2010年1月25日(月)「しんぶん赤旗」

NHK日曜討論

穀田国対委員長の発言


 日本共産党の穀田恵二国対委員長は24日、NHK「日曜討論」に出席し、民主党の小沢一郎幹事長の「政治とカネ」をめぐる疑惑を中心に、各党出席者と議論しました。司会は島田敏男NHK解説委員。


小沢氏への疑問深まった 政治的・道義的責任追及を

 はじめに、小沢氏の資金管理団体による土地取引をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部が23日に小沢氏を被疑者聴取したことが議論となりました。

 穀田氏は次のように述べました。

 穀田 結論からいえば疑問はますます深まったと思います。(この問題は)政治資金の4億円の原資、土地購入にからむ4億円がどこから出たのかというところに核心がある。それは、ゼネコンからのヤミ献金ではないかということが指摘されているわけです。

 それに対して、小沢さんは「不正な金は受け取っていない。私の秘書たちも受け取っていないと確信しています」と(主張している)。確信しているというだけで、何の根拠も言っていないわけです。

 私ども「しんぶん赤旗」の調査によりますと、小沢サイド、つまり(元私設秘書の)石川さん(知裕衆院議員)をはじめとしたところに、全日空(ホテル)で5千万円(合計1億円)が水谷建設から渡っている。しかも、小沢氏サイドからの要求で払われたということまで情報をつかんでいます。そうであるなら、公共事業の金が還流しているということになるわけです。

 したがって、国会がこの問題について、政治的・道義的責任を追及し、明らかにする必要がある。(小沢氏を)国会に招致すべきだと考えています。

 社民党の近藤正道参院国対委員長は、小沢氏が事情聴取に応じたことを「国民に対する説明という点で一歩前進」などと評価。民主党の山岡賢次国対委員長は「司法の場で論じるべきこと」との立場を繰り返し、「(国会では)そういうことが起きないシステムをつくるべきだ。私どもは企業献金を禁止しようといってきた」と発言しました。

 穀田氏は次のように述べました。

 穀田 それは違うと思うんです。やっぱり今度の事件の疑惑の中心は何かという問題なんですよ。(土地を)購入したお金の出所が、ゼネコンからのヤミ献金なのではないかということを、誰もが思っているし、そのことが根本なんです。もしそうだとしたら、公共事業のお金が、政治家に還流するという形になる。だから政治の場で明らかにしなくてはならないんです。

 刑事的責任の追及は、司法がやるんです。しかし、政治的・道義的責任はないのかという問題についてはっきりさせるのは国会の役割です。これは、ロッキード事件で明らかになった、司法と国会の両輪で真相究明し、責任を追及するという教訓からつくられているものなんです。ここをはっきりしないといけません。

 「政治とカネ」の問題で自公が国会での集中審議を求めたのに対し、山岡氏は予算審議を理由に先送りする考えを示しました。

 穀田氏は次のように述べました。

 穀田 「政治とカネ」と予算との関係はなにかという問題です。先ほどいったように、公共事業のお金が回っているとしたら、(税金還流であり)問題です。その一方で税金のムダ遣いをやめようといっているわけでしょう。(「政治とカネ」の問題を放置すれば)そういうムダ遣いをやめようという話が空虚に聞こえる。だから「政治とカネ」の問題を優先して解決し、政治的・道義的責任をはっきりさせるために、小沢氏に国会に来てもらう。ここがポイントなんですよ。

 同時に、先ほど山岡さんがおっしゃったように、企業・団体献金禁止というんだったら3年後ではなく、いままで自民党政治の流れのなかで、(金権腐敗が)田中金脈、金丸金脈と続いてきた根本はここにあるわけですから、これを今すぐやめる。そういうことをしっかり議論するという結論をしっかり導いていくことが必要です。

