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2009年7月17日(金)「しんぶん赤旗」

主張

経済危機

自公の経済運営の抜本転換を


 麻生太郎首相が16日付のメールマガジンで、政府の経済対策が日本経済に「明るい兆し」をもたらし始めたとのべています。政府の対応を自画自賛し、家計と中小企業に「景気回復を実感していただくまで」、経済対策を進めていくと力説しています。

 自公政府は13日の月例経済報告でも、景気の基調判断を前月に続いて上方修正しました。

 総選挙で景気回復と経済対策の効果をアピールし、少しでも人気の回復を図ろうという考えです。

大企業中心のままでは

 輸出大企業による在庫の大幅圧縮の動きが一巡し、アジア向けの輸出も増加して、大企業の生産は「持ち直し」ています。

 しかし、国民の所得の大もとである雇用は、ますます深刻になっています。完全失業率は5%を超え、有効求人倍率は0・44倍と過去最低を更新しました。政府の月例経済報告さえ「雇用情勢は、急速に悪化しており、厳しい状況にある」とのべています。

 国民に景気回復を印象付けて自公政府の手柄にしたいのでしょうが、国民の暮らしは悪化し続けています。首相本人も、「景気回復を実感していただくまで」とのべているように、国民が回復を実感できるような経済情勢ではないことを認めざるを得ません。

 政府が景気の現状判断でも経済対策の中身でも、常に中心に置いているのは大企業の生産です。大企業の生産が回復すれば、やがて雇用や中小企業も回復して家計にも波及するという古臭い「建前」です。現実の大企業の行動は、業績が回復しても低賃金の非正規雇用を増やしただけでした。過去最高益を5年連続で更新するほど大もうけを上げても、株主への配当や役員報酬、内部留保の積み増しに回して、労働者には回そうとしませんでした。政府の「建前」は完全に崩れ去っています。

 大手製造業はアメリカへの直接輸出と現地生産、中国・東アジアの工場を経由したアメリカへの間接輸出を増やして、業績を急上昇させてきました。国内では先端技術による利益率の高い製品をつくり、自公政府の規制緩和をテコに非正規雇用を増やしてコストを削減するという戦略です。この戦略が、最終消費地であるアメリカの消費バブル崩壊で、根底から崩壊しています。

 この枠組みの中では、アメリカの国内需要が回復しない限り、アジア向けの輸出も本格回復は見込めません。

 アメリカでは消費バブル崩壊の引き金を引いた住宅価格の下落が止まらず、失業率の悪化も底が見えない状況です。内需を犠牲に輸出を増やす財界と自公政府の経済運営を根本転換し、家計に軸足を置いた内需主導の発展軌道に切り替えることが求められます。

何をおいても暮らしを

 大企業の雇用破壊にストップをかけるとともに、誰もが人間らしく働ける労働のルールの確立は急務です。

 欧州諸国に比べて、もともと低水準の社会保障をいっそう切り下げてきた社会保障の削減路線を終わらせ、拡充に逆転させることが不可欠です。財源は消費税増税ではなく、大企業と大金持ちに相応の負担を求めるべきです。

 何をおいても国民の暮らしを最優先にする経済運営こそ、経済危機を打開する確かな道です。


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