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2009年8月12日(水)「しんぶん赤旗」

総選挙勝利全国いっせい決起集会

志位委員長の報告


 日本共産党の志位和夫委員長が11日の総選挙勝利全国いっせい決起集会でおこなった報告は次の通りです。


写真

(写真)報告する志位和夫委員長=11日、党本部

 親愛な同志のみなさん、CS通信、インターネット中継をご覧の全国の同志のみなさん、おはようございます。

 報告に先立って、この間の豪雨災害、地震災害で被害にあわれた方々への心からのお見舞いを申しあげるとともに、現地で救援にあたっているみなさんに敬意を申し上げるものです。

 総選挙の投票日まで残り19日間となりました。いよいよこれからの一日一日のたたかいが勝敗を分ける歴史的日々であります。

 私は、総選挙をめぐる情勢と政治論戦の特徴、私たちの活動の到達点をどうみるか、勝利のために何が必要かについて、報告します。

一、政治論戦の特徴と、日本共産党の値打ちに深い確信をもって

幹部会声明にもとづく政治論戦が大きな力を発揮している

 まず総選挙をめぐる情勢と政治論戦の特徴について報告します。

 この間、私たちは、7月16日の幹部会声明にもとづいて政治論戦にとりくんできました。幹部会声明は、多くの国民の気持ちにそくした形で、党の値打ちを三つの角度から押し出したものであります。第一に、自公政権退場の「審判」をくだす先頭にたつ党であること。第二に、「国民が主人公」の日本、「二つの旗印」――「ルールある経済社会」「自主・自立の平和外交」という新しい日本の進路を示す党であること。そして第三に、選挙後の新政権のもとで「建設的野党」としての役割を果たす党であることであります。この声明は、きわめて大きな力を発揮し、全国から「訴えやすくなった」「どんどん支持が広がる」という報告がたくさんとどいています。

 その後、わが党は総選挙政策を発表し、各党もマニフェスト(政権公約)を発表しました。直接の政党間論戦も始まっています。このなかで日本共産党の三つの値打ちがますます浮き彫りになってきています。その特徴を報告したいと思います。

自公政権退場の「審判」の先頭に――この立場がいよいよ重要に

 第一に、自公政権退場の「審判」の先頭にたつわが党の立場がいよいよ重要になっている、ということであります。

 わが党が、自公政治への国民多数の怒りを共有し、怒りの代弁者となることで、党の訴えへの共感の扉が開く――これは全国から共通して報告されていることです。

 選挙戦の展開のなかで、自公政権への批判と怒りはいよいよ広がっています。自民党が発表したマニフェストは、行き詰まりと破たんの自己証明のような文書となりました。そこではまず「安心」を押し出していますが、自分たちが国民の暮らしの安心を壊したことへの認識も反省もまったくありません。まっさきにのべられているのは、暮らしの安心を根底から破壊する消費税増税の宣言です。つぎに「活力」を押し出し、「10年間で家計の手取りを100万円増やす」とありますが、自公政権の10年間で家計の収入を約70万円奪ったことへの認識も反省もなく、10年後のことを書いてもむなしいだけであります。さらに「責任」なるものを押し出していますが、その中身は自衛隊の海外派兵の恒久法制定と憲法9条改定という危険きわまる道の宣言であります。ここには政権党として国民に訴えるものを失ってしまっている無残な姿が示されています。政権党というのは、その党なりに国民に展望を語ってこそ政権党ですが、何の展望も語れなくなってしまったこの党には、もはや退場しかないといわなければなりません。(拍手)

 同時に、この党に決定的な「審判」をくだす確固とした立場をもっているのは日本共産党だということを強調したいと思います。自民党が居直って押し出してきた消費税増税でも、憲法改定でも、その誤りを正面から突き、行き詰まった政治の打開の展望を示せるのは日本共産党しかありません。

 みなさん。日本共産党を伸ばすことこそが、自公政権退場の決定的な「審判」となることを、最後まで訴えぬこうではありませんか。(拍手)

