2009年4月24日(金)「しんぶん赤旗」

主張

中小企業の危機

主役が元気になる対策こそ


 自公政府の「経済対策」は、大都市圏の大型道路や巨大な国際港湾の整備、輸出大企業の支援など、大手ゼネコン、大銀行・大企業の応援が中心です。中小企業への支援は金融面の対策を追加する程度にとどまっています。柱の緊急保証制度も、依然として二割近い業種を対象外にしています。

日本全国が「雨模様」

 商工中金が先週発表した三月の地域別景況調査によると、中小企業の景気は全地域とも「非常に悪い」となりました。調査では景気を天気に例えて示しています。その天気図は一九九三年の調査開始以来、初めて全国が雨模様に覆われました。昨年の三月調査では東海地方が「薄日」(景気が「良い」)、関東は「薄曇」(「やや良い」)と、地方と比べると良かった大都市圏の急激な悪化が目立ちます。

 もともと景気が悪かった地方経済が一段と悪化し、大企業の下請けが集積する大都市圏でも、「需要が消失した」といわれるほど激しい景気悪化が進んでいます。

 中小企業は大銀行の「貸し渋り」の標的にされ、今回の不況以前から資金繰りに苦しんできました。売り上げが急降下すると、たちまち運転資金が干上がります。

 政府の緊急保証を利用しようとしても保証を断られたり、融資額を値切られたりする例が各地で起きていることは見過ごせません。融資が焦げ付いたら保証協会の負担が発生することから保証に消極的になったり、銀行が自行の貸し付けの回収に悪用している実態があります。

 大企業の「下請け切り」も横行しています。「需要低迷に加え、完成車メーカーからのコストダウン要請がさらに強化されて悪化しており、足元では赤字に転落する企業が増えている」―。商工中金の調査でも、不況と親会社の締め付けの挟み撃ちに遭っている下請けの深刻な経営危機が浮き彫りになっています。中小企業庁の「下請かけこみ寺相談」の件数も、ことしに入ってうなぎ上りです。

 緊急保証の対象を全業種に広げるとともに、中小企業を支援する制度の趣旨を徹底する必要があります。全国商工団体連合会が政府・各党に要請している、下請けへの緊急休業補償や工場の家賃など固定費の補助、雇用調整助成金や失業保険の拡充も重要です。もとより、大銀行の「貸し渋り」、大企業の「下請け切り」をやめさせる政府の強力な指導・監督が不可欠です。

 中小企業の仕事を生み出すためにも、むだと浪費が多い大型・開発型の公共事業から生活密着型に切り替えるべきです。住民の役に立ち、中小企業の受注割合が高く雇用も増やせる学校など公共施設や住宅の耐震補強、既存の道路や橋の維持補修などの事業です。

内需主導への鍵を握る

 大企業が過去最高益の更新を続けた時期も中小企業は厳しい経営を強いられてきました。日本の中小企業が本来の活力を取り戻すためには、消費税増税・「構造改革」路線はじめ、中小企業をないがしろにする自公政治のやり方を根本から改める必要があります。

 中小企業は、農業再生、社会保障の拡充や環境対策などとともに、日本経済を内需主導へ転換する上でも大きな役割が期待されます。中小企業が元気になる経済対策を実現するために、力を合わせてがんばるときです。


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