2009年5月23日(土)「しんぶん赤旗」
「エネルギー白書」
原油高騰 やはり投機が原因
資源エネルギー庁は二十二日、二〇〇八年度版のエネルギー白書を発表しました。白書は、〇八年に急騰、反落した原油価格についての要因と影響を分析。ヘッジファンド(投機基金)などによる投機の増加などで原油先物市場の規模が拡大し、実際の需給関係からかけ離れた価格が形成されたとしています。
ニューヨーク原油先物市場での原油価格は、〇四年ころから上昇し、〇八年七月には一時、一バレル=一四七・二七ドルの史上最高値を記録し、その後三〇ドル台まで下落。現在は、六〇ドル前後で推移しています。
白書は、原油価格を需給関係に基づく「需給ファンダメンタル」と、投機などによる価格上昇分の「プレミアム」に分けて試算。昨年四月―六月期に平均で一バレル=一二三ドルにまで上昇した原油価格について、実際の需給に基づくのは六〇ドル弱で、六〇ドル以上は投機資金の流入などによるものとしました。
白書は、原油価格高騰が家計を圧迫、企業収益を悪化させるなど、日本経済に大きなマイナスの影響を与えたとしています。しかし、対策としては価格高騰の原因となった投機資金を規制する視点がありません。原油価格下落後も、安全性が確立されていない原子力推進などをうたっています。
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