2010年2月14日(日)「しんぶん赤旗」
冤罪生まぬ司法に
布川事件再審決定 日弁連が集会
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無実の桜井昌司さん、杉山卓男さんが40年以上にわたる苦難を強いられながら、最高裁で再審開始が決定した布川(ふかわ)事件。日本弁護士連合会は13日、都内で集会を開き、必ず再審無罪を勝ち取り、二度と冤罪(えんざい)を生まぬ司法を実現しようと訴えました。
あいさつに立った桜井さんは、さまざまな困難に打ち勝ってきた弁護団、支援者への感謝をのべ「みなさんの支えがあったからこそ40年間たたかってこられた。冤罪事件はうその『自白』でつくられる。そのことを広く知らせていくことが私たちの使命だと考えている」と発言。杉山さんは「今年の正月は、はじめて心安らかに迎えられた。『自白』だけでつくられた私たちの事件で再審が決定したことは、他の事件にも影響が大きいと思う」とのべました。
布川事件では、2人があきらめず、仮釈放後に起こした第2次再審請求で、初期の取り調べの録音テープ、毛髪鑑定書、あやふやな目撃証言など検察が隠していた証拠を次々開示させました。それを通じて、2人の「自白」がいかに不自然で、矛盾に満ちたものであるかが明らかになりました。
弁護団の谷村正太郎氏は「事件がいかにあやふやな認定の上に立っていたものかを、事実を積み重ねることで明らかにし、大きな勝利をつかむことができた」とのべました。
国学院大学の中川孝博教授は今後の再審公判について「43年間、無罪を待ち望んできた事件。再審をただ長引かせるような検察の動きを許さず、早期に決着させるべきだ」と強調しました。
足利事件など他の再審事件弁護団も報告しました。
日弁連人権擁護委員会第1部会長の笹森学弁護士が閉会のあいさつで「私たちは全国民を巻き込んで、2人を守るため、検察庁と裁判所を包囲し、必ず早期に無罪判決を勝ち取りたい」と訴え、大きな拍手を受けました。
布川事件 茨城県利根町布川で1967年に当時62歳の男性が殺害され、室内が荒らされていた事件。当時20歳だった桜井昌司さん、21歳だった杉山卓男さんが逮捕され、無期懲役の判決が確定、29年間を獄中で過ごし、96年に仮釈放されました。有罪の唯一の根拠となったのは、警察が強要した虚偽「自白」であり、2人は公判段階から一貫して否認。仮釈放後も再審を請求してきました。昨年12月14日に最高裁が再審開始を決定し、近く始まる再審で無罪が言い渡される公算が高くなっています。