2010年3月3日(水)「しんぶん赤旗」

10年度予算案に対する

笠井議員の反対討論

衆院本会議


 衆院本会議で2日、笠井亮議員が行った、2010年度予算案に対する反対討論は次の通りです。


 私は、日本共産党を代表して、2010年度総予算3案、自由民主党・改革クラブ提出の編成替えを求める動議にともに反対の討論を行います。

 今度の予算案は、昨年の総選挙で、国民が自公政権を退場させ、鳩山政権が発足した下で、初めて編成されたものであります。それだけに、予算案をめぐっては、「政治を変えたい」との国民の願いにこたえ、旧来の政治をどう転換し、国民のくらしと日本経済をどう立て直すかが、するどく問われているのであります。

 また、鳩山総理、小沢民主党幹事長という政権のトップにかかわる「政治とカネ」が大問題となりましたが、「政治とカネ」をめぐる疑惑の真相を徹底解明し、その政治的道義的責任を明らかにすることは、国民の政治に対する信頼を回復するため欠くことのできない、国会の責務であります。したがって、今回の予算審議には、こうした二つの課題にこたえる徹底審議こそが求められたのであります。

 ところが民主党は、小沢幹事長をはじめ関係者の証人喚問にはいっさい応じず、疑惑を解明し政治的道義的責任を明らかにすることに背を向け続けたのであります。他方、自民党は、そうした民主党の姿勢を批判して審議拒否に走りました。これらのことが徹底審議に水を差したことを厳しく指摘をしておきたい。

 しかも看過できないことは、先週末、民主党が、自民・公明両党との国対委員長間で、3月2日中に予算の衆院通過をはかることで合意し、前代未聞の確認書までとりかわし、一連の審議・採決日程を各委員会に押し付けたことであります。かかる身勝手なやり方は、国会の民主的運営をふみにじり、徹底審議に逆行するものであって、断じて容認できません。

 次に、本予算案そのものについてであります。

 いま必要なことは、経済危機から国民の暮らしをまもり、日本経済を立て直すために、大企業の巨額の内部留保と利益を社会に還元させて雇用・中小企業をまもること、自公政権が続けてきた社会保障削減路線による「傷跡」を是正するために社会保障の拡充をはかること、軍事費と大企業・大資産家減税という「二つの聖域」にメスを入れて財源を確保し、庶民増税の不安を解消すること―この「三つの転換」であります。

 ところが本予算案は、こうした政治の転換にふみだすものになっていません。

 第1に、自公政権が続けてきた社会保障削減路線による「傷跡」を是正するものになっていないことです。

 後期高齢者医療制度は、その廃止を先送りしたうえに、総選挙後、約束していた保険料の負担軽減策も実行していません。保険料値上げなどによる制度の被害をさらに拡大しようとしているのであります。後期高齢者医療制度は、すみやかに廃止すべきです。

 障害者自立支援法の「応益負担」も、中途半端に残すのではなく、医療費の窓口負担をふくめ、ただちになくすべきです。

 「目玉」とされる子ども手当も、保育所の待機児童解消や義務教育の完全無償化、医療費の無料化など、子育ての土台を整備することとあいまってこそ効果があります。子育てと教育条件の整備を土台から総合的にすすめるべきであります。

 本予算案は、生活保護の母子加算復活や公立高校の授業料無償化など、国民の要求と運動を反映した部分的前進もみられますが、全体として、自公政権のもとで改悪された医療・介護・福祉制度を元にもどし、社会保障拡充へと転換したとはいえません。

 第2は、大企業の巨額の内部留保と利益を社会に還元させて雇用・中小企業をまもる予算になっていないことです。

 旧来の経済政策では、大企業がいくらもうけても、企業内部に蓄積されるだけで、国民のくらしにまわりません。このシステムが、日本経済を弱くしていることは明らかであり、その転換こそが必要であります。

 ところが、雇用をめぐって、政府が示した労働者派遣法の改正案要綱は、製造業派遣の原則禁止をいいながら、常用型派遣を例外とし、登録型派遣を禁止といいながら、現行の「専門26業務」を例外としているのであります。これは、原則「容認」の重大な後退といわねばなりません。

 予算審議の焦点の一つとなったのが、中小企業への対策です。大企業による不当な単価の引き下げ、仕事の一方的打ち切りを一掃するために、大企業と中小零細企業との公正な取引ルールを確立すべきです。「日本の宝」である町工場を守るために、工場の家賃や機械のリース代への緊急の直接支援にふみだし、これまでの対策を抜本的に転換する必要があります。

 第3は、財源の問題です。

 鳩山内閣は、「ムダを削れば財源はつくれる」と言ってきましたが、庶民には増税を押しつけ、軍事費や大企業・大資産家への優遇税制は温存、継続したままです。こうした「聖域」を温存した結果、巨額の公債発行と「埋蔵金」に依存する、その場しのぎで、まったく先の見えない予算となっているのであります。

 これでは、「政治を変えたい」との国民の要求にこたえることはできず、本予算案には、反対であります。

 なお、自民党の組み替え動議は、旧来の自民党政治への反省もなく、消費税増税まで盛り込んでおり、到底、認められません。

 以上、反対討論を終わります。



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