2010年1月25日(月)「しんぶん赤旗」

「市有地に神社は違憲」

政教分離判決に波紋

全国の自治体へ警鐘


 北海道砂川市が市有地を神社に無償貸与してきたのは憲法の政教分離原則違反だという最高裁判決(20日)が波紋を広げています。公有地に神社が立つ例が全国に多数あるからです。


 東京都千代田区にある日本遺族会の「九段会館」もその一つ。屋上に「護国神社」があります。約1万平方メートルと4階建ての建物は国有財産。国有地と市有地の違いだけで、違憲とされた砂川市の神社の状況に酷似しています。

 同会館は、戦後、駐留軍に提供していたものを1953年制定の特例法で日本遺族会に無償貸与。特例法の貸与条件(遺族の宿泊など)に宗教施設はありません。

 神社がある屋上は夏季、ビアガーデンを開設し、不特定多数が自由に参拝できる状況になってきました。

 最高裁判決への対応について厚生労働省援護局は「わからない」、日本遺族会は「担当者不在で答えられない」としています。

 札幌市にある「中の島神社」の敷地は道有地。道庁と地元の売買交渉がまとまらず、無償貸与のままになっています。今回の最高裁判決を受け、高橋はるみ知事は21日、「放置できない」として有償貸与などの検討を表明しました。

 神社をはじめ公有地の宗教施設は全国に数千とも数万ともいわれています。文化財とされるものから事実上放置されているようなものまであり、一律の評価は困難。最高裁判決は「宗教施設の性格、無償提供の経緯態様、一般人の評価などの諸事情を考慮し、社会通念に照らして総合判断すべき」と述べています。いわば「地方自治体への警鐘」(砂川訴訟弁護団)です。

 憲法20条の政教分離原則は、国家神道のもとで侵略戦争に進んだ苦い教訓のうえに定められた民主主義の根幹となるもの。政教分離の侵害を監視する全国会議の西川重則事務局長は「(判決について)真剣で主体的な検討が関係者に求められている」と指摘しています。


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