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2010年1月17日(日)「しんぶん赤旗」

(22)「過渡的な情勢」を前にすすめる質量ともに強大な党建設を

 総選挙がつくりだした「過渡的な情勢」をさらに前向きに前進させ、日本の政治が「二つの異常」から抜け出す力を国民の間につくりあげていくうえで、日本共産党が、国民と広く結びつき、理論的にも組織的にも強大な党に成長することは、決定的な条件となる。私たちは、2010年代を、党建設の面でも、歴史的前進を党史に刻む時代とするために、全力をつくす。

 党建設の方針については、第22回党大会での党規約改定をふまえ、この間の3回の党大会(第22回大会、第23回大会、第24回大会)で、その基本を全面的に明らかにしている。それを前提として、つぎの諸点を強調したい。

イ、「政策と計画」を持った「支部が主役」の党づくり

 前大会以降、「支部が主役」の党づくりという点では、支部を基礎とした国民要求にこたえた多面的な活動の発展、7割の支部でとりくまれた「大運動」「集い」、2回にわたる「職場問題学習・交流講座」にもとづく職場支部の活動強化、支部を基礎にした党員拡大が継続的な前進の軌道にのりつつあることなど、さまざまな分野で貴重な前進の端緒がつくられた。この間、「政策と計画」をもった支部は52%から82%へと前進した。

 同時に、この努力は道半ばである。9中総決定で総括したように、総選挙で立ち上がった党員がのべで5〜6割、日々の活動参加が選挙本番で2割前後だったが、この根本の原因は日常平素の「支部が主役」の党づくりの努力が、道半ばであることにあった。

 「大運動」「集い」のとりくみの発展、支部と党員に展望と活力をあたえる政治指導、支部会議の定期開催の努力、一つひとつの支部の実情や党員の悩みに丁寧に耳を傾け困難をともに打開していくとりくみなどをつうじて、強まりつつある「支部が主役」の活動を、いかにして全党の圧倒的大勢にし、すべての党員が参加する党活動をつくることができるか。ここに強く大きな党づくりの成否をにぎる最大のカギがある。

 「綱領を語る集い」を、支部の日常活動として発展させることは、「支部が主役」の活動を発展させる重要な要となる。本来この運動は、「大運動」と銘打たなくても、綱領実現をめざして支部が日常的にとりくむべき、党の基本の活動であることを強調したい。

ロ、党員拡大と「しんぶん赤旗」読者拡大

 私たちは、9中総決定で、総選挙で掲げた目標を達成できなかった教訓として、「自力をつける途上でのたたかいだった」とのべ、「どんな激しく厳しい条件のもとでも、ゆるがず前進できる強大な党をつくる――ここにこそ、総選挙からくみだすべき最大の教訓がある」ということを強調した。

 この総括に立って、全党は、党大会にむけて、「党躍進特別期間」を設定し、「すべての党支部で新たな党員を迎えるとともに、すべての党組織が『政策と計画』『総合計画』で掲げた党員拡大目標を達成する」「読者拡大は、全国すべての都道府県、地区、支部が、参院選を、前回参院選の陣地を大きく上回ってたたかうことを展望して、党大会までに……前回党大会水準を突破する」ことを目標とし、その達成にむけてとりくんできた。党員拡大では、前大会からの約4年間に、3万4千人を超える新しい党員を迎え、党員数は前大会時を上回り、40万6千人となった。「しんぶん赤旗」読者の拡大では、石川県と4地区委員会が、日刊紙、日曜版ともに前大会時を上回って大会を迎えたが、全党的には前大会時を超えるにいたっていない。

 参議院選挙にむけた党勢拡大の目標としては、「躍進期間」の到達を踏まえ、党員拡大でさらに進んだ前進の目標をたてるとともに、「しんぶん赤旗」の読者拡大では、参院選を、日刊紙、日曜版とも前回参院選時の1・3倍の読者へと拡大し、全党的には35万人の日刊紙読者、160万人の日曜版読者に前進してたたかうことを目標に奮闘する。さらに、中期的展望にたった「成長・発展目標」にふさわしい党員、読者の拡大の目標を有権者比でもち、その実現をめざして力をつくす。

 読者拡大について、すでに(2009年11月時点で)日刊紙、日曜版とも、前大会水準を上回り、前進している三つの地区委員会(千葉・東葛、石川・金沢、長崎・北部)の活動では、つぎのような共通した教訓がみられる。

