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2009年10月23日(金)「しんぶん赤旗」

統一協会 霊感商法裁判

被告「販売員は伝道者」


 統一協会の霊感商法を裁く「新世」事件の第4回公判が22日、東京地裁(秋葉康弘裁判長)であり、被告側は、「新世」の販売員を特別伝道部隊と位置づけ、「販売員でなく伝道者だ」と指導していたことを認めました。


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(写真)霊感商法裁判の傍聴のため並ぶ人たち=22日、東京地裁前

 この日は、印鑑販売会社「新世」社長の田中尚樹、取締役の古沢潤一郎両被告に対して弁護人、検察双方が質問。田中被告は自分が作成した「天一国時代の特別伝道部隊」という文書について、伝道部隊員とは印鑑販売員のことであり、「販売員は印鑑販売を伝道につなげるという思いを共有していた」と述べました。

 また、印鑑の顧客カードに載っている「g」「SK」などについて、「g」は顧客の財産状況を把握する記号で「1g」は100万円であること、「SK」は信者献金のことであり、「SK3000予定」とは3000万円のことだと証言。古沢被告も同様の証言をしました。

 弁護人質問は、「新世」などの活動は統一協会の活動ではないという主張の立証に集中しました。その一方で、田中被告が2006年の年頭あいさつで「(新世が)日本のモデル店舗に」と述べたことを認め、「印鑑だけでなく人参(にんじん)茶などいろいろなものの販売につなげる」などと証言。彼らの活動が広範囲の組織活動に連動していることも浮き彫りになりました。

 両被告は、08年に沖縄の店舗が刑事摘発されたことで販売方法の違法性を認識しながらも、「会社の経営上やめるわけにはいかなかった」と述べました。


「吉展ちゃん事件」を利用

 統一協会は霊感商法で、誘拐殺人事件の「吉展ちゃん事件」を霊感トークに使っていることがわかりました。22日、東京地裁で開かれた公判で田中尚樹被告が認めました。「吉展ちゃんトーク」と呼ばれ、20年近く前から使用が伝えられていたもので、公判廷で統一協会員自身が裏付けました。

 「吉展ちゃん事件」とは1963年3月、当時4歳の村越吉展ちゃんが誘拐され、殺された事件。身代金50万円を奪った犯人は死刑を執行されました。

 統一協会はこれをもとに、吉展ちゃんの先祖が犯人の先祖を殺しており、その因縁で犯人が吉展ちゃんを殺したというストーリーを作成。霊感商法の客に「霊界因縁」を信じさせる材料にしてきました。

 22日の公判で田中被告は「印鑑販売員時代に教えられた。(事件は)因縁のせいだと信じている。聞く人によっては恐怖心をあおるかもしれないが罪悪感はなかった」と述べ、吉展ちゃんの遺族の心情を考えたかとの質問には「そこまで深く考えたことはない」と答えました。


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