2009年8月28日(金)「しんぶん赤旗」
アフガン戦争 米 じわり悲観論
専門家が撤退提起
えん戦世論過半数
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領がアフガニスタン戦争の戦略見直しをすすめるなか、アフガン駐留米軍のマクリスタル司令官が9月上旬にもまとめる戦況報告に関心が集まっています。一方で米外交専門家の間には、アフガン戦争への“悲観論”がじわりと広がっています。
「(軍事中心から外交努力に軸足を切り替える)“スマート・パワー”なんておしゃべりするのは、もうやめる必要がある」―マクリスタル氏の戦略顧問の一人、アンソニー・コーデスマン氏はいらだちをあらわにしました。有力シンクタンク・ブルッキングズ研究所が25日にワシントン市内で行った討論会でのことです。
神経とがらせ
同氏は、アフガン駐留米軍、北大西洋条約機構(NATO)軍の軍事作戦は連携が取れておらず、投入資源も配分に的確性を欠き、資金も不足していると指摘。オバマ政権が本当に“勝利”したいなら、再増派だけでなく、戦費増も必要だと強調しました。
マクリスタル氏の戦況報告は、ゲーツ国防長官の指示で当初は8月中に提出する予定でした。ところが米メディアが、再増派の必要性を提言するとの観測を流したため、マクリスタル氏、ゲーツ氏、マレン統合参謀本部議長が2日、ベルギーでひそかに会談。5日には国防総省のモレル報道官が、報告に増派要求は含まれないと述べました。オバマ政権が「増派論」に神経をとがらせている様子がうかがえます。
オバマ氏は17日、「アフガン戦争は必要に迫られた戦争だ」と改めて強調。米国へのテロ攻撃を狙うテロ組織掃討は終わっていないとして、「アフガンのゲリラは一夜にして起こったわけではない。打ち負かすにも一夜ではできない」と戦争に理解を求めました。
これに対し、米有力外交シンクタンク・外交問題評議会のリチャード・ハース会長は、「アフガン戦争は(必要に迫られた戦争ではなく)選択した戦争だ」と指摘(米紙ニューヨーク・タイムズ21日付)。“勝利”できないなら、撤退も選択肢だと論じています。
政権に試金石
20日付の米紙ワシントン・ポストは、同紙とABCニュースの共同世論調査で、アフガン戦争を「たたかう価値のない戦争」と答えた人が初めて過半数となったと報じました。同紙によれば、イラク戦争で反対が過半数に達した後、ブッシュ政権の求心力が急速に低下。「アフガン戦争はオバマにとっての政治的試金石」(同紙26日付)となっています。

