2009年9月14日(月)「しんぶん赤旗」
各国政府 非識字克服へ努力
読める 書ける 中南米
10年で4カ国が達成
国民本位の社会変革を続ける中南米諸国では、読み書きできない国民をなくす識字運動を政府が率先して進めています。この10年間で、4カ国が相次いで非識字克服を宣言。「識字分野で前進する中南米」(スペイン通信)といわれます。(島田峰隆)
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エクアドル政府は今月8日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が定める非識字克服の基準を達成したと発表。中南米で非識字を克服した国は5カ国になりました(地図)。
同国では2007年1月、大企業や富裕層の利益を優先する新自由主義からの転換を掲げる政府が誕生。政府は同年8月に識字運動に着手し、貧困などの理由で学校に行けなかった成人を対象に、無料の読み書き教室を開いてきました。
政府は8日、西部マンタで記念式典を開催しました。教育省の担当者は、「政府は、国民に教育の権利を保障する特別の努力を強めてきた」と強調。読み書き可能になった人には今後、初等教育を保障すると述べました。
中南米では弱肉強食の新自由主義が押し付けられた結果、多くの国で公共教育が放棄されました。学費の高い私立学校に通えない貧困層は最低限の教育さえ受けられず、読み書きできない成人が今でも少なくありません。
しかし1999年にベネズエラで革新政権が発足して以来、新自由主義から脱却し、国民生活を優先する政権が中南米全体に拡大。各国政府は、識字運動を最優先課題の一つとしてきました。
各国が活用しているのが、キューバが開発した視聴覚識字教育システム「私もできる」です。ユネスコも認めたシステムで、これまで28カ国で活用され、300万人以上が読み書きできるようになりました。
同システムを導入したパラグアイの革新政権は、まもなく非識字を克服できる見込みです。また独自のシステムを活用しているチリ、パナマ、コスタリカなども克服に近いといわれます。
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