2009年7月13日(月)「しんぶん赤旗」
正社員化 1年で20万人
非正規への差別依然残る
保護法改正へ強まる声
韓国
韓国労働研究院(労働省所属)が12日に発表した報告書によると、同国で3月までの1年間に正社員化された非正規労働者の数が約20万人に達しました。2007年7月に施行された非正規労働者保護法の効果と分析しています。一方で、非正規労働者の総数は537万4000人にのぼり、保護法の改正を求める声も強まっています。(面川誠)
現行の保護法は、雇用期間が2年を超えた非正規労働者の正社員化を義務付けています。施行から2年が過ぎた今月1日から、実際の適用が始まりました。
3月までに正社員化された20万人は「反復更新労働者」と呼ばれる勤続期間の長い労働者で、法適用を前に企業側が正社員化に踏み切ったとみられています。
労働省の抽出調査によると、正社員化の義務化適用が始まった今月1日から9日までに、全国で新たに1433人の非正規労働者が正社員化されました。
韓国政府は「企業が正社員化を避けるために多数の非正規労働者を解雇する」とみて、正社員化率を13〜14%と予測していましたが、実際には27%に達しました。
ただ、依然として多くの非正規労働者が解雇されているのも現実です。差別待遇も改善されず、昨年は正社員の60・5%だった平均賃金水準が今年は56・9%に下落しました。
世論調査機関「ハンギルリサーチ」が5、6日に行った電話調査によると、回答者の51・7%が、非正規労働者の解雇が多発している責任は政府にあると答えました。対策としては、「合理的な理由がある場合に限り、非正規雇用ができるように制限すべきだ」として、非正規雇用自体が減るように保護法の改正を求める回答が最も多く、45・5%に達しています。
非正規労働者の問題について、李明博(イ・ミョンバク)大統領は2日、大韓商工会議所との会合で、「根本的なことは、雇用の柔軟性だ」と述べ、正社員化ではなく労働力の移動をいっそう容易にすべきだとの考えを強調。野党から「政府と与党・ハンナラ党には、雇用の安定など眼中にはない」と批判を浴びています。