2010年1月12日(火)「しんぶん赤旗」
文化・スポーツ予算案
「縮減」はね返し前年度並み確保
2010年度予算案で、スポーツ予算と文化予算は前年度に比べ微増しました。両予算は昨年11月の「事業仕分け」で「縮減」とされましたが、幅広い関係者の反発と抗議がわき起こり、予算総額はなんとか確保されました。
選手が声上げ
スポーツ予算は前年度比2億円(0・9%)増の227億円です。事業仕分けでスポーツ予算が「縮減」とされたことに対しては、オリンピックメダリストがそろって会見に臨み、「大変な実情を知ってほしい」と訴えました。これまで政府に公然と「反対」をいうことはほとんどなかったスポーツ界からすれば、選手がスポーツ予算確保を訴えたのは異例でした。
スポーツ予算のなかでは、とくにトップ競技者の強化策、ナショナルコーチの配置などの「国際競技力向上」予算が増額されています。
ただ、身近でスポーツを楽しむための地域スポーツ施設整備などスポーツ環境の根本的充実の方向は見えず、自公政権時代同様、不十分であることには変わりありません。
11万超の意見
文化予算は、4億8500万円(0・5%)増の1020億円となりました。
事業仕分けには、幅広い文化関係者が声を上げました。
外山雄三(作曲家)、中村紘子(ピアニスト)ら著名な音楽家がそろって記者会見。作曲家の三枝成彰氏は「戦車など、もっと高いものがあるではないか」と訴えました。歌舞伎俳優の市川団十郎氏や指揮者の小沢征爾氏はそれぞれ直接、民主党に予算確保を求めました。
文部科学省の意見募集には文化関係だけで約11万3000件の意見が寄せられました。同省によれば、ほぼすべてが事業仕分けの結果に反対する意見。「文化振興は国の責務」「仕分け結果には芸術の公共性についての認識が欠如している」などの声が寄せられました。
運動をさらに
それでも文科省は、今後、文化振興の柱である芸術創造・地域文化振興事業について「優れた芸術活動への重点的支援については3年で2分の1まで縮減するとともに、地域の芸術拠点形成事業を2年で廃止する」としており、重大です。
11年度以降も予算の削減を許さず、充実させていくためには、スポーツ、文化の意義、公共性を明らかにするいっそうのたたかいと世論の盛り上げが必要です。
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