2009年6月27日(土)「しんぶん赤旗」

社会リポート

ホームレス急増

炊き出しに1000人

“解雇で寮だされた”“物資底つく”

東京・上野


 東京・上野公園などで市民団体が行う炊き出しに並ぶホームレスが急増しています。(菅野尚夫)


 「ボランティア活動を始めて9年になりますが最悪です」。毎週土曜日の午後に食パンや果物などの配給活動をしているNPO法人「セカンド・ハーベスト・ジャパン」の女性スタッフの言葉です。

 土曜日の午後の上野公園は、二つのボランティア団体が炊き出しを行います。20日は炊き出しに合わせて1000人を超えるホームレスが列をつくりました。

 「1月ごろから増えだして、6月になってからの数週間は800人を超えるようになりました」と女性スタッフは言います。

深刻な事態に

 発泡スチロールの器に盛ったご飯をほお張る元男性派遣社員(34)は「長野県から来た」といいます。大手自動車メーカーの下請け部品工場で働いてきました。

 「仕事がなくなった」と、解雇されて寮を追いだされたのが3月。「東京に行けば何か仕事があるだろう」と上京したものの「日雇いの仕事にも就けない」と嘆きます。

 「ハローワークで『住所は?』と聞かれる。『ない』というと『無理だ』と、相手にされない。風呂に入っていないので体がかゆい。JR新宿駅の地下道で寝ていたら、ホームレス仲間から炊き出しのことを教えてもらった」といいます。

 「東京都内でこんなに増え続けると上伊那医療生協SOSネットワーク(長野県箕輪町)へのコメなどの供給ができなくなりそうです」。深刻な事態について話すのは「山谷(やま)農場」を主宰する藤田寛さん(39)です。

 「山谷農場」は、長野県南佐久郡小海町に活動拠点を置き、コメや野菜などを集めて、東京都内の新宿中央公園、上野公園、隅田公園などの4カ所の炊き出しに提供してきました。

 都内への供給量が急増したため、今年2月から支援を始めてきた同SOSネットワークへの供給が困難になったのです。

 都内4カ所への1月から5月末までの供給量は、3万6千食分。隅田公園、同月前年度比3千食増、新宿中央公園同5千食増、上野公園など約6千食増。新宿中央公園の6月の配食数は、7日が996人分、14日が971人分、21日が839人分と「これまで聞いたこともない人数」とボランティアが驚いています。

ミルク買えず

 同SOSネットワークの水野耕介事務局長(51)は「緊急事態の状況は悪化するばかりです」と話します。

 今年2月から18回にわたって1600世帯にコメ11トン、野菜25トン、家電製品などを解雇された日系ブラジル人など外国人と日本人の家庭に支援してきました。医療、教育、生活保護申請などの相談活動もすすめてきました。水野さんは「これまで集まった物資は底をつき、おコメもあとわずかです」と窮状を語ります。

 前出の藤田さんは、「ブラジル人の家庭では、粉ミルクや紙オムツも買えない悲惨な状況が起きています。企業は自分たちの都合で切ったり、入れたりしている。国と大企業は雇用を確保して社会的責任を果たすべきだ」と話しています。


支援先

 山谷農場=090(1436)6334=午前中のみ受付

 上伊那医療生協SOSネットワーク=長野県上伊那郡箕輪町中箕輪 電話・0265(79)8702



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