新しい日本の進路――論戦の進展のなかで値打ちが浮き彫りに

 第二は、新しい日本の進路を示すわが党の値打ちが論戦の進展のなかでいよいよ浮き彫りになっている、ということであります。

 わが党の総選挙政策が、他党のものとどこが根本的に違うのか。つぎの三点をぜひしっかりつかんでいただきたいと思います。

「日本の将来像」と、具体的政策を一体に押し出す

 一つは、「日本の将来像」をどうするかという大きな改革の方針と、国民の切実な要求にもとづく具体的な政策を一体に押し出していることであります。

〈メディアからも「国の形をどうするのか」という問いかけが〉

 いま多くの国民は「政権交代」の4文字の先を求め始めています。自公政権が退場した後の日本の政治をどうするかに関心が向かいつつあります。それを反映して、メディアからも「国の形をどうするのか」「日本の将来像をどうするのか」という問いかけがなされています。あるテレビ番組では、自民党と民主党に対して、「マニフェストには、いろいろな材料が書いてある。しかし、『カレー』になるのか、『肉じゃが』になるのか、政策の路線が見えてこない……。日本はどの方向に進もうとしているのか。国民には材料だけでなく、ビジョン(将来像)を示すべきではないだろうか」という指摘もされました。

 「日本の将来像をどうするのか」――この問いかけに正面から答える立場をもっているのは日本共産党だけであります。わが党の政策は、単なる要求の羅列ではありません。要求から出発しながら、それを実現するには「国の形」を大本から変えていくことが必要だということを、一体のものとして示しているところに、わが党ならではの政策の力があります。そしてその土台には綱領の力があるということを、私は強調したいと思います。

〈「ルールある経済社会」という経済改革と一体に〉

 たとえば総選挙政策では、人間らしい労働のルール、社会保障の抜本的充実、安心して子育てができる社会、中小企業の応援、農林漁業の再生など、暮らしにかかわる一連の政策提起をおこなっています。これらはどれも、欧州など世界の水準に比べて日本の資本主義がいかに異常か――「ルールなき資本主義」という角度から現状を批判し、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」を築くという経済改革と一体に提起をしているところに特徴があります。

 佐賀県委員会に4日、ある男性からこういう電話が寄せられました。

 「どうしても政権交代させたいので、ずっと民主党に入れてきました。しかし、こんどは政権交代しそうだ。政権交代後に政治がどうなるかを考えるようになりました。各党のマニフェストをインターネットで調べました。共産党の政策が一番自分の考えと一致しました。近々カンパを持って事務所に伺います」

 国民の関心は「政権交代後」に向かいつつあります。その時にどういう政治をつくるのか。日本の将来像をどうするのか。この問いへの一番確かな答えをもっているのが日本共産党であります。みなさん。ここに確信をもってわが党の政策を訴えぬこうではありませんか。(拍手)

最も責任ある財源政策を示している党

 二つ目は、政治のゆがみを根本からただせる党かどうかは、財源論に最も集中的に示されるということです。財源論というのは、単なるソロバン勘定ではありません。政治の根本姿勢と一体のものです。そこには、それぞれの政党の政治の根本姿勢が最も端的にあらわれます。

 日本共産党こそ、最も責任ある財源政策を示している政党であります。

〈二つの「聖域」にメスを入れる歳出・歳入の改革〉

 その根本は、二つの「聖域」にメスを入れる歳出・歳入の改革です。歳出では、無駄な巨大開発などとともに、軍事費、とりわけ米軍への「思いやり予算」に縮減・廃止のメスを入れることができるか。歳入では、大企業・大資産家への行き過ぎた減税にメスを入れることができるか。ここが試金石となります。わが党は、歳出・歳入の改革で、消費税に頼らずに12兆円の新たな財源が作れる、それを暮らしをよくするためにあてようと具体的に提案しています。いま世界経済危機のもとで、米国などでも、大資産家・大企業に負担を求め、国民生活に充てるという動きがすすんでいます。こうした国際的動向も紹介しながら、わが党の財源論を説得力をもって語り、「消費税増税反対の声を安心してあげよう。その声を日本共産党へ」と訴えぬこうではありませんか。

 自民党は、この二つの分野を文字どおりの「聖域」としたまま、消費税増税のあからさまな宣言をおこなっています。民主党にとっても、この二つの分野は不可侵の「聖域」です。その結果、どうしてもつじつまのあわない財源論となり、結局は消費税増税に行き着かざるを得ません。これらは両党が「財界中心」、「軍事同盟中心」という政治のゆがみをただす立場をもたないことと一体の、財源論での致命的弱点であります。

