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2009年10月1日(木)「しんぶん赤旗」

企業・団体献金

政権交代でどうなる

業界に広がる波紋


 民主党を中心とする鳩山内閣が発足したもとで、政治献金で自民党を支えてきた各種業界団体に波紋が広がっています。これまで業界に有利な政策を期待し、巨額の献金を続けてきた業界団体は、今後どうするのか。高額献金団体や大手企業関係者を取材しました。


 日本経団連は自民、民主など政党の政策に「通信簿」をつけ、会員企業はそれに基づいて献金の額を決めてきました。ほとんどの企業や業界団体は、「B」「C」評価が多い民主党よりも、「A」評価の多い自民党に献金してきました。

 受け皿になっているのは自民の政治資金団体・国民政治協会(国政協)。30日公表の2008年の政治資金収支報告書によると国政協は、法人・企業からの献金を約28億8000万円、業界団体などから約4億円集めています。一方、民主党も国民改革協議会を通じて企業・団体献金を約1億3000万円受け取っています。

 経団連の御手洗冨士夫会長は、新政権のもとでの政治献金について、「現行の献金制度は透明度が高く、これまで通り続けられればいい」と表明したといいます。しかし、ある大手電機メーカー担当者は、「政権交代しているうえに、業績も低迷している。献金は当然見直さざるをえない」と本音をもらします。「献金をやめたいが、業界内のつきあいもある。他の会社がどうしようとしているのか逆に聞きたい」(大手小売販売店)と戸惑う声も。

 日本共産党が長年主張してきた企業・団体献金を禁止する政治資金規正法の抜本改正について、民主党がマニフェストに掲げたことで注目されています。

 「それ(改正)を機会に団体としての政治的活動をやめるという選択肢もある」(石油連盟)と、政治献金のあり方そのものを見直すことを示唆した例もありました。

 しかし、民主は法改正から実施まで3年間の猶予期間を示していることから、「法律で禁止されればやめるのは当然だが、実際に国会が始まってみないとわからない。判断はそれから」(大手電機メーカー)などと多くは様子見の傾向でした。

 会員企業の動向を踏まえて、業界団体内で献金のあり方を見直す動きもでています。

 石油連盟は、国政協に例年8000万円を2回に分けて献金。今年分は予算計上した8000万円の半分をまだ残していますが、「これをどうするかが当面の課題」だといいます。来年以降についても「これまでと同じとはいかない」。

 一方で、政治献金の枠はそのままに、自民・民主の配分を検討するという例も。トヨタ、日産など大手自動車メーカーでつくる自動車工業会は07、08年とも、自民に8040万円、民主に430万円と20倍もの差をつけてきました。「どの政党に献金するかは、これまで通り政策評価で判断する」としつつ、金額の増減については「見直しの検討は必要」と話します。

 自民党の最大スポンサーである日本医師連盟も「今後の対応を検討する」としています。

きっぱりやめよ

 ジャーナリストの青木理さんは、「個人の意思に基づく献金で、政党や政治家を支えるのが民主主義の基本です。利益追求の企業や団体による政治献金はワイロというべきで民主主義をゆがめるもの。きっぱりとやめるべきです」と話しています。

表

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