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2010年1月14日(木)「しんぶん赤旗」

イラク戦争 検証本格化


侵攻は国際法違反

オランダ 政府の「支持」は不当

独立調査委が報告書

 【ロンドン=小玉純一】オランダ政府が2003年3月の米英軍によるイラク侵攻を支持した問題を調べてきたオランダの独立調査委員会は12日、侵攻は「国際法上の合法性を欠く」とし、同国政府の決定は正当化できないと結論づけた報告書を発表しました。英各紙電子版が伝えました。

 オランダ政府は侵攻開始に「政治的支持」を表明。03年末から05年までイラク南部に約1400人の部隊を派遣しました。

 報告書は、米英政府が武力行使の法的根拠とした02年11月の国連安保理決議1441について「個々の国連加盟国に軍事力行使を認めていると合理的に解釈できない」と結論。また、1990年代の安保理諸決議も「合法性を付与しない」と付け加えました。

 また侵攻がイラクの「体制転覆」の意図を隠し持っていたことも国際法の支持を得られるものでなく、その違法性をオランダ政府は認識していたと指摘しました。

 オランダのバルケネンデ首相は02年から首相を務め、調査には反対してきました。しかし同国メディアの追及を受け、昨年2月に調査開始を指示。委員会は10カ月の調査後、550ページの報告書を発表しました。

 各党はこの問題での議会質疑を政府に要求しています。


1年前に参戦約束

イギリス ブラウン首相も関与

公聴会に元首相側近

 【ロンドン=小玉純一】英国のイラク戦争を検証する独立調査委員会は12日、公聴会を開き、2003年の英軍イラク侵攻を決めたブレア前首相の側近、アリスター・キャンベル元報道担当補佐官が証言しました。同氏はその中で、ブレア氏が侵攻1年前からブッシュ米大統領に参戦を確約し、ブラウン財務相(現首相)にも「頻繁に相談を持ちかけた」ことを明らかにしました。

 キャンベル氏は1994年からブレア氏に最も近い側近で、政権を獲得した97年から03年まで首相の広報戦略の責任者を務め、「スピン・ドクター」(情報操作専門家)と言われました。

 キャンベル氏は証言で、ブレア氏が02年、ブッシュ氏に書簡をたびたび送り、「米英両国は分析と懸念を共有する。イラクに武装解除させるために協力する。外交でだめなら軍事力で実現させる。英国はそこにいる」との趣旨を伝えていたと証言しました。

 侵攻の約1年前の02年4月には、イラクの武装解除を国連決議で成し遂げる努力をするが、「唯一の手段が軍事行動による体制変革なら英国は米政府を支援する」と伝えていたと説明。ブレア氏が米国に、秘密裏に参戦を約束したことを明らかにしました。

 キャンベル氏は他方、イラクが45分で大量破壊兵器を配備できると主張した英政府文書(02年9月)について、政府が脚色したことを否認しました。

 調査委員会は25日にブレア氏を喚問します。ブラウン首相の喚問は、5月6日に実施が予想される総選挙の後としています。

 英政府は強い反戦世論を無視して米国とともにイラクに侵攻。最大時4万5000人を派兵し、昨年7月の撤退までに179人の戦死者を出しました。



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