〈国民負担にツケ回しをする“バラマキ競争”にくみしない〉

 わが党の財源論のもう一つの特徴は、国民に負担のツケ回しをする無責任なバラマキ競争には参加しないということであります。

 たとえば子ども手当について、民主党は月額2万6千円を給付するとしています。財源さえあれば子ども手当が多いほうがよいのは当たり前ですが、わが党は、民主党のように扶養控除、配偶者控除の廃止など、サラリーマン増税と抱き合わせの手当増額という立場はとりません。このやり方では、子どもを持たない、あるいは持てない家庭への事実上のペナルティーとなるときびしい批判の声が寄せられています。「子どもをつくりたいができなくて不妊治療をしています。こういう人が民主党では増税になるのはおかしい」。こういう声が、党本部にも多数寄せられています。日本共産党は、こうした財源の裏付けのない、国民に負担のツケ回しをするバラマキ競争には参加しません。総選挙政策では、「児童手当を現行の2倍の1万円に引き上げ、18歳までの支給をめざして改善していきます」という積極的かつ現実的な政策を、総合的な子育て支援の一環として提案しているところに注目していただきたいと思います。

 自民、民主両党からは高速道路の無料化や大幅引き下げという方針も打ち出されています。しかし、ここに何千億円、何兆円という税金を注ぎ込むことが、税金の使い方の優先順位として適切でしょうか。日本共産党の立場は、無駄な高速道路建設に歯止めをかけないまま、旧道路公団の借金を国民に肩代わりさせてすすめられようとしている高速道路料金の軽減よりも、福祉や教育に税金を優先して使うというものであります。高速道路無料化に必要な財源は1・3兆円ですが、同じ1・3兆円があれば、わが党が提案している高齢者と子どもの医療費を国の制度として無料にできます。どちらが優先されるべきかは明らかではないでしょうか。地球温暖化への対応を考えても、ここでバラマキを競い合うという立場に、わが党はくみしません。

 このように日本共産党こそ最も責任ある財源政策を示している党であり、それは「国民こそ主人公」というわが党の政治信条と一体のものであるということを、私は強調したいと思うのであります。(拍手)

9条を生かした平和外交でぬきんでた立場

 三つ目は、日本共産党が、「9条を生かした平和外交」を、具体的に提案し、またそれにもとづいて行動している政党だということです。

 この8月は日本国民にとって特別な月であります。多くの国民が戦争と平和、核兵器の問題について、真剣に考える月であります。この総選挙は、その8月という月に戦後初めておこなわれる総選挙となります。世界の動きをみましても、「核兵器のない世界」にむけて歴史的な変化がおこりつつあります。そうしたさなかにたたかわれる総選挙となります。どの党が平和の願いを託せる党かも、総選挙で問われる重大な争点であります。

 日本共産党が示し、実践している平和外交の立場は、ぬきんでたものであります。とくにわが党が、「核兵器のない世界」にむけて積極的提言と、具体的行動をおこなってきたことは、これまでになく広い国民の共感をよびおこしつつあります。オバマ大統領への書簡と米国政府からの返書につづいて、私は、8月4日、ミゲル・デスコト国連総会議長と核兵器問題で会談する機会がありました。私が、核兵器廃絶での協力を要請したのにたいして、デスコト議長は、オバマ大統領あての書簡について、「自分もすでに読みました。あなたの見解に賛成です。この歴史的好機を生かしましょう」と応じました。国連議長との間でも核兵器廃絶での協力で一致したことは、たいへんうれしいことであり、全党のみなさんに報告しておきたいと思います。(拍手)

 わが党は、この変化する世界にあって日本がなすべきは、米国の「核の傘」から離脱して、名実ともに「非核の日本」を築くことであり、そうしてこそ被爆国として核兵器廃絶へのイニシアチブを発揮できると主張してきました。そのためにも日米「核密約」を公開・廃棄することが重要だと提起してきました。これもわが党ならではの主張であります。

 この問題で、自公政権がとっている態度は、被爆国の政権としてまさしく失格であります。自民党のマニフェストには「核兵器廃絶」の「か」の字もありません。麻生首相が、8月6日に広島で言ったのは「核の傘」への依存であり、8月9日に長崎で言ったのは、「核兵器の先制使用」を否定しないということでありました。私が、長崎での記者会見で明らかにしたように、日本政府が、米国の攻撃型原子力潜水艦に搭載する核巡航ミサイルの削減・廃棄に反対する具体的な働きかけをするなど、オバマ政権の核兵器廃絶への政策転換の一番の妨害者という恥ずべき役割を果たしていることもきわめて重大であります。

