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2009年7月22日(水)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が21日、国会議員団総会で行ったあいさつは次の通りです。


写真

(写真)議員団総会であいさつする志位和夫委員長=21日、衆院第1議員会館

 連日の奮闘、ご苦労さまです。本日の午後1時からの衆院本会議で解散となります。国民が待ちに待った総選挙がやってまいります。

 この総選挙は、主権者である国民が、ゆきづまった自公政権を終わらせる決定的な「審判」を下し、新しい日本の進路を「選択」する歴史的な選挙であります。

 この歴史的政治戦をどういう基本的立場でたたかうかについては、すでに7月16日に幹部会声明を発表していますが、それをふまえて発言をしたいと思います。

自公政権を退場させる決定的な「審判」をくだすために全力を

 第一は、私たちが、いま圧倒的な流れとなって広がっている「自公政権ノー」の国民の声、国民の怒りの代弁者となって、この政権を退場させる「審判」をくだすために、全力をあげてたたかうということです。この姿勢が、私たちの姿勢としてまず何よりも大切だということを強調したいと思います。

 すでに国民の圧倒的多数は自公政権を見放しています。それはこの政権の個々のいろいろな問題――総理が漢字を読めないとか、大臣が酔っ払って会見をやるとか、与党内がゴタゴタしているとか――こういう問題だけに原因があるわけではありません。

 自公政治によって、働く人の雇用が破壊され、中小企業も農家も経営が破壊され、社会保障が破壊され、庶民に重税が押し付けられました。そして、国民の暮らしの「安心」が奪われ、「希望」が奪われたことへの、底知れない怒りがその根本にあると思います。

 私は、いまの暮らしが成り立たない――暮らしの「安心」が奪われただけでなく、明日の暮らしはもっと立ち行かない――暮らしの「希望」も奪われていることがきわめて深刻なことだと思います。

 文部科学省が5年ごとに行っている「日本人の国民性」全国調査があります。2008年の結果を見ますと、今後「生活は豊かになるか、貧しくなるか」との問いに、「豊かになる」と答えた方は過去最低の11%、「貧しくなる」と答えた方が過去最高の57%にも及びます。国民の過半数が将来に希望が持てない社会になっている。57%もの人が、これから先は「貧しくなる」と答えたというのは、私は、恐るべき数字だと思います。

 私たち国会議員団は、どんな問題でも、自公政権の間違った政治に正面から対決し、国会内外でがんばりぬいてきました。そういう党として、この政権を今度の選挙で退場に追い込むために、持てるあらゆる力をつくして奮闘する決意を固めあおうではありませんか。(拍手)

「二つの旗印」を掲げるとともに、行動によって現実を動かす党       

 第二は、同時に、この総選挙は、自公政権を終わらせた後に、それに代わってどのような新しい政治をつくるのか、その「選択」も問われる選挙となります。

 私たちは、第8回中央委員会総会で、21世紀の日本の「進むべき道」として、「二つの旗印」――「国民の暮らしと権利を守る『ルールある経済社会』を築く」、「憲法9条を生かした『自主・自立の平和外交』に転換する」――これを高く掲げて総選挙にのぞむことを決めました。この内容を自由闊達(かったつ)に、新鮮に、豊かに、大いに語り、この道こそ「安心と希望の新しい日本」への道だということを広く国民の合意にしていく努力をはかりたいと思います。

 そのさい、私が強調したいのは、わが党は、「二つの旗印」を主張しているだけでない。この「旗印」にそくして行動し、現実を動かしている政党だということであります。

 たとえば、昨年秋以来、大企業が競いあってすすめた「派遣切り」に対して、党議員団は国会での論戦とともに、日本経団連、トヨタ、いすゞなどの大企業と直接会談を行うという新しい取り組みをすすめました。全国では、7000を超える企業・団体への申し入れ・懇談が行われました。衆参16人の国会議員団の全員がこの仕事に共同して取り組みました。それが労働者のたたかいを励まし、解雇撤回や派遣労働者の直接雇用、職場復帰などの流れが、いま生まれつつあることは大変うれしいことであります。

 わが党は、「ルールある経済社会」をめざしていますが、暮らしを守る「ルール」というのは、たたかいでこそつくられる。これは人類の歴史が証明しています。わが党議員団が、国民のたたかいを励ます重要な役割を果たし、現実を動かす数々の成果をあげてきたことを、大いに確信をもって、国民に語り広げようではありませんか。(拍手)

