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2009年7月17日(金)「しんぶん赤旗」

自公政権退場の決定的な“審判”
新しい日本の進路の“選択”を

総選挙にのぞむ日本共産党の立場

志位委員長が幹部会声明を発表


 日本共産党の志位和夫委員長は16日、国会内で記者会見し、来るべき総選挙にのぞむ基本的立場を明らかにした幹部会声明、「自公政権を退場に追い込む決定的な“審判”をくだし、新しい日本の進路の“選択”にふみだす選挙に」を発表しました。(声明全文


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(写真)記者会見する志位和夫委員長=16日、国会内

情勢の進展にそくして方針を発展

 志位氏は冒頭、「都議選の結果は、自公政権へのきびしい拒否の審判を示すものとなりました。国民が自公政権そのものに退場を求め、日本がそれに代わる『新しい政治の中身を探求する時代』を本格的に迎えたことは、いよいよ明白になりました。そうした新しい政治局面で、総選挙にのぞむわが党の基本的立場を、8中総の決定を土台にしながら、情勢の進展にそくして発展させることが必要と考えて、この幹部会声明をつくりました」とのべ、声明にそってその内容を説明しました。

 幹部会声明は、新しい政治局面のもとでたたかわれる総選挙で、日本共産党は“審判”と“選択”の二つを訴えてたたかうと表明しています。

 一つは、自公政権を終わらせる“審判”です。異常な財界・大企業中心の政治、異常な「日米軍事同盟絶対」の政治をすすめてきた自公政権がこれ以上続くことは「国民にとって百害あって一利なし」です。その政治路線を根本から厳しく批判し、正面からたたかいつづけてきた日本共産党を伸ばすことこそが、自公政権を退場に追い込み、「大連立」などによる延命も許さない決定的な“審判”になります。

 いま一つ、この総選挙に問われるのは、自公政権を終わらせた後に、それに代わるどのような新しい政治をつくるのか、21世紀の日本の「進むべき道」の“選択”です。

 総選挙の結果、民主党中心の政権が成立する可能性が大きいことは事実です。それでは民主党は、自公政治に代わるどのような新しい政治をつくるのか。民主党には日本経済と日本外交でどのような改革をおこなうかが見えないことに加え、消費税増税への志向、憲法9条の改定、衆院比例定数削減など危険な方針を表明しています。

 日本共産党は、(1)国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」を築く、(2)憲法9条を生かし、世界とアジアの平和に貢献する「自主・自立の平和外交」に転換する、この二つの「旗印」を掲げて総選挙をたたかいます。新しい日本への展望を示す日本共産党が伸びることこそ、自公政権後の「新しい政治のプロセス」を前に進める一番の力です。

“行動する是々非々”の立場で

 さらに幹部会声明は、民主党中心の政権が成立した場合の日本共産党の立場を表明しています。独自の建設的野党としての立場を堅持して、三つの仕事に取り組むことを明らかにしています。

 それは、(1)国民の切実な要求を実現する立場から政策要求を積極的に提起し、課題ごとに一致点で協力し、政治を前に動かす「推進者」の仕事、(2)民主党が危険な諸政策を具体化する動きを起こしたさいに、それを許さない「防波堤」となる、(3)「国民が主人公」の立場にたった民主的政権――民主連合政府をつくるための国民的共同を探求、前進させるために力をつくすことです。

 志位氏は会見で、この立場について、「端的に言えば、民主党中心の政権が成立した場合には、国民の立場で、『良いものには協力する、悪いものには反対する』という“是々非々”の立場で、筋を貫いた行動をおこなうことです。つまり“行動する是々非々”という立場で対応するということです。民主党中心の政権が成立した場合に、野党がどうなるかは不確定ですが、建設的野党としての役割を果たしうる立場をもっているのは日本共産党です。この党が伸びるかどうかで、日本の政治が前に進むかどうかが決定的に左右されます」とのべ、こう力説しました。

 「国民が自公政権を終わらせる決定的な“審判”をくだすうえでも、そして自公政権を終わらせた後の日本の政治を前進させるうえでも、総選挙の最大の焦点は日本共産党が前進するかどうかにあるということを訴え、勝利のために全力をつくします」


志位委員長会見 一問一答

 日本共産党の志位和夫委員長が16日の記者会見で、幹部会声明に関連して記者の質問に答えた内容は次の通りです。

方針を発展させた理由は

 ――“行動する是々非々”という立場は画期的だと思いますが、そういう方針の発展をおこなった理由はどこにありますか。(声明のなかに)民主党の献金問題への言及がない理由は何ですか。

 志位 この声明で、私たちはこういう立場に踏み込んだわけですが、方針の発展をおこなった理由は、何といっても都議選でああいう国民の審判がはっきりくだされたことによって、新しい政治局面が生まれたという認識があるからです。

