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2010年1月17日(日)「しんぶん赤旗」

民主党大会

開き直る小沢氏追認

自浄能力のなさ示す


 民主党大会は、鳩山由紀夫首相(党代表)と小沢一郎幹事長のツートップが「政治とカネ」をめぐる重大な疑惑に包まれる中で開かれました。

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」に、土地取引をめぐる疑惑で強制捜査が及んだのに続いて、大会直前には元秘書の石川知裕衆院議員ら3人が一斉に逮捕されるという、異様な状況です。

 大会であいさつした鳩山首相は、「小沢幹事長を信じております」とのべ、小沢氏は、「きぜんとして自らの信念を通し、たたかっていく決意」と表明。国民に対する説明責任には完全に背を向けました。

 小沢氏に向けられている疑惑は、ほかにも西松建設からの違法献金疑惑、「新生党」「自由党」解党時の政党助成金の処理をめぐる疑惑があります。

 鳩山首相も自らの偽装献金疑惑は「決着」したと強弁、こちらも国民への説明はありませんでした。

 異様なのは、政権と政権与党の中枢が疑惑をもたれる中で、民主党大会でも、なんら批判の声が出ず、小沢氏の開き直りを追認したことです。

 問題になっているのは、公共事業にばらまかれた税金が、企業・団体献金を通じて政治家に還流するという古い自民党政治そのままの疑惑であり、税金から拠出される政党助成金をめぐる疑惑です。

 こうした疑惑に対して、民主党が自浄能力を示せなければ、新しい政治を担うどころではありません。

 ある民主党議員は、「民主党が野党で、与党にこうした疑惑が出たときは大騒ぎになった。それが出てこないのは、国会では圧倒的多数を握り、自民党がまったく再生の見通しをつけられない中で、危機感がない」と漏らします。

 しかし、それはかつての自民党と同質の“おごり”です。

 「小沢支配」の強まりの中、小沢氏に対する公然とした「批判」への「報復」を恐れたり、「小沢氏に代わるリーダーが見つからない」という声も多数ありますが、これらは、民主党の自浄能力のなさ、政党としての脆弱(ぜいじゃく)さを現すものです。

 小沢氏は疑惑をもたれている土地取引の「原資」について、「積み立ててきた個人の資金であり、金融機関の名前、支店名も、検察当局に返答していた」などと述べました。しかし、それだけで取引期日の記載の誤り、原資の調達方法についての説明のさまざまな食い違いや、ゼネコン幹部の「資金提供」の証言など、到底「説明」がついたとはいえません。

 また、小沢氏はあいさつで、「(検察のやり方が)まかりとおるなら日本の民主主義は本当に暗澹(あんたん)たるものになってしまう」などとし、「(参院選で)勝利することが、鳩山政権の基盤を磐石にすると同時に、日本の議会制民主主義を定着させる」などと述べました。

 しかし、疑惑解明に背を向け開き直る姿は、政治不信を増大させ、民主主義を根本から脅かすものです。自民党政治の転換を求める国民の期待を裏切り、政権の基盤を動揺させずにはおかないでしょう。(中祖寅一)



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