 ――国政と地方選挙の得票目標の実現に執念を燃やし、総合的な活動のなかで、前進のための独自追求をはかり、毎月、拡大目標をもつ支部を5〜6割に広げ、「力持ち」の党員の奮闘をけん引力に、4〜5割の支部が毎月成果をあげている。

 ――綱領と決定、日々の「しんぶん赤旗」にもとづく機関と支部での政治討議を重視し、「しんぶん赤旗」の役割、目標達成の意義を繰り返しみんなのものにし、とくに日刊紙拡大に独自の手だてをとっている。

 ――機関あげての努力で7〜8割の支部が「支部が主役」の配達・集金体制を確立し、常勤者や議員の過重負担をなくし、非常勤の党員を結集した機関紙部を確立している。

 ――6割前後の支部が新入党員を迎え、党に新鮮な力をもたらし、党員拡大と読者拡大が相乗的に発展している。

 これらの先進的教訓に学んで、「しんぶん赤旗」読者を拡大するために、情熱と大志をもってとりくむことを心からよびかける。

 多くのマスメディア関係者が、「二大政党づくり」を推進する仕組みのなかに組み込まれ、マスメディアの大勢が、この動きを礼賛・推進する異常な役割を果たしているもとで、「しんぶん赤旗」を広範な国民に広げ、民主的な国民世論の形成に大きな影響力をもつ国民的メディアに成長させることは、日本の政治・社会の発展にとって死活的に重要な課題となっている。「しんぶん赤旗」は、現在の世界がどのように大きく変わっているか、日本政治でいまおこっている変化の本質は何か、現状を打開する展望はどこにあるかなどについて、「タブーなく真実を伝える新聞」であり、平和、民主主義、生活向上を願うさまざまな人びとの絆(きずな)となる「国民共同の新聞」である。マスメディアが抱えている決定的な弱点とのかかわりでも、日本の良心・良識にたった「しんぶん赤旗」をどれだけ普及できるかは、日本の民主的変革の事業の成否を左右する重大な意義をもつ。

 党が発行する雑誌の普及を重視してとりくむ。

ハ、綱領学習を中心とした党の質的建設

 前大会決定は、党綱領の読了党員が34・2%にとどまっていることを、わが党の重大な弱点と指摘し、綱領を学ぶことを「党づくりの第一義的優先課題」としてとりくむことを強く呼びかけた。しかし、この課題では、抜本的打開がはかられず、読了党員はなお4割程度にとどまっている。「綱領を語る集い」は大きくすすんだが、党員の綱領学習は「集い」とは別に、独自の努力が必要とされる課題である。この点で、党中央の系統的なイニシアチブに弱点があったことを、率直に反省しなければならない。

 第25回大会期の一大課題として、綱領学習と綱領読了のとりくみを、抜本的に強める。新たに党の教育制度として、地区、支部指導部の責任で「綱領講座」を開き、綱領そのものをテキストとし、その読み合わせをおこない、質疑で理解を深めるという形で、すべての党員が綱領学習・綱領読了をすすめる。繰り返し綱領を読み、綱領に立ち戻って、情勢と党の任務を明らかにする党の気風をつくりあげる。

 あわせて、綱領の理論的基礎をなしている科学的社会主義の世界観的な確信を自らのものとする努力を強める。科学的社会主義の古典学習を大いに推奨する。

ニ、職場支部の活動の本格的な前進

 私たちは、前大会決定にもとづいて、2度にわたって「職場講座」を開き、この分野の活動の新たな探求・発展にとりくんできた。2回の「職場講座」の内容は、職場支部の法則的な前進の方針を示すものであり、これをすべての職場支部のものとするとともに、ひきつづき系統的に「講座」の開催と職場支部援助の体制確立にとりくみ、労働者のなかに不抜の党をつくるために、知恵と力をつくす。