 平和の問題でも、私たちは、核兵器問題で、米国・オバマ大統領が「核兵器のない世界」をめざす演説を行ったことをうけて、米国大統領に核兵器廃絶の具体的イニシアチブを求める書簡を送りました。米国政府からの返書が届けられました。書簡と返書をもっての申し入れ・懇談が全国で取り組まれ、自治体首長、議長、宗教者、知識人などから、共感の声が多数寄せられました。核兵器廃絶という被爆国・日本国民の悲願ともいうべき課題で、情勢の変化をとらえ、世界に働きかけてきた党の値打ちも、大いに語っていきたいと思います。

 このように私たちは「二つの旗印」を主張しているだけではありません。それにそくして行動し、現実を動かしてきた。いまの深刻な生活苦のなかで、「SOS」を発している人々の気持ちを受け止め、それを打開するために行動している党が日本共産党であります。そして世界の流れの変化をとらえて、その変化を前向きに促進するために行動している党が日本共産党であります。このことがわが党の主張に大きな説得力をあたえていると思います。そしてこれらの行動は、国会議員団全体が、全党と共同で取り組んだ仕事であり、党の政策を語ることと一体に行動を大いに語ろうということを、訴えたいと思います。

「建設的野党」として政治を前に動かすために知恵と力をつくす

 第三に、幹部会声明では、民主党中心の政権が成立した場合に、日本共産党がどういう立場をとるかについて明らかにいたしました。踏み込んで書きました。なぜここを踏み込んで書いたか。それは幹部会声明で、わが党が、自公政権を終わらせる決定的な「審判」をくだすために全力をあげるという立場を表明したからです。

 自公政権を終えんさせるために全力をつくすと表明した以上、自公政権を終わらせた後の政権についても、党の責任ある立場を表明する必要があります。自公政権を終わらせても、すぐに私たちが主張しているような「二つの旗印」を掲げた、「国民が主人公」の政権が実現しないことは、これは明らかです。民主党中心の政権となる可能性が大きいことは事実です。それでは民主党の基本的立場はどうかといいますと、私たちが主張しているような「財界中心」の政治から脱却する、「軍事同盟絶対」の政治から脱却するという立場は見えてきません。政策を見ますと、個々には日本共産党と一致する部分もありますけれども、容認しえない大問題もあります。

 そういうときにどういう対応をするか。原則を貫きながら柔軟な対応が必要です。そのときには日本共産党は、「建設的野党」という立場を堅持して、国民の立場で、「良いものには協力する、悪いものにはきっぱり反対する」という是々非々の立場を貫くということを明らかにいたしました。「是々非々」という言葉だけで言いますと、相手が出してくるものに対して、どういう対応をするかという、受け身の感じもありますが、私たちはそうではない。私たちの方から積極的に能動的に、さまざまな政策提起、要求提起をして、相手に働きかけるということもやっていくつもりですから、「行動する是々非々」という言葉を使いました。そういう立場で、現実の政治を一歩でも二歩でも前に進めるために力をつくしていきたいと決意しているしだいです。

 自公政権を退場させるといった場合に、どういう形で退場させるかが大切であります。退場させるさいに、日本共産党が伸びているならば、その後の日本の政治を前に進める力になるでしょう。「安心と希望の新しい日本」への道が開かれてくるでしょう。ぜひそういう結果を出そうではないかということを私は呼びかけたいと思います。(拍手)

「安心と希望の新しい日本」へ――歴史の新しい扉を開けるたたかい

 この幹部会声明を読み、討議するなかで、全党のみなさんから、あるいは支持者のみなさんから、「わくわくするたたかいだ」といううけとめが多数寄せられています。私はその通りだと思います。

 いま日本の政治は大転換の時期を迎えつつあります。総選挙はその最初の一大政治戦であります。これは歴史の新しい扉を開ける、文字通りの歴史的なたたかいであります。

 自公政治の根本を突き正面からたたかい続けてきた党、自公政治に代わる日本の「進むべき道」を指し示す党、そして国民の立場に立って「建設的野党」としての役割をしっかり果たす党――日本共産党を躍進させて、国民のだれもが「安心と希望の持てる新しい日本」への道を開くために力のかぎりたたかおうではありませんか。

 最後に、石井郁子議員が今期限りで勇退され、後進に道をゆずられることになりました。5期16年半にわたって活躍され、とくに子どもと教育にかかわる分野では重要な足跡を残されました。これまでの活動に対して、心よりの感謝を申し上げたいと思います(拍手)。同時に、石井さんが、引き続き副委員長として、全党のたたかいの先頭に立ってご活躍されることを願うしだいであります。(拍手)

 暑い夏のたたかいであります。健康にはくれぐれも気をつけていただいて、この激戦を必ず勝ち抜き、つぎに集まるときにはたくさんの新しい仲間とともに、この議員団総会が開けるように、素晴らしい結果を出すことを誓いあって、ごあいさつといたします(拍手)。ともにがんばりましょう。(大きな拍手、「よし」の声)



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