2009年4月30日(木)「しんぶん赤旗」

原発 温室ガス

「ゼロ」じゃない

年82万トン 運輸・郵便部門に迫る

政府・財界の“推進宣伝”はごまかし

政府資料で明らかに


 日本の原子力発電所や核燃料製造施設などから、中規模火力発電所一カ所分並みの年間約八十二万トンの温室効果ガス(CO2とフロン)が出ていることが、経済産業省と環境省の「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」(二〇〇六、〇七年度)の集計データから分かりました。このデータは本紙が情報公開を請求して入手したもの。原子力関係の排出実態がわかったのは初めてです。(宇野龍彦)


 政府・財界は「原発は世界に貢献。CO2ゼロ」などと宣伝し、「低炭素社会の切り札」と位置づけ増設しようとしていますが、それが、事実に反することが明らかになりました。

 原子力関係の施設は、核燃料製造や使用済み核燃料の処理、保守点検・放射性物質管理などで大量の電力消費をともないます。

 原発でもっとも多かったのは石川県の志賀原子力発電所で約十万九千トン。公開資料に北海道電力、関西電力の各原発と東京電力福島第2原発の排出データはありません。これらを除く商業用原発の排出量の合計は約二十八万トンでした。

 このほか福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」が約四万トン。運転停止中にもかかわらず、原子炉冷却用のナトリウムを固まらないように加熱するため、大量の電気使用にともなうCO2の排出源となってきました。

 核燃料製造施設では日本原燃、三菱原子燃料など四社あわせて約二十四万トン。もっとも多かったのは青森県六ケ所村にある日本原燃の核燃料製造施設(ウラン濃縮、使用済み核燃料再処理)。関連施設の運転にともない、約二十二万トン(〇七年度)を排出していました。

 茨城県や福井県などにある日本原子力研究開発機構の全施設で約三十万トン排出していました。

 原発や核燃料製造施設などの温室効果ガスの排出量を合計すると八十二万トンになります。(表)

 電力会社などは、さきに横浜市で開かれた日本原子力産業協会の年次総会で、「CO2ゼロ」と原発を持ち上げましたが、実態は大違い。業種別でみても、運輸・郵便部門の事業所(約九十万トン)に迫る排出源となっています。

表


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