 この間のとりくみのなかで、重要な前進の一歩を踏み出したのが、非正規雇用労働者のなかでのたたかいである。派遣労働などでの大企業の横暴をただし、人間らしく働ける労働のルールを求めるたたかいは、社会全体に大きな影響をあたえ、労働法制の規制緩和から規制強化へと流れの変化をつくりだした。とくに、無法な「派遣切り」にたいして、少なくない労働者が勇気をもって立ちむかい、たたかいのなかで労働組合への結集・結成がすすみ、そのなかから少なくない新入党員を迎え、新しい支部が生まれていることは、きわめて重要である。たたかいこそ人間らしい労働のルールをつくる力であり、労働者の階級的自覚と成長の力である。長い間、職場支部が、きびしい迫害のもとで党の旗を守り、不屈に活動し、非正規の仲間に心を寄せて粘り強い活動をしてきたことが、たたかいの発展の大きな力となった。

 わが党は、新たに発展しつつある人間らしい労働を求める運動に、心からの激励と連帯のとりくみをすすめ、それをさらに大きく発展させるために奮闘する。そのなかで強大な党をつくるために力をつくす。労働者のなかでのたたかいと党づくりに、新たな情熱、探求と開拓の精神をもって挑戦し、大きな前進をかちとる。

ホ、若い世代のなかでの活動の強化

 全国青年大集会の発展にみられる若い世代のなかでの雇用問題のたたかい、原水爆禁止世界大会などで発揮されている平和のエネルギー、高すぎる学費引き下げを求める若者の運動の広がりなど、若い世代が、その連帯を阻むさまざまな困難を乗り越えて、暮らしと平和を守るたたかいを生き生きと発展させていることは、日本の大きな希望である。わが党は、これらのたたかいへの連帯と支援を思い切って強める。

 若い世代の広大な結集をめざして、その悩みや願いをとっくりと聞き、交流と連帯の「居場所」づくりをすすめ、その努力とむすんで切実な願いの実現をめざすたたかいの発展に力をつくす。同時に、党や科学的社会主義に関心を強めている若い世代の「知的めざめ」に働きかけ、党綱領が示す現状打開の展望、科学的世界観、社会観を広げることが重要である。大学での「党と科学的社会主義を語る大小の自主講座」のとりくみを抜本的に強める。

 民青同盟の地区委員会再建のとりくみでは、前党大会後、新たに37地区が再建され、65地区となった。この仕事を「党と民青同盟の共同の事業」として前進させる。党は、民青同盟の相談相手として、その実情、要求、努力、苦労によく耳を傾け、親身な援助を改善・強化する。

 党機関は、青年・学生のなかでの活動の強化を、担当部門、担当者まかせにするのではなく、党と革命運動の未来がかかった問題として、党活動・党建設の中心の一つに位置づけ、総力をあげて探求・挑戦し、うまずたゆまず系統的な努力をはかる。民青同盟への親身な援助とともに、学生の中での活動の戦略的な重要性を自覚し、学生の革新的結集に開拓者の精神でとりくむ。

ヘ、機関の政治力量と態勢、財政活動の強化

 「支部が主役」の党活動を発展させる党機関の指導と態勢の問題については、2中総決定、3中総決定、8中総決定などで解明した方針が重要である。

 とりわけ、地区委員会の確立・強化をはかることは、その要となる重要な課題である。党中央として、地区委員長の政治的・組織的力量を引き上げることを援助するために、「地区委員長研修会」を開催する。

 補助指導機関をつくり態勢強化をという第24回党大会のよびかけにこたえて、現在、補助指導機関は、665(対象自治体の54・6%)で確立され、重要な役割を発揮しつつある。補助指導機関をすべての対象自治体で確立し、地区委員会の活動を強化する。

 党機関の指導姿勢として、綱領と党の方針を正確に全党のものにする指導とともに、「聞く力」が重要である。支部と党員の置かれている条件、悩み、要望などに真剣に耳を傾け、心を寄せ、ともに困難を打開していく姿勢が大切である。

 財政問題については、党費納入の低下傾向の打開を財政活動の根幹に位置づけ、すべての党員が参加する強く温かい党づくりの中心課題としてとりくむ。財政問題を、担当者まかせにすることなく、県・地区機関でよく論議し、機関役員全体の共通認識にするとともに、支部に実態と打開の方向についてよく伝え、理解を得て、「四つの原則」にもとづく財政活動を党組織全体のとりくみにしていくことが大切である。

