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2009年11月7日(土)「しんぶん赤旗」

東大で第2回セミナー

不破さん講演「マルクスは生きている」

生きがいある現代語る


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(写真)公開連続セミナーで講演する不破哲三氏=6日、東大駒場キャンパス

 日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長を講師に迎えた公開連続セミナー「マルクスは生きている」の第2回(最終回)が6日、東京・目黒区の東京大学駒場キャンパスで開かれました。主催は、民青同盟東大駒場班と同セミナー実行委員会。「マルクスをもっと知りたい」など前回セミナー(10月30日)を上回る約580人の学生らが参加。会場は第2会場を含め超満員となり、不破さんの講演に聞き入りました。

 第2回のテーマは「マルクスの眼で見た21世紀の日本と世界」。不破さんが会場の黒板に張り出した資料(10月19日付の朝日新聞グローブ)に参加者は目を見張りました。アメリカ、ドイツ、日本、中国のGDP(国内総生産)が500年間で遂げた変化を示すグラフで、かつて1位だった中国は20世紀初頭に各国に抜かれ、現在では世界第2位に再浮上。資本主義国の後退ぶりと鮮やかな対照をなしています。

 不破さんは、16世紀末に生まれやがて世界を覆った資本主義の支配から、社会主義をめざす国の誕生と植民地の独立で多くの国が離脱してきた20世紀までの流れを概説。「みなさんが生きているのは資本主義が世界の一部分となった時代だ」と特徴づけました。

 「資本主義の矛盾をどうするのか」に話を進めた不破さんは、生産手段を社会が握り生産者が主人公の社会になる、というマルクスの見通しを紹介。貧困や恐慌などの災厄を乗り越えるだけでなく、「すべての人間が自分の能力を発揮できるようになる」未来社会論を語りました。

 続いて、▽中国・ベトナム・キューバは「社会主義を目標にしている発展途上国」の段階にあり、「これから資本主義と社会主義の競争の本番が始まる」こと▽イスラムの国々では異なる文明の共存の動きが広がり、ラテンアメリカでは「新しい社会主義」が合言葉になるなど、世界で巨大な変化が進んでいること―などを紹介しました。

 「日本は非常に特殊な資本主義だ」とのべた不破さんは、社会的ルールづくりの遅れと国家的な対米従属という“二つの異常”を指摘。「日本の社会を前に進めようと思ったらこの二つの災厄を取り払わなければなりません。ここに日本国民のエネルギーが一番発揮されるでしょう。それに成功したら、自分の力で変えられるという自信をもってさらに社会を変える課題に進むでしょう」と展望を示しました。

 最後に不破さんは、第1回講演で寄せられた質問に丁寧に回答。「現代は幸せな時代か」との質問に答え、「未来社会への道を切り開く時代に生き、切り開くことに参加するのは、生きがいのあることではありませんか」と結びました。

 明治大学2年の男子学生は「新しい発見の連続だった。資本主義の位置とその限界を大きな歴史の中でとらえることができた」。中央大学3年の男子学生は「『未来社会への道を切り開く時代』に自分たちが生きているとの見方がとても新鮮だった」と感想を語っていました。

 「マルクスは生きている」連続セミナーのブログ=http://yaplog.jp/marxseminar/


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