2009年6月17日(水)「しんぶん赤旗」

農地法改悪案

紙議員の反対討論

参院農水委


 日本共産党の紙智子議員が16日、参院農林水産委員会で行った農地法改悪案の反対討論は次の通りです。

 反対の第一の理由は、大企業を含む国内外の企業に農地の利用権を全面的に認めたことです。

 優良農地に進出した企業は、資本の論理のもとで、利益がでないと容易に撤退することは、これまでの経験で明らかです。優良農地に広大な耕作放棄地が生まれることになるでしょう。事後チェックによっても一般企業に農地をゆだねるこうした危険性はなくなりません。また、企業を担い手として積極的に位置づける政府の方針の下では、家族経営を中心とした地域営農が崩され、農村に新たな混乱を生むことになるでしょう。企業に広範囲に農地利用権を認めれば、将来的に、財界が望む企業の農地所有権を認める道につながらざるを得ません。

 それに加え、個人の農地利用権を何の制約もつけずに認めたことは、個人が産廃処理などの目的を隠して農地利用権を取得し、取得後利用権設定の農地に産廃などを投棄する危険性を大きくするもので、きわめて問題であります。

 反対の第二の理由は、農業生産法人への農商工連携企業の出資割合を50%未満まで認めたことです。農地所有権を持つ農業生産法人に対する農外企業の支配をいっそう可能にすることになります。日本農業の基盤となっていて、今後の日本農業の発展の基礎となるべき家族経営を圧迫し、弱体化することになりかねません。

 反対の第三の理由は、本改正案が標準小作料を廃止するとともに、事実上の農地所有権ともいえる50年にも及ぶ農地の長期賃借権を創設した点です。標準小作料の廃止は、農地の賃借関係を不安定化させ、資本力のある企業による賃借料のつり上げをつかった農地集積を許すことになりかねません。50年に及ぶ長期賃借権の創設は、企業による農地利用権を長期に固定させることを認めることになり、企業による農地所有を既成事実化させるもので、強く反対するものです。

 政府は、耕作放棄地対策だとして、農地法等の一部改正を持ち出しましたが、それが全く根拠のないものであることは、大臣自らが認めたことからも明らかです。日本農業に困難をもたらしたものは、自民党農政による農産物価格引き下げ政策で農業者の営農意欲を奪ったからにほかなりません。

 今必要なことは、このような農地法等の一部改正ではなく、米をはじめとする農産物価格保障制度を抜本的に拡充充実させ日本農業を再生させることであることを強く指摘して、討論を終わります。



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