2009年5月6日(水)「しんぶん赤旗」

介護給付 中・重度者に限定

利用者の4割排除

厚労省が検討 3300億円削減策

本紙が内部文書入手


 介護保険の給付対象者を要介護度2以上の中・重度者に限定すると三千三百億円の国庫負担削減になるなど、同制度の根幹を崩す改悪を検討していることを示す厚生労働省の内部文書を、本紙は五日までに入手しました。


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(写真)介護保険の給付対象の切り捨てや、利用料引き上げを検討した厚生労働省の内部文書

 同文書は、「介護報酬改定と対応について(未定稿)」と題する「平成20年3月19日 老健局」と記された「取扱注意」の内部資料。〇九年四月の改定で介護報酬を引き上げた場合の財源確保策として、「運用による縮減策」のほかに「制度見直しによる縮減策」を列挙。そのなかで「(1)給付範囲の見直し 給付の重点化(要介護度2以上の者のみ給付)の実施」をあげ、国庫負担削減額を試算しています。介護給付費ベースにすると一兆円程度の削減になります。

 これが実施されると、いまの利用者の四割を占める要介護1と要支援1・2の人が介護サービスから排除されます。

 介護給付対象者の切り捨てについては、昨年五月財務省が財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に、要介護3以上のみを給付対象とした場合、二兆九百億円の給付費削減になるとの試算を示していました。日本共産党の小池晃議員が当時、参院厚生労働委員会で「とんでもない議論だ」とただしたのにたいし、舛添厚生労働相は「まったく同感」「乱暴にこういう数字が出る」と給付対象切り捨てを否定する答弁をしていました。しかし、厚労省は、切り捨てによる財政効果まで検討していました。

 また、「(2)自己負担の引き上げ」として「利用者負担を一割から二割に引き上げ」た場合、七百億円の国庫負担削減効果があると明記しています。

 一割負担のいまでも、在宅サービスでは、利用限度額にたいする平均利用率が約五割にとどまっています。介護が必要と認定されながらサービスを利用していない人も二割に上ります。



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