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2009年12月31日(木)「しんぶん赤旗」

脱税サムスン前会長に特赦

韓国大統領が異例の措置

法律家・市民ら猛反発


 脱税などの罪で懲役3年、執行猶予5年の刑が確定した韓国の李健熙(イ・ゴンヒ)前サムスングループ会長が31日、特別赦免されます。韓国政府が29日に発表しました。

 江原道平昌郡が目指している2018年の冬季五輪招致を実現するには、同氏の力が必要だと判断したため。李氏は、国際オリンピック委員会(IOC)の委員ですが、裁判が始まった昨年7月、自らIOCに資格停止を申請しました。

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は29日の閣議で、「国家的観点から赦免を決心した」と表明。「スポーツ界や江原道民、経済界から強い請願があった」と説明しました。

 今回の特別赦免は李氏だけを対象にしたもので、財界人が単独で赦免されるのは初めて。韓国紙は「非常に異例」だと伝えています。

 財界は、赦免決定について、「李氏が、五輪招致のために重要な役割をすることを期待する」(大韓商工会議所)と歓迎。しかし、今年8月に有罪判決が確定した李氏が、わずか4カ月で赦免されることに、法律家や市民団体などは、「法の下の平等に反する」と激しく反発しています。

 「民主社会をめざす弁護士会(民弁)」は同日、「憲法を愚弄(ぐろう)」したと批判する声明を発表。「赦免権は、大統領が思うままに行使できる権限ではなく、法の下の平等権と法治主義を侵害しない限度で、例外的に行使されるべきだ」と指摘しました。市民団体の参与連帯も「オリンピック招致が、法の下の平等の例外と認めるだけの重要なものなのか疑わしい」と批判しました。

 サムスンは韓国最大の財閥グループで、政財界に多大な影響力を持ちます。李氏は08年4月に起訴されるまで、会長を務めていました。同氏は1997年にも、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領への贈賄事件で、赦免されています。(中村圭吾)


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