 司会者から小沢氏の参考人招致について問われた山岡氏は「その話をしたところで生活はなにも良くならない。攻撃の材料にすぎない」と強弁しました。

 司会が、鳩山由紀夫首相と小沢氏の政治資金問題が刑事事件になって以降、民主党内で刑事捜査の可視化論議が盛んになったのではないかと質問。

 穀田氏は次のように述べました。

可視化の実行へ力を合わせる

 穀田 (可視化は)長い間の懸案事項で、いかにして冤罪(えんざい)を防ぐか、人権を守るかということなんです。可視化法案は、日弁連も何回も提起しているように、当然だと、私は思っています。

 ただ、問題は、いまの時期に巷間(こうかん)伝えられているような形で、いまの政局やこの間の一連の事件との関係、「政治とカネ」にかかわって急きょものを言っているというやり方は、それはいささか不穏当ではないかというのは、誰しもが思っているんじゃないですか。

 問題は、(可視化を)いかにして実行させていくかということで、そこで力を合わせることは当然必要なことです。

企業・団体献金の禁止実行こそ

 改めて企業・団体献金の禁止が議論となり、自民党の川崎二郎国対委員長は「そこまでいかない」と否定。穀田氏は次のように述べました。

 穀田 「政治とカネ」の問題に関してなにが大事かというと、(1994年の)「政治改革」のときに、企業・団体献金は5年後に見直して禁止するという方向を打ち出して、だから政党助成金を入れるという話でやりました。(日本共産党以外の各党は)いま片一方で政党助成金をもらって、片一方で企業献金をもらうと、両方でやっている。こういうやり方はだめです。

 しかも、その政党助成金の使い方で、解党の際に、それ(残額)がどこにいったか分からないなどということまで出てきている。

 ですから私は、企業・団体献金は、(民主党は)野党の時代に、公共事業を受注している会社からはもらわないという法案を出したわけでしょう。少なくともそれを実行する。それからマニフェストで企業・団体献金禁止を公約した当時の野党の人たちがいる。それを即実行することがなぜできないのか。政治が変わったというのであれば、そこを変えることがいま求められていると思います。

 穀田氏の提起に、近藤氏は「企業・団体献金の全面禁止に踏み出すべきだ」、みんなの党の山内康一国対委員長も「廃止の方向で早めに進めるべきだ」と応じ、公明党の漆原良夫国対委員長も「(廃止は)われわれもマニフェストに掲げたが、各党ほとんど一致している。議論したい」と述べました。

 鳩山由紀夫首相の政治資金の虚偽記載問題について議論になり、穀田氏は次のように述べました。

 穀田 まず、巨額だということです。15億円からのお金が動いたと(言われている)。ところが政治資金規正法の収支報告書によれば、4億円しか明らかになっていない。残り11億円。そのうちプライベートに使ったのが1億数千万円あるといい、それ自身が非常に不可解ですけど、残りについて言えば、違反でないということを私どもの質問に対しても首相は言いました。

 検察当局は(資金の)「入り」の話しか詰めていないんですよ。「出」の話についてどうなっているかということはせんさくしていません。

 ですから、どういうふうに使ったのか、政権獲得やその他に使ったことはないのか、政治資金として使ったことはないのかということについて、本人自らが明らかにすることが大事です。

 二つ目は、政治的・道義的責任はないと思うのかという私たちの質問に対して、(首相は)あると思うと言っているわけですから、その点ははっきりさせることが必要です。

補正予算案――自・公時代の予算を変える中身になっていない

 最後に2009年度補正予算案に対する態度が議論となり、穀田氏は「反対だ」と表明。その理由を次のように述べました。

 穀田 これは自民党、公明党時代につくられた09年度予算を抜本的に変える中身になっていないことが大きな理由です。

 同時に、私どもは雇用調整助成金の要件緩和など一定の前進面があることは承知しています。しかし、アフガニスタンの支援経費のなかに、NATO(北大西洋条約機構)のアフガニスタン国軍信託基金、つまり特定の軍隊にお金を12億円も出すということがあります。これは憲法に抵触する内容として認めることはできない。

 後期高齢者医療制度についても、先送りしただけではなく、(4月からの保険料値上げを抑えるための)財政負担を国庫補助で行いたいと通知までだしておきながら、それをネグレクトする(ないがしろにする)というのは間違っている。ですから反対です。


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