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2009年12月11日(金)「しんぶん赤旗」

主張

国会法「改正」

解釈改憲への懸念は消せない


 民主党の小沢一郎幹事長が主導する「国会改革」の第1弾として、官僚の答弁を禁止するなどの国会法「改正」案を通常国会に提出することで、民主、社民、国民新の与党3党が準備を始めました。

 焦点になるのは、内閣の憲法解釈などを担当してきた内閣法制局長官の答弁禁止です。社民党は当初、「憲法解釈が変更されかねない」と難色を示していましたが、官僚出席の「新たな場」を設けるという提案で同調しました。

 小沢幹事長は自衛隊派兵の憲法解釈で法制局と対立しており、国会法「改正」が憲法解釈の変更に結びつく懸念は濃厚です。

民主主義に反する改悪

 重大なのは、小沢幹事長が3党で合意したあとの記者会見で、国会閉会中にも国会法の「改正」案を衆院議会制度協議会に示し、野党が賛成しなくても通常国会冒頭に法案を提出、多数決で成立を強行する姿勢を見せたことです。

 国会法は国会運営のルールを定めたもので、時間がかかっても、国会を構成するすべての会派で協議し、合意を得て実行すべきものです。それを国会閉会中から協議し、通常国会冒頭に提出、多数決で処理しようなどというのは、民主主義に反する暴挙です。

 しかもいま国会は、臨時国会の会期末に与党が採決を強行、これに対して自民党が審議を拒否しており、正常に話し合う条件がありません。そのなかで突然、国会法「改正」を持ち出すなどというのは、横暴の一語につきます。

 だいたい小沢幹事長が主導する「国会改革」そのものが、議会制民主主義のうえで大きな問題があります。国会は「国権の最高機関」として、行政に対して監督の権限を持ちます。大臣や政務官だけでなく、必要とあれば官僚に対しても出席を求め、答弁させるのは当然です。官僚の答弁を一律に禁止するなどというのは、その機能を妨げることになります。

 とりわけ、人事院総裁や公正取引委員会委員長とともに、「政府特別補佐人」として答弁してきた内閣法制局長官を、一人だけ「補佐人」からはずし、答弁を禁止するというのは異常であり重大です。

 内閣法制局は内閣の憲法解釈を担当し、自衛隊合憲などの解釈改憲を進める一方、海外での武力行使など、あからさまな憲法違反については認めてきませんでした。1991年の「湾岸戦争」では、小沢氏が当時幹事長だった自民党などが「国連協力」を口実に自衛隊を派遣しようとしたのに対し、内閣法制局が派兵に道を開く解釈の変更は認められないと反対し、実現しませんでした。法制局長官の答弁禁止は、政治家の判断だけで歯止めなく憲法解釈が広げられる危険があります。

自衛隊派兵を認めさせる

 実際、国連の活動なら自衛隊を海外へ派兵し武力を行使しても違憲ではないと特異な憲法解釈に固執する小沢氏は、ことあるごとに内閣法制局を攻撃し、その廃止まで画策してきました。国会法を「改正」し、法制局長官の答弁を禁止しようというのも、政権をとった機会に年来の課題を実現しようという策動といわれて当然です。

 議会制民主主義を守るうえでも、憲法9条を守り生かすうえでも、こうした策動は許されません。国会法「改正」に反対する、世論と運動を高めることが急務です。



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