2010年1月24日(日)「しんぶん赤旗」

診療報酬 伸び実質ゼロ

来年度 「プラス改定」実は0・027%


 医療の公定価格である診療報酬の2010年度改定について、これまで国は、改定率は0・19%で「10年ぶりのプラス改定」だとしてきました。しかし、表に出ていない薬価の引き下げがあり、実際の改定率は0・027%と、実質ゼロ改定だったことが分かりました。

 診療報酬は2年ごとに改定されますが、自公政権下で02年度以降4回連続で引き下げられました。累計13兆円以上の医療費が削減され、救急医療や地域医療の崩壊を招きました。

 診療報酬は、薬や医療材料などの「薬価部分」と、医師の治療行為や入院などの値段である「本体部分」からなります。民主党政権は今回の改定で、薬価部分を5000億円(1・36%)引き下げたとし、それを本体部分の引き上げの主な財源としています。

 本体部分は700億円を上積みし、薬価部分の引き下げで生み出した5000億円とあわせて5700億円(1・55%)引き上げました。全体の改定率は、薬価部分との差し引きで0・19%のプラス改定だと説明しています。

 しかし、薬価部分では、表向きの削減額(5000億円)とは別に、「別途、後発品の置き換え効果の精算を行う」とされ、600億円が削減されていることが明らかになりました。この600億円は本体部分の引き上げ財源に回されず、診療報酬以外の予算にあてられています。

 結局、薬価部分が5600億円削減されたのに対し、本体部分の引き上げは5700億円で、診療報酬全体ではわずか100億円、0・027%の引き上げでしかありません。

 鳩山政権は、「医療を再生するためにはネットでプラスが必要だと申し上げてきた」(長妻昭厚労相、09年12月23日の会見)と「10年ぶりのプラス改定」を誇っていますが、医療の立て直しを願う国民に背を向け、医療現場の切実な要求とかけ離れた改定です。

後発品の置き換え効果

 新薬(先発品)の特許が切れた後に、別のメーカーが同じ有効成分でつくる薬を後発品といいます。価格が安いので政府は後発品の使用促進計画を立てていますが計画どおりに普及していません。政府は、目標どおりに普及すれば減るはずの薬剤費が減らせていないとして、その半分に見合う額を、後発品のある先発品の単価を追加的に下げることで削減しました。


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