 民主党にも、米国の「核の傘」からの離脱という立場がありません。鳩山代表の核問題での発言の迷走の根本には、この問題があります。鳩山代表は、「非核三原則の法制化の検討」ということを長崎でのべましたが、これは「核密約」の公開・廃棄と一体にすすめてこそ意義があります。しかし「核密約」をどうするかは、マニフェストには一行も書かれていません。

 みなさん。「核兵器のない世界」、「戦争のない世界」、憲法9条を守る、そして9条を生かした平和外交の日本を――この願いを歴史で試されずみの平和の党、日本共産党にという訴えを、この8月にたたかわれる総選挙で国民のなかに広げに広げぬこうではありませんか。(拍手)

総選挙後の新政権のもとでの「建設的野党」としての役割

 第三は、総選挙後の新政権のもとでの「建設的野党」としての役割についてであります。

 幹部会声明は、総選挙後の新政権のもとで、国民の要求実現の「推進者」、間違った政治を食い止める「防波堤」、「国民が主人公」の政権への国民的共同を強めるという、三つの仕事を果たす、「建設的野党」として奮闘することを明らかにしました。この仕事のそれぞれが、論戦の進展とともに、その重要性がきわだってきています。

「推進者」――積極的な問題提起で現実政治を動かす

 まず国民の要求実現の「推進者」についてであります。これは相手の提起に受け身で対応するという立場ではありません。わが党の側から積極的な問題提起をおこない現実政治を動かすということであります。論戦を通じて、総選挙後に、実現の可能性が生まれてきた一連の課題があります。労働者派遣法の改正、後期高齢者医療制度の撤廃、障害者自立支援法の応益負担の廃止、生活保護母子加算の復活、高校授業料の無償化、給付制奨学金の創設などですが、そのどれもが日本共産党が他党に先駆けて提起し、国民の共同したたたかいによって、政治の課題に押し上げてきたものであります。ですから、それを実行させる一番の保障となるのは、日本共産党の躍進であります。

「防波堤」――具体的な形で明瞭となり、わが党の役割が重要に

 つぎに間違った政治を食い止める「防波堤」についてであります。民主党がマニフェストを発表するもとで、この中身が具体的な形で明瞭(めいりょう)となり、わが党の役割がいよいよ重要となっています。「防波堤」をだいぶ高くしなければならないということが、論戦を通じて明らかになってまいりました。

 民主党は、マニフェストに「日米FTA(自由貿易協定)の締結」と書き込みました。しかしこれが強行されれば、日本の農業とコメは文字どおり壊滅的打撃を受けます。ある試算では、コメの生産量の82%が破壊されます。この方針には、農業関係者と国民からのごうごうたる批判がわきおこっています。民主党は、あわててマニフェストに記載した「締結」という言葉を「交渉を促進」するに変えてみたものの、両者の間に何の違いもありません。いったん「交渉」に入り、それを「促進」しようとすれば、農業とコメぬきに日米FTAなどありえないのであります。これはこの党の「日米軍事同盟中心」の立場が、鮮明に現れたものにほかなりません。

 民主党政権がこの暴挙に踏み出したときに、「防波堤」になれるのはどの党か。農産物輸入自由化をすすめ、日豪FTA協議をスタートさせた自民・公明に「防波堤」の役割を期待することはできません。みなさん。日本農業を再生させる大黒柱となれるのは日本共産党しかないことを大いに訴えていこうではありませんか。(拍手)

 民主党のマニフェストには「衆院比例代表定数80減」が書き込まれ、こともあろうに「無駄づかい」をなくすの項目に入れられました。しかも民主党幹部は、「国会で法案を提出する」とまで公然と踏み込んだ発言をおこないました。比例代表は、現行制度のなかで、国民の民意を正確に反映する唯一の民主的制度です。それを半減すれば、自民・民主で議席の95%を占め、国民の声が国会に届かなくなります。たとえば、消費税増税反対は国民多数の声ですが、自民・民主両党は増税派です。消費税増税反対という国民多数の声が国会に届かなくなります。また憲法9条守れという声も国民多数の声ですが、自民・民主両党は改憲派です。憲法9条守れという国民多数の声も国会に届かなくなります。切り捨てられるのは、暮らしと平和を守りたいという国民多数の声なのであります。ここを広く明らかにして、この民主主義破壊の暴挙を断じて許さない、これを食い止めるために全力をつくす決意をかためあおうではありませんか。(拍手)

