2009年11月18日(水)「しんぶん赤旗」
犯罪被害救済へ基金を
「ある日突然、肉親が犠牲に…」
過去の事件にも適用求める
「補償求める会」結成1周年 22日にシンポ
ある日、肉親が犯罪の犠牲に―。殺害、あるいは重い障害を負わされたとしても、加害者に資力がなければ、裁判で勝っても損害賠償金はとれません。被害者は心身の苦痛とともに経済的にも追い込まれます。こんな悲劇をなくそうと、「犯罪被害補償を求める会」(兵庫県尼崎市)が昨年10月に誕生、国に救済制度の確立を求めて活動してきました。22日には同市内で結成1周年の記念シンポジウムを開催します。
「会」の会員Aさん(56)は2001年5月、夫を隣家の男に刺殺されました。兵庫県姫路市で町工場を経営していましたが、4年後に廃業しました。
再度の裁判で
Aさんは民事提訴。8000万円の損害賠償の支払いを命じる判決を得たものの、加害者は資産隠し(偽装離婚による妻への財産分与)を行いました。
資産隠し(詐害行為)取り消しのためにAさんは再度、裁判を起こさざるを得ませんでした。最高裁まで争い06年にようやく2500万円を得ました。
5年間の裁判費用は弁護士報酬も含め800万円。損害賠償の残り5500万円については1円の支払いもありません。
「工場廃業後はホテル清掃の仕事に就きました。1日8時間、週6日。裁判との両立は過酷、1年で仕事をやめました」とAさん。
「会」の藤本護会長(79)は「犯罪被害者の訴訟負担は大きく、裁判をあきらめることは珍しくありません。生活の再建もできません」と憤ります。
藤本さんは日本共産党の元尼崎市議。02年3月、近所の男に自宅前で妻を刺殺され、自らも重傷を負いました。裁判所は男を「心神耗弱」と認定、懲役10年の判決を言い渡しました。民事裁判では3200万円の損害賠償が認められましたが、1円も支払われていません。
国は、国による損害賠償の立て替え払いを求める声を退け、昨年、犯罪被害者等給付金支給法を改定し、上限額の引き上げで対応しました。しかし、過去の事件は適用外。給付金も被害者の事情に大きく左右され、例えば、20歳で扶養家族がいない場合の遺族給付金は最高で560万円です。
平等を求めて
「会」は、加害者に支払い能力がない場合、代わって補償する救済基金の設立を国に求め、Aさんのような過去の被害者にも同じ措置=法律の遡及(そきゅう)適用を要求しています。
オウム真理教犯罪の被害者に国が給付金を出す法律が08年に施行されました。同法は1995年の地下鉄サリン事件などの被害者を支給対象にし、死亡2000万円、障害の場合は最大3000万円などと定めています。
藤本会長は「私たちもオウム被害者も同じ苦しみを味わっています。オウム事件と同様、法律をつくれば、過去の一般犯罪被害者にも補償はできるはずです。それが法の下の平等であるはずです」と訴えています。
「犯罪被害補償を求める会」結成1周年記念シンポジウムは、22日(日)午後1時30分から、尼崎市立花・すこやかプラザで、入場無料。問い合わせは電話050・3389・6601。

