2020年までに小康社会(いくらかゆとりのある生活水準)を全面的に建設する」という国家目標の実現に向けた課題も浮き彫りにされました。

 会議の中で農村の貧困、余剰労働力と人手不足が混在する矛盾した雇用情勢、内需不足などが指摘されました。

 「農民の間で全人代への期待は強い。第一の関心事は穀物の政府買い上げ価格の引き上げ。それに医療、年金だ」

 国・地方の人事交流で河南省の農村に派遣されている知人の研究者が、このような話を伝えてきました。全人代で採択された方針にはこれに応えた内容がありました。

 討議の中で国に対するさまざまな要求が出され、全人代が立法機関として力をつけていることがうかがえました。記者団に一部公開された討議だけでも農村戸籍の改革、中小企業・農民向け金融の整備、教育条件の向上など暮らしにかかわる意見が多く聞かれました。

 国営新華社通信が発行する雑誌『瞭望』によると、住宅の権利を新設する憲法改正、ごみ焼却に関する法や公務員財産申告法の制定など代表からの立法提案が増えました。

 ただ、先の道のりには依然として厳しいものがあります。昨年、国家統計局が発表した「小康社会」達成度は75%。豊かな沿海部と貧しい内陸部の「二元社会」が障害になっているといいます。目標期限まであと10年。次期指導部を選出する共産党第18回大会まであと2年に迫りました。


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