 すなわち、都議選の結果をみて、総選挙がおこなわれるならば、いまの政党の力関係からいって、民主党中心の政権が生まれる可能性が大きくなったということは、国民のだれもが感じているわけです。そういうもとでの総選挙ですから、自公政治に決定的な退場の“審判”をくだすとともに、それにとどまらず自公政権の後の日本の政治をどうするかという“選択”、そして民主党政権が成立した場合にどういう対応をとるかということが、現実問題として問われる新しい政治局面にきているわけです。ですから、そういう段階にふさわしい態度表明が必要だと考えました。

 後者の問題(鳩山代表の献金問題)ですが、もちろん自民党であれ、民主党であれ、金権腐敗問題について真相を究明していく立場に変わりはありません。この幹部会声明は、総選挙をたたかう政治的立場の大綱を表明したものですから、その中にいちいち書いていませんが、この立場には変わりないということは申し上げておきたいと思います。

“行動する是々非々”とは

 ――政策的には「パーシャル(部分的な)連合」という態度をとることもありえるのですか。

 志位 「パーシャル連合」という言葉は、いろいろな意味に解されるので、私たちはそういう言葉は使っていません。ただ、幹部会声明にあるように、私たちの側から政策要求を積極的に提起し、課題ごとに一致点で協力していくと、そして現実の政治を前に動かすということをやっていく、そういう「推進者」の役割を果たすということです。一方で、これも課題ごとに、間違った方向については、「防波堤」の役割を果たしていく。この両面が必要なのです。その両面の仕事をしっかりやるということを建設的野党という表現であらわしました。

 そして、“行動する是々非々”の立場といったのは、民主党中心の政権ができた場合、私たちが民主党政権から提起されたものについて、受け身で対応を決めるというのではなくて、私たちの方から能動的に働きかける行動をしていくということです。国民の利益にかなった良いものは賛成だと、そして実行を求めていきます。同時に、悪いことには断固反対という立場で、それをくいとめるために力をつくします。どちらの場合も、受け身で対応するだけでなく、私たちの側から能動的に働きかけていくという意味を込めて“行動する是々非々”という言葉を使ったのです。

選挙方針は変更ないか

 ――1議席でも多く獲得するために、選挙区の候補者を絞り、比例代表に力を注ぐという基本方針は変わらないのか。

 志位 これは変わりません。比例代表ではすでに予定候補の擁立はすんでいますし、小選挙区でも300のうち約半数で予定候補者を決めています。比例代表での前進に力を傾注することを中心とした、従来の選挙方針にはいささかも変更はありませんし、候補者擁立の態勢にも変わりはありません。

都議選の論戦との違いは

 ――“行動する是々非々”といいますが、民主党中心の政権ができた場合には、積極的にコミュニケーションをとるのですか。

 志位 いまの政権とも、私たちは必要に応じて、党首会談を提起し、話し合いをしてきました。民主党中心の政権が成立した場合にも、私たちは「建設的野党」という立場を堅持しますが、そういう立場でいろいろな意見交換、交渉、申し入れを大いにやっていくことは当然のことです。

 ――これまで、共産党は自公も民主も「同質・同類」という立場だった。都議選の結果を受けて、「同質・同類」ではないという考え方に立ったのですか。

 志位 私たちは、自民党と民主党が、政治路線、政治体質という点で「同質・同類」の問題点をかかえているという批判をこれまでしてきました。私たちはその基本的認識を、変えたわけではありません。民主党のもっている問題点については、幹部会声明でも率直に書いています。

 ただ、国政においては、自公が与党で、民主党は野党です。実際に国民の利益に反する政治を実行している担い手となっているのは自公であり、その責任がまずきびしく問われているわけです。ですから、自民と民主の両者に、政治路線や政治体質で共通する問題点があったとしても、両者を同列において“審判”の対象にするというのは、もちろん適切なことではありません。この声明にあるように、自公政治を終わらせる“審判”、新しい進路の“選択”という打ち出しが、日本の政治を前にすすめるうえでも、国民の感情にてらしても、適切な打ち出しだと思います。

 都議選との関係でいうと、私たちが都議選でおこなった政治論戦は的確なものだったと考えています。国政と違って都政では、自民・公明・民主が「オール与党」だという現実があります。これは都知事提出の議案に自公は100%賛成、民主は99・3%賛成という事実にてらしても、動かしようのないことです。ですから都議選で、私たちがこの事実を広く都民に伝え、自公民「オール与党」への審判を訴えてたたかったことは当然であり、都政の現実を正しく伝えることは都民に対する義務でもあります。この政治論戦は適切であり、実際に、「99・3%」という事実を伝えたところでは、わが党支持への変化がどこでもおこりました。この確固とした立場がなければ、難しい条件のなかでわが党が得票を伸ばし、71万票も獲得することはできなかったと思います。

 しかし国政は条件が違います。国政では、国民を痛めつけている悪政を実行している与党は自公であって、民主党は私たちからみてさまざまな問題点をもっているにせよ、野党なのです。そして国民は何よりも自公政権に激しい怒りをつのらせているのです。ですから、総選挙では、そうした状況にふさわしい提起の仕方が必要だと考え、幹部会声明のような基本的立場を堅持してたたかうことを決めました。


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