2009年6月5日(金)「しんぶん赤旗」

キューバ排除撤回

行き詰まった米国

米州機構「裏庭」を拒否


 南北米州35カ国で構成する米州機構(OAS)の年次総会が、キューバ復帰を認める決議を全会一致で採択したことは、中南米地域がもはや米国の指図で動く「裏庭」ではなくなったことを改めて浮き彫りにしました。また体制の違いを理由にキューバを国際社会から排除しようとする米国の政策が行き詰まったことも示しました。(島田峰隆)


 報道によると、米国は当初、キューバが「国内の民主化」など米国の求める条件を満たさない限り、復帰を認めない方針を押し通す構えでした。しかし無条件復帰を求める中南米諸国の多くは米国に真っ向から反発。「米国の孤立」が伝えられるなか、3日には一転して復帰決議が採択されました。

 米民間研究機関「インターアメリカン・ダイアログ」のキューバ問題専門家、ダン・エリクソン氏はロイター通信に対し、背景には「中南米諸国の断固とした態度があった」と分析。「米国は中南米の懸念により耳を傾けることを余儀なくされている」と語りました。

 1962年の排除決議は、社会主義を打ち出したキューバは「OASの精神と両立しない」という口実で、米国の圧力で採択されました。当時は、多くの中南米諸国が米国に同調しました。

 しかし今の米州は違います。米国以外のすべての国がキューバと国交・実務関係を持ち、今年はすでに10人の中南米首脳がキューバを訪問しました。最後まで国交のなかった中米エルサルバドルも6月1日、左派新政権が国交を回復。中南米はキューバとの関係強化へかじを切っています。

 社会主義をめぐっても、南米のベネズエラ、ボリビアなどが真剣な模索を始めています。ボリビアのモラレス大統領は、「社会主義だからとキューバを排除するなら、ボリビアも排除すればいい」と米国を批判してきました。

 ベネズエラのマドゥロ外相は総会後、「中南米諸国はそれぞれの国に適した経済、政治、社会モデルをつくる権利を持っている。米国のエリートにはこのことを理解してほしい」とメディアに語りました。


 米州機構(OAS) 米州大陸の諸国が参加して1948年に米州機構憲章に調印して発足した地域機構(1951年に発効)。正式加盟国は南北アメリカとカリブ海の全独立国(35カ国)。本部はワシントン。


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