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2009年12月26日(土)「しんぶん赤旗」

米軍関係経費3370億円

前年度比491億円増 過去最多に


 25日に閣議決定した2010年度予算案の軍事費(4兆7903億円)のうち在日米軍関係経費が大幅に増え、前年度比491億円増の3370億円で過去最多に達しました。

 米軍関係経費が3000億円を超えたのは2000年の3013億円以来。内訳を見ると、在日米軍再編経費は1320億円で前年度比481億円増。鳩山民主党政権はマニフェストで在日米軍再編などの「見直し」を掲げましたが、減額するどころか激増しました。

 中でもグアムでの米海兵隊新基地建設費が約126億円増えているのが目立ちます。沖縄県の米軍普天間基地問題では、「移設先未定」としているものの、同県名護市辺野古での新基地建設にむけた環境調査継続のための費用を含む「移設」費が53億円計上されています。

 米海軍厚木基地(神奈川県)から米海兵隊岩国基地(山口県)への空母艦載機移駐も前年度55億円から270億円へと大幅に増えています。

 SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)関係経費も前年度比57億円増の169億円。

 米軍再編とSACO関係経費で1489億円もの額になります。駐留米軍への「思いやり」予算は1881億円(前年度1928億円)。11月の行政刷新会議による事業仕分けで取り上げられた基地従業員の給与削減が見送られ、基本的に維持されました。

 兵器強化に関するものは、新型護衛艦(巨大ヘリ空母)建造で1208億円、新型戦車13両の調達に187億円費やされます。


解説

根本に軍事同盟の呪縛

 鳩山民主党政権で初めての軍事費は、今後5年間の次期中期防衛力整備計画(中期防)と、その大もとの考え方を示した「防衛計画大綱」のない「異例」の事態のなかで決められました。

 政権としての明確な方針を持たないまま、自公政権と同様の水準を計上。「厳しい財政状況」を唱える一方で、軍事費は政権交代をもってしても触れられない「聖域」として残されました。

 兵器強化の象徴的なものは、全長248メートル、基準排水量が1万9500トン、ヘリ9機を搭載可能な海自最大の新型護衛艦(巨大ヘリ空母)。その建造に1208億円も費やします。

 一方、「ムダを省く」といって新政権が行った「事業仕分け」の結果は、自衛官の実員増と国際平和協力センター建設の予算計上を見送り、168億円にとどまりました。これはヘリ空母建造費の7分の1、新型戦車13両の調達費187億円も下回ります。

 軍事費の「聖域」化は、在日米軍にたいする予算にさらに顕著に現れています。

 在日米軍の「思いやり」予算は基本的に維持。在日米軍再編経費は大幅に増え、米軍関係経費は過去最多に達しました。

 北沢俊美防衛相は25日の記者会見で、「防衛計画大綱」と中期防にかわり政府が17日に決めた軍事費に関する基本方針について、「防衛力の下降線を止める要望をまとめた」と評価し、今後も5兆円規模の水準を維持していく考えを示しました。

 基本方針は、北朝鮮や中国の脅威をあげ「日米間の安保面での協力の深化」をうたっています。日米軍事同盟の呪縛(じゅばく)にとらわれている限り、自公政権の路線を変えることはできません。(遠藤誠二)


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