2009年6月20日(土)「しんぶん赤旗」
「西松で結構です」
受注 小沢事務所が了承
仕切り役 「天の声」を電話で確認
違法献金初公判
「小沢事務所が本命の業者と了解した企業を本命にするしかなかった。意向に逆らえなかった」――。19日の西松建設前社長、国沢幹雄被告らの初公判では、小沢一郎民主党前代表側の公共事業をめぐる「天の声」が生々しく語られました。リアルな実態からは、多額の政治献金と公共事業の受注という疑惑の線が結びつきました。
岩手・秋田で影響
検察側が読み上げた大手ゼネコン「鹿島」の東北支店の元幹部の参考人調書。鹿島は長年、東北地方で談合の仕切り役でした。
鹿島の元社員は「入札公告が出る前の公共事業について、西松建設の担当者が『小沢事務所に了解いただいた』と報告するのを聞いた。電話で(公設秘書の)大久保(隆規)被告に『西松が本命でよろしいか』と聞いたら、『そういうことで結構です』という返事だった」とのべています。
こうした「天の声」を背景に談合が成立。西松建設は「盛岡大迫東和線トンネル築造工事」など、4件で総額122億7000万円(落札額)の受注に成功したとされます。
仕組みは―
「天の声」を出す仕組みは、こうです。
(1)受注を希望するゼネコンが、小沢事務所に「天の声」を出してほしい旨、陳情する(2)小沢事務所から了承が得られた場合には、談合の仕切り役に連絡(3)仕切り役は、「天の声」が本物か、小沢事務所に電話で確認する――というもの。
検察側の冒頭陳述などによると、岩手県内の公共事業で小沢氏側が「天の声」を出すようになったのは遅くとも1980年ごろから。97年ころからは、秋田県の一部でも「天の声」を出すようになったとしています。
選挙に協力
「天の声」を得ようと、西松建設を含むゼネコン各社は、小沢氏の選挙にこぞって協力。検察が小沢氏の資金管理団体「陸山会」が入居するマンションから押収したパソコンからは、ゼネコン各社から小沢氏側に提供された献金やパーティー券代が、ゼネコンごとに区分されたデータがあったといいます。
国沢被告の供述でも小沢氏側への資金提供について、「小沢事務所の意向に従って、受注業者を決めているため、小沢事務所の歓心を買い、本命にしていただく御礼」とのべています。
本紙の取材に応じた西松建設元幹部も「献金は小沢事務所に排除されないためなんです。そうされないために業界は小沢さんに協力したんですよ」と証言しました。
今回の公判で、カネの力で公共事業をゆがめる癒着ぶりがいっそう浮き彫りになりました。自民党の二階俊博経済産業相はじめ、西松マネーを受け取った政治家の疑惑の徹底した解明が求められます。