「民主的政権」――政治のゆがみを根本からただす「国民が主人公」の政権を

 さらに、「国民が主人公」の民主的政権のための共同を広げる仕事も大切です。民主党には、「財界中心」「軍事同盟中心」という政治の根本のゆがみをただす立場はありません。その弱点は、お話ししてきたように財源論にも、外交論にも、農業にも、いたるところに具体的な形であらわれます。日本の政治が民主党中心の政権にとどまらずに、さらに前に動かす力となるのは日本共産党の前進・躍進であります。

 民主党政権が現実となる可能性が高まるもとで、また論戦がすすむにつれ、国民のなかに期待とともに不安も広がっています。自公政権退場の先頭にたつとともに、民主党中心の政権となったら「建設的野党」の役割を果たすというわが党の訴えは、こうした国民の気持ちともぴったりあったものだということを強調したいと思います。

 こうして論戦の進展とともに、日本共産党の三つの値打ち――自公政権を退場に追い込む、新しい日本の進路を示す、「建設的野党」として奮闘する――がいっそう浮き彫りになる状況にあります。みなさん、ここに全党が深い確信をもって、わが党の立場を全有権者規模で大いに語りぬこうではありませんか。(拍手)

二、選挙戦の現局面をどうみるか、いかにして勝利するか

選挙戦の現局面をどうみるか

選挙戦の激しさ、厳しさを直視し、どの党にも負けない構えを

 つぎに、選挙戦の現局面をどうみるか、いかにして勝利するかについて報告します。

 まず選挙戦の現局面をどうみるかについてであります。

 政治論戦でのリード、党前進・躍進の条件が存在することは明らかですが、同時に選挙戦の実際の様相は、激しく、厳しいものがあり、それを直視することが必要であります。

 「自公政権ノー」の流れは、解散後、いよいよ加速しています。この流れそのものは、日本の政治を前に動かす流れであり、私たちと方向を同じくする歓迎すべき流れであります。

 同時に、この流れが、「二大政党」の「政権選択」という大キャンペーンのもとで、民主党への支持の大きな流れとなり、党の働きかけが弱いところでは、これまでの党の支持層にも、それは及んできています。この面も直視する必要があります。

 くわえて、自民・公明は、国民の激しい怒りに直面して、支持層をつなぎとめようと必死のたたかいをおこなっています。群馬県で自民党が配布しているビラには、「反省。それでもやっぱり自民党」「暮らしの現場を知っているのは“自民党”」と、苦境のなかでの懸命の支持つなぎとめの訴えが書かれています。

 さらに、小選挙区選挙での自民・民主の激しいつばぜり合いが、比例代表選挙にも及び、比例でも1票を争う激烈なたたかいが展開されているのが全国的な特徴です。公明党が、あらゆるつながりを生かして比例での支持拡大に必死になっていることも、全国各地からのぶつかりあいで報告されています。

 こうした選挙戦の激しさ、厳しさを正面から直視し、私たちが、それに負けない構えを確立し、どの党をも凌駕(りょうが)する活動を展開することを訴えるものであります。

到達点――勝敗を分ける歴史的局面に私たちは立っている

 私たちの活動の到達点をどうみるか。幹部会声明を受けて、全党が全体として活力を増し、元気いっぱいのとりくみが各地に広がっています。各地の演説会をみても、私もこの間各所にうかがいましたが、空前の集まりのところも各地に生まれるなど、「今度こそ勝ちたい」という全党のみなさんの熱い思いをひしひしと肌身で感じます。有権者との関係でも、幹部会声明、総選挙政策をつかんで、訴えたところに壁はありません。支持がどんどん広がる状況があります。同時に、活動の到達点そのものは、全党の奮闘によって全体として前向きの変化をつくり出しつつあるとはいえ、勝利に必要な規模と速度になっているとはいえないことを率直に報告しなければなりません。

