2010年1月25日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPRESS

私も参加 COP15 inデンマーク


 「学生の声でCOP15を動かしたい」―。東京都内の学生でつくる「私たちの環境サミット実行委員会」は、昨年12月にデンマークで開かれた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に4人が参加しました。参加した2人(仮名)に現地の写真と手記を寄せてもらいました。


若者がリード

小野美紗子さん(私立大学1年)

 開催地のデンマークのコペンハーゲンに着くと空港から会場までの沿道には、「希望ある会議に」「対策は今だ」など会議の成功を願う大きな看板が目につきました。

 国をあげて会議を成功させようとしている環境先進国だと実感しました。

 COP15では、NGOも同じ会議場に参加して、議論を監視・促進できます。会議の結果は残念でしたが、世界中の若者と一緒に活動でき、対話できたことが幸せでした。

 昨年12月12日のグローバルアクションでは、世界中から10万人が集まり、歌ったり踊ったりしながらコペンハーゲン市内を3時間歩きました。

 私たちは公害地球懇(公害地球環境問題懇談会)の人たちと「ノーモア・ミナマタ」と訴えて歩きました。

 開催国デンマークからはカップルや家族連れ、友人同士でデモに参加し、日本から持ってきた手ぬぐいを配ってくれました。

 デモには世界中の若者が参加していました。「今こそ行動を」というプラカードや横断幕を持っている人が多かったです。「気候ではなく、政治を変えよう」が合言葉でした。

 フィリピンから来た学生は「温暖化でサンゴが死んでいる。変えたくて参加した」と話していました。片言の英語でしたが、「温暖化を防止したい」「政治を変えたい」という思いが通じ合いました。

 デンマークでは、住民が集まってつくったエコビレッジがあちこちにあります。2万個の再利用レンガなどで作った家などがありました。

 また、地域に、温暖化防止対策をすすめるエネルギーセンターがあり、エネルギーアドバイザーがいます。地域住民に家の断熱などのアドバイスを無料で実施したり、「エコ店舗」の登録を推進したりしています。

 「世界を動かすには若者が行動すること。あなたたち若者が“未来”なのよ」とアドバイザーに激励されました。

 今回の派遣で世界中の人々、各国の取り組みが温暖化防止の力となることを実感しました。もう世界では多くの若者がリードしています。

 日本の国際公約である2020年までに温暖化ガスを25%削減する、この責任を大企業に果たさせるため、私たちの声を大企業や政治に届けることが必要です。あきらめない気持ちをもつことが大事だと思いました。

エコは豊かだ

羽鳥 美佳さん(私立大学2年)

 デンマークの人々の生活をみて、普段の生活の中でも先進的な環境活動をしていることが分かりました。

 広い道路には車は少なく、移動は自転車を利用する人が圧倒的に多かったです。自転車専用の駐輪場や道路がいたるところにありました。

 コペンハーゲン市内ではお金を払って自転車を借りることができます。定位置に戻すとお金が戻ってくるので気軽に利用できます。

 店には当たり前のようにレジ袋はなく、商品も簡易包装です。

 飲み物はペットボトルではなくビンを使い、リサイクルしています。

 日本とは違う、実際に有効な環境対策だと感じました。

 特に家の中はエコ(温暖化防止対策)の工夫がつまっていました。たとえばある家では家で使うエネルギーの3分の2をソーラーパネルでまかない、暖房・冷房は地熱や空気の循環を利用するなど、まさに環境と健康によいライフスタイルです。

 印象に残ったのは、窓が大きいこととカーテンがかかっている家が少ないこと。昼間は日の光がよく差し込み明るく、夜は部屋の中からライトアップされたインテリアで、外を歩く人々を癒やしてくれていました。豊かな人生とはこういうものかと感じずにはいられませんでした。

 そして、こうした市民レベルのエコ対策の背景に、温暖化防止に対するデンマーク政府の決意と具体的な施策がありました。デンマークではすでに電力の30%は風力です。将来的には化石燃料をゼロにする計画です。

 日本もこのような高い意識を持ってもらいたいです。


企業任せ変えれば“希望”

 小野さんが通う大学で16日、COP15の報告会が開かれました。感想を紹介します。

 ◇会議がうまくいかなかったのは、先進国の削減義務付けに反対したアメリカの責任が大きいと思いました。将来的に自然エネルギーに100%切り替えるデンマークなど、他の国の活発さを日本やアメリカは見習うべきです。温室効果ガス排出源の8〜9割は企業なので、大本をかえていくという意識に世論を変えていかないといけないと思いました。(1年、男子学生)

 ◇日本中のエアコンのスイッチを全部切るよりも、火力発電の燃料を石炭から天然ガスに切り替えることでその何倍もの削減ができることに驚きました。(4年、男子学生)

 ◇CO2の削減を企業の自主努力任せにしたことが失敗だったという話に興味を持ちました。やり方を考えれば、今の生活の質を大きく下げることなく削減できるというところに希望が持てました。(1年、女子学生)

 ◇実際に行った人の話を聞いて「25%削減なんてムリ」という思いが薄れていきました。頭ごなしに否定するのではなく、自分たちで行動して変えようとすることが重要なのだなと思いました。(1年、女子学生)


 COP15 昨年12月にデンマークで開催された国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議。先進国と新興国が温室効果ガス削減に向けて一致して取り組む法的拘束力をもった国際協定の締結が期待されていました。しかし、各国政府による合意は全会一致で採択されず、「留意する」という承認にとどまり、改めて世論と草の根の運動の重要性が浮き彫りになりました。


お悩みHunter

オレの居場所どう見つける?

  小中学生のころは、学校が楽しかったのに、高校生になったらオレは何のために学校に来ているんだろうと考えるようになり、むなしさを感じるようになりました。同じ高校には、突っ込んだ話のできる友達もいません。中退して新しい道を探す勇気もありません。オレの居場所はどうやったら見つかりますか?(17歳、男性)

自分と周りに向き合い続けて

  私も高校生のころはなんとなく毎日がつまらなく感じていたような気がします。

 「もしかしたら大事な高校生活を無駄に過ごしてるのかな」などと考えていました。

 あなたがいま抱えている悩みは誰もが一度は通る道なのかもしれません。

 でもこれは自分と向き合うようになった成長の証しなんだと思います。

 自分は何がしたいのか、どうなりたいのか。そういうことを模索し始めているのだと思います。

 私は今になって思うことは、無駄に過ごしたと思っていたあの高校時代があったから今の自分があるんだなということです。

 いま私は何に対しても真剣に向き合えるようになった気がします。それは自分と向き合えたからだと思っています。

 そしていま私にはたくさんの居場所があります。それは場所だったり、モノだったり、人だったり…。

 私の場合、その居場所は、意識的に探して見つけたものでも、最初からここだと感じたものでもありませんでした。

 居場所というのは最初からわかるものではなく、そこでの出合いや交流、いろんな体験を通じて、やがて「ああ、ここが自分の居場所なんだな」と感じるものだと思います。

 そんな居場所に出合うには今のあなたのペースでゆっくりと時間をかけて自分と周りに向き合っていけばいい。そしてあきらめないこと。そうすればきっと見つかります。


第41代日本ウエルター級チャンピオン 小林 秀一さん

 東京工業大学卒。家業の豆腐屋を継ぎながらボクシングでプロデビュー。99年新人王。03年第41代日本ウエルター級チャンピオン。


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