 こうした努力のなかで、党のかけがえのない宝である専従活動家への給与を保障し、健康な心身を保全し、必要な態勢の維持・強化をはかることに特段の力をそそぐ。

ト、系統的な後継幹部づくりにとりくむ

 2度にわたる「特別党学校」のとりくみは、重要な成果をあげている。受講生は、党機関役員、国政や地方選挙の候補者、政策・理論活動家など、さまざまな分野で積極的な役割を果たしている。中央として「特別党学校」をひきつづき系統的におこなう。都道府県でも若手幹部育成の特別教育がおこなわれているが、これらのとりくみも貴重である。

 将来を展望した幹部政策として、中央委員会の構成のあり方を見直し、とくに准中央委員については、後継幹部として成長することを任務として位置づけ、将来性のある若い幹部、新しい幹部、女性幹部の大胆な抜てきをはかる。

チ、市民道徳と社会的道義をまもり、規律ある党生活を

 党規約第5条では、党員の権利と義務の第一に、「市民道徳と社会的道義をまもり、社会にたいする責任をはたす」ことを明記している。党内のごく一部だが、社会のさまざまな病理現象、退廃的風潮におかされ、社会的モラルに反する誤りがおこっていることを重視しなければならない。党の機関を先頭に、党規約を守り、率直で活発な自己・相互批判をおこない、規律ある党生活を築き、社会進歩の促進のためにたたかう人間集団にふさわしいモラルを確立していくことに力をそそぐ。

第5章 激動の世界と未来社会への展望について

(23)世界の資本主義の矛盾の深まりと、科学的社会主義への注目

 21世紀の世界を大きな視野で見ると、資本主義という体制の是非が問われる時代に入っていることが、強く実感される。この間、日本でも、世界でも、「資本主義の限界」ということが、メディアでも広く言われるようになっている。これは世界的規模での資本主義の矛盾の深まりを反映したものである。

 マルクスが、「資本主義的生産の真の制限は、資本そのものである」とのべたように、資本主義の矛盾・制限とは、それがより大きな剰余価値の生産を、生産の動機および目的としていることにある。こうした「利潤第一主義」は、今日の世界において、つぎのような社会的害悪・災厄となってあらわれている。

 ――世界的規模でも、それぞれの国でも、社会的貧困と格差が広がっている。米国と日本の貧困率は、発達した資本主義国のなかでも最悪水準にまで拡大した。国連開発計画「人間開発報告書」2005年版によれば、1日1ドル未満で生活する10億人の人びとを、極度の貧困から救うのに必要な費用は、世界の最富裕層10%の所得の1・6%にすぎない。そこまで世界の格差は拡大した。

 ――政治的独立をかちとった発展途上国に、資本主義が自立的な発展の道を提供できない。世界の飢餓人口(慢性的な栄養不足の人口)は、1990〜92年には8億4200万人だったものが、2009年には10億2000万人に増え、過去最高になったと推定されている。

 ――現在進行している金融危機と過剰生産恐慌は、資本主義がどんな手だてをつくしても、資本主義の「死にいたる病」である恐慌を解決する力がないことを示した。世界経済危機にたいして、世界各国は、国際的な協調によって、とりあえずの金融・財政的対応をおこなったが、全体として過剰生産恐慌から抜け出すにはいたっていない。

 ――地球温暖化について、英国政府の報告書は、人類史上最大の「市場の失敗」であることを認め、現行の資本主義のあり方に疑問を呈した。地球環境の破壊は、資本主義に地球の管理能力があるかどうかを、根本から問うものとなっている。先進的なとりくみをおこなっている欧州の関係者からも、「利潤第一の考え方では温暖化は止められない。社会システムの根本的改革が必要だ」という指摘がなされている。

 これらの問題に対して、日本でまずめざすべきは資本主義の枠内での民主的改革――「ルールある経済社会」への改革であり、国際的には、「すべての国の経済主権の尊重および平等・公平を基礎とする民主的な経済秩序」(党綱領)をつくることが課題となる。同時に、そうした改革をぎりぎりまで追求したとしても、「利潤第一主義」という枠組みでは、なお諸問題の根本的な解決がはかられず、資本主義を乗り越える新しい体制への前進の条件が熟してくる。これが、私たちの展望である。