 8月10日時点での全党的な到達点は、「しんぶん赤旗」8月号外配布は、25・6%。比例代表の支持拡大は積み上げで661万と、支持拡大目標比で50・8%であります。

 現時点の情勢判断としては、活動は急速に広がりつつあるとはいえ、私たちの活動がこのままの規模と速度で推移するならば、議席をもっているどの衆院比例ブロックも議席を後退させる危険があることを率直に伝えなければなりません。同時に、いま活動の飛躍をつくることに成功するならば、650万以上の得票目標を実現し、党前進・躍進を勝ち取る条件は、どの比例ブロックにも存在する。その土台となるような活動を、この間の全党の奮闘によってつくってきているということも強調したいと思います。公示までの7日間、公示後の12日間の一日一日のたたかいが、勝敗を分ける歴史的局面に私たちは立っているのであります。

いかにして勝利するか――全有権者規模での宣伝・対話の大飛躍を

8月18日(公示日)を投票日に見立てて、得票目標の2倍の支持拡大を

 いかにして勝利をかちとるか。やるべきことは明瞭です。私は、あと1週間後に迫った、8月18日、公示日を、総選挙の投票日と見立てて、「しんぶん赤旗」8月号外を配布しきるとともに、得票目標の2倍以上の支持拡大をこの日までに何としても突破することを強く呼びかけるものであります。そして、公示後にはさらに「広げつつ固め、固めつつ広げる」宣伝・組織活動を発展させるようにしたいと思います。

 公示日までに得票目標の2倍の支持拡大という方針は、有権者の多くが公示前に投票態度を決め、公示日の翌日から期日前投票が始まる、すなわち公示日以降は毎日が投票日であるということを考えた場合に、どうしてもやりぬかなければならない方針であります。2007年の参議院選挙では実に投票者総数の17・8%、1000万人を超える有権者が期日前投票をおこなっています。8月30日は夏休み最後の日曜日でレジャーなどの事情で投票に行けない人が数多く生まれることも予想されます。ですから期日前投票は、これまでのどの選挙にもまして重要となってくるでしょう。そのことを考慮するならば、8月18日までに得票目標の2倍以上の支持拡大を、全党の総力を結集して必ずやりぬき、公示後のたたかいに入りたい。勝利のためにはいま飛躍がどうしても必要な瞬間です。全党のみなさん。その決意を、全党がこの全国いっせい決起集会で固めあおうではありませんか。(拍手)

 そして一つの新しい方針を提起したいと思います。公示以降は、対話・支持拡大の運動のなかに期日前投票の組織を位置づけ、本格的なとりくみをおこなうようにするということです。期日前投票は、2003年の公選法改正で導入され、投票日以前に投票する人の選挙参加を保障するものであり、わが党も積極的に賛成した制度であります。公示までに得票目標の2倍をこえる支持拡大をやりとげ、公示後は、さらに支持拡大を発展させるとともに、期日前投票に行っていただくように案内する活動に、本格的にとりくむことを、新しい方針として実行することをよびかけるものです。公示後は毎日が投票日、この立場でたたかいを新しく発展させようではありませんか。

対話・支持拡大は難しくない、誰にでもできる

 みなさん。対話・支持拡大は難しくありません。誰にでもできます。好評の「しんぶん赤旗」号外を配布して、「お読みになりましたか」と相手の意見や要望を聞き、支持を訴えることは誰にでもできる活動です。

 全国からの報告でたいへん印象的だったのは、「三つの言葉」で支持拡大がどんどんすすむ経験が報告されていることです。第一の言葉は、「自公政権は終わりにしたいですね」。そうしますと、相手は「生活がやっていけない」と「不満」や「怒り」をたくさん語ってくれます。第二の言葉は、「民主党政権は大丈夫ですかね」。こう言いますと、相手はいろいろと「不安」を語ってくれます。そして第三に、日本共産党の改革の方針や政策を話す。「二つの旗印」「建設的野党」などを相手の関心にそくして話しますと、いままでこちらが聞いていたので、今度は相手が聞いてくれるようになる。対話・支持拡大をすすめるうえでも「聞く力」が大切ですが、その姿勢があれば誰にでもできます。

 それから「比例を軸」にをつらぬくこと、くわえて「2票論」が大切であります。たとえ小選挙区ではしがらみからどうしても自民党という人にも、いまの政治を変えようという思いを「比例では日本共産党」に託してほしいと訴えましょう。小選挙区ではどうしても「政権交代」のために民主党という人にも、民主党政権のさいには「建設的野党」が必要だという立場で、「比例では日本共産党」に託してほしいと訴えましょう。「比例を軸」に、そして「2票論」、この立場にたった活動を全党がやりぬこうではありませんか。

