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2009年9月1日(火)「しんぶん赤旗」

総選挙結果 海外の報道

「政治的な大変動」


 自公政権を退陣に追い込んだ総選挙の結果について、海外のメディアは大きく報じています。


民主の政策容認より自民党政治への怒り

米国

 【ワシントン=西村央】民主党が圧勝した日本の総選挙結果について、米主要メディアは、民主党の政策への支持というより長年の自民党支配からの転換を願った有権者の意思の表れと特徴付けています。

 ワシントン・ポスト紙は30日の電子版で、「今回の結果を招いたのは、民主党の選挙公約ではなく、過去54年のほとんどの期間続いてきた自民党支配を終わらせたいとの、有権者のうっ積した怒りだった」と報じました。

 ニューヨーク・タイムズ紙30日電子版も、民主党勝利の要因について、「その政党や政策を容認したというより、保守的な政権与党に対して明確な拒否を示したもの。有権者は景気停滞が続いていることや将来像が描けないことへの非難を示した」と分析しています。

 同紙はまた、日本の報道や街の声では、半世紀以上続いた自民党支配がすぐに収束するかどうかについては、期待と懸念が交錯していると指摘。「(民主と自民の)二つの政党がほとんどの政策で似通っており、大きな転換をもたらすかどうかは不透明な点が残っているからだ」と述べています。

寄り合い所帯である民主の外交に不安も

中国

 【北京=山田俊英】31日の中国メディアは日本の総選挙結果を大きく報じました。いずれも「経済をはじめ新政権は厳しい挑戦に直面する」(国営中央テレビ)と解説しています。今後の日中関係については新政権下でも良好な関係が続くと観測していますが、民主党がタカ派勢力も含めた寄り合い所帯であることに不安が出ています。

 中国共産党機関紙、人民日報は「日程上、鳩山首相はまず外交の試験を受ける」と指摘。9月下旬、一連の国際会議のため訪米した際、気候変動、日米関係、アジア外交、世界経済などで「どのような答案を出すかは民主党政権の今後にかかわることだ」と指摘しました。

 中国青年報は「民主党内部は種々雑多」と題する解説を掲載し、「外交政策で民主党にはハト派からタカ派、左から右までなんでもあり、矛盾と対立が突出している」と分析しました。

 国際問題紙、環球時報は「日本と中国などアジア諸国の相互依存は深まっており、アジアを重視しなければならいことは民主党もわかっている」と報じました。

「変化への渇望」呼ぶ日本の政治史を画す

アジア

 韓国では、31日付の東亜日報の社説が「『変化への渇望』が呼んだ半世紀ぶりの政権交代、日本の政治史を画す歴史的な意味を持つ」と論評しました。

 また朝鮮日報の社説は、「自民党54年独走に幕」と述べる一方で、「民主党が歴史問題で日本がこれまで繰り返してきた過ちを断つことができるか注目される」としています。

 KBSテレビは、「日本の侵略や植民地支配を美化し、わい曲した歴史教科書が民主党政権でどう扱われるか注視したい」と報じました。

 シンガポール英字紙ストレーツ・タイムズ31日付は「不満をつのらせた有権者が政権交代を選んだ。しかし、有権者は喜んでいるわけではない」と指摘。「経験不十分な民主党に日本の議会政治に新しい夜明けをもたらすよう政権交代を託したものの、それがどうなるかは不確かだからだ」と東京特派員電で伝えています。

 同国の経済紙ビジネス・タイムズは「日本の国民が戦後政治の伝統に反旗を翻し、半世紀以上にわたって政権の座にあった自民党を拒絶した結果だ」と伝えました。

 香港紙・明報31日付社説は、「国民は変化を求めたが、政治や経済の今後の青写真はまだ見えていない」としています。

「まさに日本的反乱」政治体制にショック

英国

 【ロンドン=小玉純一】英紙フィナンシャル・タイムズは30日、日本の総選挙結果について「まさに日本的反乱」と題した論評を電子版に掲載しました。「日曜日の政治転換は、長く先延ばしされてきた戦後日本政治秩序への拒否が頂点に達したもの」と評し、「社会革命を起こす確信も意思もないまま」だが「反乱であったことは確かだ」と結論づけています。

 論評は「米占領終了以来最大のショックを政治体制に与えた」と指摘。「有権者はこれまでの政治への不満と新しいものにかける意思を表した」と論じました。

 同時に「目に見えているほどの激動ではなく」「唐突なものではない」と指摘。「民主党は急進的な新しい政策というより、所得支援と規制を通じた包括的な資本主義を強調した」「有権者は自分たちの年金・医療、子や孫の雇用を心配し」「ほかの手段で現状維持を図ろうとしたように見える」と論じています。

格差拡大に審判下す街中の雰囲気は冷静

フランス

 フランスの保守系新聞フィガロ31日付(電子版)は、「野党の大勝利」とする東京特派員の記事で「日本の有権者は、変化と同時に、この間の格差・失業などの拡大をもたらした与党に審判を下すことを望んだ」と述べています。

 民主党が、年金生活者、家族、低所得者への手当を基礎とする「暮らしのための政治」を掲げて選挙をたたかったことを「日本においては革命的なことだ」と指摘しました。

 記事はまた、テレビの政治コメンテーターたちが民主党の勝利への興奮を隠しきれなかった一方で、街中には政権交代を祝う雰囲気は特になく、投票率も前回とさほど変わりないと冷静に分析する一面も見せています。

不満爆発させた

豪州

 豪州紙アドバタイザー紙(31日電子版)は、民主党の勝利について「ほとんどの有権者は、野党(民主党)の政策を支持したというよりも、与党・自民党への不満を爆発させたように見える」と分析しています。

 オーストラリアン紙(同)は、民主党が米国と対等な同盟関係を目指すと主張していることについて、「民主党は、根本的に同盟を脅かすことはないだろう」との見通しを示しています。



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