 2009年11月、英BBC放送は、「ベルリンの壁崩壊から20年、自由市場の資本主義に対する不満が広がっていることが明らかになった」として、国際世論調査(27カ国で調査)の結果を発表した。それによると、「自由市場の資本主義」をどう考えるかの問いに、「資本主義はよく機能しており、規制強化は能率低下を招く」と答えた人はわずか11%、「規制と改革で対処できる問題を抱えている」と答えた人は51%、「致命的な欠陥を抱えており、新しい経済システムが必要だ」と答えた人が23%にのぼった(フランスは43%、メキシコは38%、ブラジルは35%)。資本主義の母国・英国の放送局が、こうした調査をおこない、世界で23%の人が資本主義に代わる「新しい経済システム」が必要と答えていることは、注目される。

 ソ連崩壊時に喧伝(けんでん)された「資本主義万歳論」は、はるか過去のものとなった。世界の資本主義の矛盾の深まりのもとで、資本主義の前途への不安・不満が広がり、世界各国の少なくない人びとが資本主義を乗り越えた新しい社会への模索をはじめている。世界でも、日本でも、科学的社会主義とマルクスへの新鮮な注目が広がっているが、これは偶然でも一過性のものでもない。世界の資本主義の陥っている深刻な矛盾に、その根拠がある。

(24)21世紀の世界の現実のなかでの未来社会への動き

 21世紀の世界の現実のなかに、未来社会への動きが、さまざまな形であらわれていることに注目すべきである。

 人類史のなかで16世紀に誕生した資本主義は、19世紀から20世紀にかけて、世界「全体」を支配するところまで発展したが、20世紀前半に、資本主義から離脱して社会主義をめざす国ぐにが登場し、続いて、20世紀後半には、植民地体制が崩壊し、21世紀のいまでは、発達した資本主義諸国が支配している領域は、人口では世界人口の13・6%と、ごく一部でしかなくなっている。

 社会主義をめざす国ぐには、世界政治、世界経済に占める比重を、年を追うごとに高めつつあり、とくに中国は、その経済規模でやがてどの資本主義大国をも追い抜く勢いとなっている。ソ連崩壊後14年間の経済成長は、発達した資本主義諸国が1・8倍、アジア・アフリカ・ラテンアメリカ(AALA)の国ぐにが2・4倍、社会主義をめざす国ぐには4・8倍である。社会主義をめざす国ぐには、国民1人当たりのGDPではなお発展途上国の段階にあり、そのことにもかかわって、さまざまな「政治上・経済上の未解決の問題」(党綱領)が生じている側面があることも、注視する必要がある。

 AALA諸国は、独立・平和・非同盟・覇権主義反対の方向で、大きな共通性をもっている。ここでは資本主義の道を選んで経済発展に成功したのはごく少数で、ラテンアメリカでは、従属国時代および左翼政権下の国民的闘争の経験から、資本主義とは別個の道を探究しようという動きがあらわれている。

 ベネズエラ、ボリビア、エクアドルでは、国づくりの方向として「21世紀の社会主義」を掲げているが、これらの国がそれぞれ独自の特徴をもちながらも、選挙を通じて社会変革をすすめようとしていること、国有化万能でなく市場経済を活用しつつ生産手段の多様な所有形態を認めていること、ソ連型の社会モデルを模倣せず各国独自の条件を重視していることは、注目される。

(25)党綱領の示す21世紀の世界史的な展望にたって

 党綱領は21世紀の世界史的な展望についてつぎのようにのべている。

 「世界史の進行には、多くの波乱や曲折、ときには一時的な、あるいはかなり長期にわたる逆行もあるが、帝国主義・資本主義を乗り越え、社会主義に前進することは、大局的には歴史の不可避的な発展方向である」。

 「21世紀の世界は、発達した資本主義諸国での経済的・政治的矛盾と人民の運動のなかからも、資本主義から離脱した国ぐにでの社会主義への独自の道を探究する努力のなかからも、政治的独立をかちとりながら資本主義の枠内では経済的発展の前途を開きえないでいるアジア・中東・アフリカ・ラテンアメリカの広範な国ぐにの人民の運動のなかからも、資本主義を乗り越えて新しい社会をめざす流れが成長し発展することを、大きな時代的特徴としている」。

 日本共産党が、こうした未来社会への展望をもっていることは、目の前で解決が迫られている問題の打開の道筋とその意義を、より大きな視野と展望のなかで明らかにする力ともなっている。社会主義・共産主義をめざす綱領の展望が、世界の現実の中で実証されつつあることに、深い確信をもって、未来にのぞもうではないか。


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