2009年5月12日(火)「しんぶん赤旗」

西松違法献金

「形式犯」ですまない 重大事件


 民主党の小沢一郎代表が辞任に追い込まれました。そのことは、準大手ゼネコン「西松建設」の違法献金事件での小沢氏をめぐる疑惑が、「開き直り」で逃れられないほど重大であることを改めて示しています。

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」の会計責任者で公設第一秘書の大久保隆規被告が三月三日、政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕されました。

 起訴事実によると大久保被告は、西松建設から二〇〇三年から〇六年までの四年間、資金管理団体と政党支部で計三千五百万円の企業献金を受けました。

 ところが、政治資金収支報告書には、同社OBが代表を務めていた「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」という二つのダミー(隠れみの)政治団体からの献金だと虚偽記載したのです。

 しかも、検察が起訴したのは、時効になっていない四年分だけです。ダミー団体からの献金は、九五年の設立時から十二年間に及び、献金総額は、本紙が政治資金収支報告書などで確認しただけでも一億二千九百万円にものぼります。

 公共工事を多く受注するゼネコンからの巨額の献金を、ダミー政治団体を悪用して隠し続ける―。これが、「政治の透明性」にかかわる政治資金規正法を踏みにじった重大な犯罪であることは、言うまでもありません。

 さらに、献金の趣旨をめぐっても小沢氏の地元である岩手県のダム建設など、公共工事とのかかわりが指摘されています。本紙の取材に西松建設元役員は、「公共工事を受注するためには(小沢氏側の)意向は無視できない」と語りましたが、この事件の深い闇は解明されてはいません。

 小沢氏は、秘書逮捕当初から事件について「形式犯なのに納得できない」などと開き直りに終始してきました。辞意表明の会見でも反省の弁は、いっさいありませんでした。国民への説明責任をはたさないままの辞任では、責任をとったとはとうてい言えません。

 小沢氏は、政治家として自らにかかわる疑惑のすべてを明らかにすべきです。同時に、二階俊博経済産業相ら自民党政治家への同様の巨額献金疑惑もうやむやにすることは許されません。(森近茂樹)



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