独自の手立てと取り組み――すべての土台は全党員の総決起

 対話・支持拡大を飛躍させるには、そのための独自の手立てと取り組みが必要であります。この点では、東京都議選で、定数4で議席奪還に成功した江東区の経験を全党にお伝えしてきましたが、これに学んだとりくみが各地ですすめられていることはたいへん重要であります。

 一つは、目標と期日を明確にし、執念をもってやりぬくことです。今回でいえば、8月18日までにという目標と期日に正面から挑戦することを重ねて訴えるものです。

 二つ目は、党員の活動参加を広げるとともに、後援会員にニュースを届け、後援会員の協力を組織し、担い手を最後まで広げることであります。

 三つ目は、対話・支持拡大をすすめる具体的手立てをとることを重視し、支部ごとに名簿の準備、電話の確保、電話スポットの作成などをおこなうことであります。

 四つ目は、タテ線の役割を重視して、タテ線選対をつくり、タテ線ごとに支持拡大目標をやりきる意思統一を繰り返しおこない、全党の力をあまさずくみつくすことであります。

 これらをやりきる土台は、「全党員が立ち上がれば勝てない選挙はない」という鉄則を実行することであります。そのために、8中総決定が提起した、(1)情勢と党の値打ちへの確信をみんなのものにすること、(2)「聞く力」を重視し、双方向、循環型の活動にとりくむこと、(3)党の潜在力をあまさずくみつくし指導態勢をつよめることを最後まで堅持することを訴えるものです。

5中総後、2年間の全党の取り組みの成果を、すべて勝利にむすびつけよう

 勝利の条件はあるでしょうか。私は、二つの点に確信をもって最後まで意気高くたたかいぬくことを訴えたいと思います。

 一つは、政治論戦への確信です。すでにのべてきたように、わが党は、国民多数の「政治を変えたい」という気持ちにそくし、政治を根本から変える大義ある旗をかかげ、正確な論戦をすすめています。これを全有権者規模で浸透させきれば必ず勝利をつかめます。

 もう一つは、一昨年9月の第5回中央委員会総会いらいの2年間の全党の奮闘と成果への確信であります。この2年間に、多面的で豊かな党活動の前進をつくりながら、私たちは選挙にのぞもうとしています。

 私たちは、あらゆる分野で国民の要求にもとづくたたかいにとりくんできました。「派遣切り」など雇用破壊にたいするたたかい、核兵器廃絶で世界に働きかけるとりくみ、国民の生活苦のSOSを受け止め「現代の駆け込み寺」として苦難軽減のために奮闘するとりくみ――これらは私たちの党に、「言葉だけでなく行動する党」という評価を与えています。党の政策の実行力の面でのたしかな裏付けを与えています。これらの活動に、全党が営々ととりくんできたことが、いま選挙をたたかう大きな力となっていることに、深い確信をもとうではありませんか。

 私たちは、「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」にとりくんできました。73%の支部が「集い」にとりくみ、参加者は84万人を超えました。演説会とあわせますと162万人となり、党史上文字どおり最大の規模に達しています。全自治体・行政区での演説会・集いは、全国1995の自治体・行政区のうち99%の1975自治体・行政区でとりくまれました。私自身も初めてのところに演説会などでうかがって、初めての多くの出会いがありました。沖縄の最南端の島にもうかがいましたし、山あいの集落の町にもうかがいました。どこでも本当に心のあたたまる初めての出会いがありました。同じような初めての多くの出会いは、この間「大運動」にとりくんだ全国の党組織のみなさんもお持ちだと思います。ですから、「大運動」で結びついたすべての人々に協力をお願いし、この運動と一体に大きく増やした後援会員のみなさんすべてに協力をお願いし、ともにたたかう壮大な選挙戦にしていこうではありませんか。

 党勢拡大の上げ潮も特筆すべきものです。全党のたゆまぬ努力で、読者は3カ月連続前進、党員は21カ月連続前進をかちとっています。全国どこでも新しく党に迎えた同志たちが「新鮮力」を発揮して頑張っています。私も全国各地で、たとえば雇用破壊とのたたかいのなかで入党したという新しい同志たちに出会います。新しい同志たちは、「自分たちをこんなに苦しめたいまの社会を大本から変えたい」「今度は自分がほかの人を助けたい」という熱い思いを人一倍もっています。私は、こうした新しい同志たちに心からの歓迎のあいさつを送るとともに、この歴史的政治戦をともに悔いなくたたかおうではないかということを熱く呼びかけるものであります。(拍手)

