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2009年8月12日(水)「しんぶん赤旗」

民主党、なぜぶれる


「検討」→「なじむのか」

非核三原則法制化

 民主党の直嶋正行政調会長は10日、鳩山由紀夫代表が政権を獲得した場合に非核三原則の法制化を検討すると表明したことについて、「そういう考え方があってもいいという言い方で、必ずしも検討を約束したのではない」と指摘し、代表の発言を事実上修正しました。

 直嶋氏の発言は、青森市内で開かれた衆院選マニフェスト(政権公約)の説明会に出席後、記者団の質問に答えたものです。

 鳩山代表も11日、党本部で「法制化の検討はしたいが、果たして本当になじむのか」と語りました。

 鳩山氏は、もともと「つくらず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則から、「持ち込ませず」を除外した二原則にするのが持論。日米核密約にかんして、「必要性というものがあったからこそ現実的な対応がなされてきた」(7月14日)と是認し、三原則の見直しを示唆していました。その後、発言を「修正」したものの、法制化に関しては「法律にすれば変えられる危険性がある」(4日)と慎重姿勢でした。

 それが一転して、「法制化を検討していく」(9日)と発言したため、「ぶれる鳩山氏 民主困惑」(「朝日」11日付)と報じられました。

 直嶋氏の発言や、その後の鳩山氏の発言は、こうした党内の「困惑」をうけてのものとみられます。

 党内の混乱は、「日米軍事同盟中心」という自民党政治のゆがみをただす立場がない同党の弱点からくるもので、米国の姿勢を確認してからでないと、自らの方針も定められないという現状を示しています。

 いま必要なのは、核密約を公開・破棄し、非核三原則の実効性をはかることです。日本共産党は、そのことを通じて、名実ともに「非核の日本」にすることをめざしています。

「促進」→「4年内で締結」

日米FTA

 民主党の岡田克也幹事長は10日の東京都内での講演で、米国との自由貿易協定(FTA)について「4年間でさまざまな問題が決着して締結できればいい」と述べ、4年以内の日米FTA締結を目指す考えを示しました。

 民主党は7月27日に発表した総選挙マニフェスト(政権公約)の「外交」項目に米国とFTAを「締結する」と明記。しかし農業関係者から大きな反発がおき、菅直人代表代行が7日の記者会見でマニフェストの文言を「締結」から「交渉を促進」に“修正”すると明らかにしたばかりです。岡田氏の発言は、いくらマニフェスト上の表現を変えても民主党が日米FTA締結の立場にたっていることを示すものです。

 岡田氏は会見でマニフェストの表現変更について「相手がある話なので『締結』より『交渉促進』という表現が望ましいと判断した。(米国と)交渉していく」としています。また、民主党の内部資料でも「FTAの推進、それを進めるにあたっての条件などについての考え方は一貫しており、公約の修正ということではない」と説明しています。

 民主党は日米FTAの「交渉促進」の際、「食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない」と弁明しています。しかし、いったん「交渉」に入り、それを「促進」しようとすれば、農業とコメ抜きの日米FTAなどありえないことは民主党自身認めるところです。

 小沢一郎代表代行は10日の岡山市内での記者会見で日米FTAの「締結」問題で農業関係者から批判が出ていることについて「どのような状況になろうとも、戸別所得補償制度を導入するわけだから、生産者は何も心配ない」と発言。同党の農家への戸別所得補償政策が農産物の輸入自由化を前提にしていることを改めて示しました。



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