2009年6月20日(土)「しんぶん赤旗」

小沢事務所が「天の声」

西松、東北で122億円受注

前社長初公判 秘書「献金の実態認識」

検察指摘


 準大手ゼネコン「西松建設」による小沢一郎民主党前代表の政治団体への違法献金事件で、政治資金規正法違反などの罪に問われた同社前社長国沢幹雄被告(70)らの初公判が19日、東京地裁(山口雅高裁判長)で開かれました。同被告らは「間違いありません」と起訴事実を認めました。公判では、小沢氏側が違法献金を要求し、その見返りに公共工事を割り振っていた実態が明らかになりました。


 検察側は冒頭陳述で、1980年代半ば以降、岩手、秋田両県の公共工事では、受注業者に関して小沢事務所の影響力が大きくなったと指摘。談合でゼネコンが本命業者を決定する際に影響力を発揮して「天の声」を出していたことを明らかにしました。

 西松建設を含む各ゼネコンは、「天の声」を得るため小沢事務所の要請で名前を隠して多額の献金を行っていたといいます。

 検察側は、西松建設が小沢氏側に献金を行うようになった経緯についても詳述。同社は95年、小沢事務所の要求に応じ、同社名義で約519万円、ダミー(隠れみの)政治団体名義で500万円など計約1319万円を寄付。97年には、毎年2500万円を寄付することで合意しました。

 小沢事務所が、どの名義でいくら寄付を受けるかの割り振り一覧表を示し、小沢氏側の各政治団体名義の請求書にもとづいて振り込みが行われていたことも明らかにしました。

 検察側は、小沢氏の公設第1秘書大久保隆規被告(48)が「ダミー団体からの献金について、実態が西松だと知っていた」と認める供述調書も提出しました。

 西松建設は、96〜03年にかけ岩手、秋田両県で、5件で小沢事務所の「天の声」を得て、そのうち4件を共同企業体(JV)で受注。受注額は122億7000万円にのぼりました。

 検察側は論告で、小沢氏側への献金額が2億円を超え、うち1億2900万円がダミー献金だったことを指摘。「政治資金の透明性を確保し、政治腐敗を防止するという政治資金規正法の趣旨・目的を踏みにじる極めて悪質な犯行である」とのべました。

 裁判は即日結審し、検察は国沢被告に禁固1年6カ月を求刑しました。


民主自体に説明責任 こくた氏指摘

 日本共産党の、こくた恵二国対委員長は19日、西松建設前社長・国沢幹雄被告の初公判について記者団に問われ、「民主党前代表の小沢氏本人だけでなく、民主党自体の説明責任が問われる」と述べました。

 こくた氏は、検察の冒頭陳述で、東北地方の公共事業の業者選定に小沢事務所の意向が決定的影響力をもつ「天の声」とされたこと、西松建設は小沢氏側の「天の声」を得るため巨額の献金をしたこと、大久保秘書自身が「天の声」を発したことなどが指摘されたことは、「きわめて重大な問題だ」と指摘。民主党が同事件を、「小沢氏個人の問題で、党の問題ではない」との立場をとっていることについて、「民主党は小沢氏をかばいつづけてきた、政党としての責任が鋭く問われている。党内で自ら調査し回答することから逃げることは許されない」と述べました。

 また、「関係者を呼び、国会としての真相を究明することがいよいよ必要だ。国会の責務はきわめて大きい」と述べました。


 西松建設違法献金事件 小沢一郎民主党前代表の資金管理団体「陸山会」と小沢氏が支部長の「民主党岩手県第4区総支部」が西松建設から企業献金を受けながら、政治資金収支報告書に、二つのダミー政治団体からの献金として虚偽記載したとされ、小沢氏の公設第1秘書が起訴された事件。ダミー政治団体を通じ、総額約4億8000万円が、自民党の二階俊博経済産業相ら20人近くの政治家にばらまかれました。


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