2010年2月26日(金)「しんぶん赤旗」

福岡・町村会汚職

県政ゆがめた裏金接待

後期医療広域連合めぐり前副知事便宜


 高級クラブ、かけマージャン、ゴルフ、北海道旅行…。23日、福岡県の中島孝之前副知事(68)と山本文男町村会長(84)=添田町長・全国町村会会長=らが贈収賄の罪で起訴された「裏金接待」疑惑は、構造的な県政汚職の様相を呈してきました。(竹原東吾)


 「裏金」は、県町村会が全国町村会などから受けていた交付金(年間約1500万円)の一部を、事務局長名義の口座にプールするなどしてねん出。県町村会などのコピー用紙を印刷会社に架空発注するなどして常時3、4千万円もあったといいます。

 「『裏金接待』の全体が賄賂(わいろ)であって、構造的な贈収賄が麻生県政で常態化していたのではないか」。日本共産党の真島省三県議は指摘します。事件は氷山の一角であり、「県政が『裏金』でどうゆがめられたのか、全容解明が必要だ。知事自身の任命、倫理監督責任などが問われている」。

広域連合の欠陥

 中島、山本両被告の直接の容疑は県後期高齢者医療広域連合の設立(2007年)をめぐるもの。議員定数や負担金などで市側と町村側が対立、山本被告らが町村側に有利になるよう、当時、同連合設立準備委員会会長だった中島被告に100万円を贈ったことです。

 県社会保障推進協議会の北園敏光事務局長は、事件の背景について、広域連合の「構造的な欠陥」をあげています。▽広域連合経費の「均等割」部分は、財政力の異なる都市と町村とで同額を拠出するため不均衡▽広域連合議会定数の不公平な配分で、自治体や住民の声が運営に反映されない―などの問題点を指摘。町村会に「便宜」を図ったのは、「賄賂を使いながら運営せざるを得ない広域連合という機構の破たんだ」と語ります。

 中島被告は知事の「懐刀」で、旧通産官僚で県内に地盤がない知事にとり県議会の根回しなどで不可欠の存在だったとされます。

全容解明が必要

 知事は昨年12月、事件が表面化した際、「具体的な事実について一つ一つ確認することはしていない」(同月19日の記者会見)のに、中島被告の辞職申し出を即座に承認。県民から「裏口から逃がした」などと批判されました。

 一方の山本被告は、添田町長として在任39年。全国町村会会長も務める「有力者」です。日本共産党の竹田善浩町議は「町長の責任は大きい。今すぐ辞職すべきだ」と話します。26日予定の臨時町議会に町長の不信任案が提出される見通しです。

 知事は県職員倫理調査委員会で調査を行うとしていますが、現職職員の過去5年間の接待の有無しか調べず、贈収賄は対象にしない不十分なものです。

 福岡県自治体問題研究所の宮下和裕事務局長は、知事や副知事など特別職も調査対象に含めた「政治倫理条例」制定が必要だと強調します。「条例のなかに、住民自身が調査を要求できるなど、『住民参加』の仕組みを盛り込む必要がある」

 20日には福岡県民の会、福岡革新懇などが同条例制定を求める集会を開きました。

 県議会は日本共産党以外の「オール与党」で全容解明に及び腰。24日、事件解明を求める決議を可決しましたが、「遺憾」を表明するにとどまり、極めて不十分です。唯一、真島県議だけが県議会に調査特別委員会の設置などを求めています。

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