三、歴史の大局でいまの政治局面をとらえる――日本共産党の出番の時代

 最後にみなさん。歴史の大局でいまの政治局面をとらえるということについて報告します。

 幹部会声明は、「いま日本の政治は大転換期を迎えつつある」とのべています。この一文に込めたものについて報告しておきたいと思います。

 第一に、いま起こっていることの本質は何か。それは自民党政治そのものが行き詰まっているということであります。「財界中心」「日米軍事同盟中心」の政治――「二つの政治悪」の政治が行き詰まっているということであります。その現実の担い手となっているのは自公ですから、自公に国民の怒りが集中し、自民党政治の行き詰まりは自公政権の行き詰まりという形で現れていますが、行き詰まっているのは単に自公政権だけではありません。自民党政治そのものが行き詰まっているということを、まず、ことの本質として強調したいと思います。

 第二に、そのもとで自公政権が終えんすることは、それ自体としては、無条件に積極的なことであります。なぜなら、そのことによって歴史の一ページがめくれるからです。一番悪いのは、自公政権が終えんしそうで、いつまでもずるずると終えんしないのが一番悪い。いつまでたっても歴史のページがめくれません。この政権が終えんしましたら、すなわち、古い、ぼろぼろになった、汚れた、このページをめくりましたら、次には真白いページがあらわれてきます。この真白いページに、自公政権に代わるどういう新しい日本の進路を描くかは、有権者が決めることです。私たちは「国民が主人公」の日本をつくろう、「二つの旗印」という進路を描こうと訴えています。こうして自公政権が退場すれば、国民が新しい政治を探求するプロセスが、間違いなく一歩すすみます。ですから自公政権の終えんは無条件に歓迎すべきことであり、私たちは、その退場のために力いっぱいたたかっているわけであります。

 第三に、しかし、それに代わって誕生するであろう民主党中心の政権は、自民党政治の「二つの政治悪」を抜け出すという立場はもっていません。自民党政治の行き詰まりは、この政権によっては根本的には解決されないでしょう。そのことは、選挙前からすでにさまざまな形で現れていますが、民主党が政権をになったら、いやがおうでもそれは現れ、国民は自らの体験をつうじてその問題点を見極めていくことになるでしょう。そして、国民の認識もその体験をつうじて変化していくことになるでしょう。こうして国民が新しい政治を探求する政治プロセスがさらに前にすすむ、大激動の時代を迎える可能性が生まれるでしょう。いますすんでいる政治プロセスは、日本の政治が「二つの政治悪」から抜け出すところまで前にすすまないと解決がつかない性格のものなのだということを、強調したいと思います。

 第四に、同時に強調したいのは、この政治プロセスは自然にはすすまないということです。日本共産党が前進・躍進することこそ、「国民が主人公」の新しい日本にむけて、日本の政治を前にすすめる保障となります。日本共産党を今度の選挙で伸ばせば、伸ばした力をもって、いま進行している政治プロセスを前に向けて推進する仕事を果たすことができます。そして私が何よりも強調したいのは、自民党政治が行き詰まったということは、この古い政治の抜本的転換を綱領でもとめている日本共産党の文字どおりの出番の情勢、出番の時代が始まったということであります。みなさん。こんなにやりがいのある、たたかいがいのある選挙はないではありませんか。

 こうして、大きな歴史的視野でみれば、今度の総選挙は、自公政権を終えんさせ、さまざまな過渡的な政治局面を経ながら、「国民が主人公」の民主的政権――民主連合政府の樹立にむけた新しい時代へとつらなる最初の一大政治戦であります。この選挙で、日本の歴史の促進者の党、日本共産党を伸ばして、日本国民の未来を開こうではありませんか。

 すべての同志のみなさんに訴えます。この歴史的政治戦にみんながたちあがり、残る19日間を悔いなくたたかい、「全国は一つ」の立場で互いに連帯してがんばりましょう。そして必ず勝利をつかみましょう。私たちもその先頭にたってたたかう決意をのべて決起集会への報告といたします。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)



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