2009年4月21日(火)「しんぶん赤旗」

“育休切り”“産休切り”許さない

育児・介護休業法改正案 きょう国会提出へ

実効ある法改正を

全労連女性部・新婦人 厚労省など要請


 三歳未満の子どもをもつ労働者の短時間勤務制度や残業免除制度を企業に義務付ける育児・介護休業法改正案が二十一日、閣議決定され、国会に提出される予定です。育児休業や産前産後休業の取得を理由に、解雇・退職を迫られるなど、“育休切り”や“産休切り”が、厚生労働省の調査でも急増しているもとで、労働組合や女性団体は、実効ある育児・介護休業法改正を求めています。


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(写真)実効ある育児・介護休業法改正、都道府県労働局のブロック化反対を要請する全労連女性部、新婦人の代表と高橋議員(右から3人目)=17日、東京都千代田区

 全労連女性部と新日本婦人の会が十七日おこなった厚生労働省と内閣府への要請には、日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が同席しました。

 “育休切り”や“産休切り”を許さない実効ある育児・介護休業法改正と事業者への対応を求め、都道府県労働局のブロック化に抗議しました。

 厚労省雇用均等・児童家庭局の担当者が育児・介護休業法改正案について説明しました。また、労働者が産前・産後休業、育児休業などを申し出たことによる解雇などの不利益取り扱いが増加し続けるなか、二〇〇八年度の相談件数千百七件のうち指導によって是正されたのは三十八件であったことをのべました。

 神奈川労連労働相談センターの沢田幸子事務局長は、半導体メーカーで一年契約のパートとして五年間働き続けてきた女性が育休中に会社から“雇い止め”通知を受けた事例を発言。「労働局雇用均等室が会社に、雇用継続するよう二度勧告したにもかかわらず、会社側は『業績不振による契約解除で、育休中の不利益取り扱いではない』と拒否した」とのべ、企業名の公表など実効ある制裁・罰則措置を求めました。

 自治労連の川西玲子副委員長は、地方公共団体の非正規労働者数が四十九万九千三百人にのぼり(任用期間六カ月以上かつ一週間の勤務時間が二十時間以上)、労基法や均等法で定められている産前・産後休暇や育児時間が保障されていない女性労働者が多数いる現状を話しました。「女性が働き続けるための権利が侵害されている」と改善を求めました。

 都道府県労働局のブロック化について、厚労省担当者は「労基署やハローワークへの指導・監督、第一線の相談窓口などの機能が低下する」と懸念を表明。内閣府地方分権改革推進委員会事務局の担当者は、「国民の利便性を考えつつ対応する」とのべました。

 全労連の柴田真佐子女性部長は、派遣切りのなかでの各地の労働局の奮闘を激励し、人員増をともなう都道府県労働局の体制・機能の強化を求めました。


育児・介護休業法改正案とは

 今国会に提出予定の育児・介護休業法改正案の柱の一つは、育児休業後に職場復帰して働き続けられるための短時間勤務制度(最低六時間)と、残業免除制度です。

 現行では、両制度にフレックスタイムや時差出勤、託児施設の設置などを加えた選択肢から、事業主が選ぶ方法のため、短時間勤務制度のある企業は約三割、残業免除のある企業は二割強にとどまっています。

 改正案は、短時間勤務と残業免除の制度を独立の制度として企業に義務付けました。

 ただ、対象は子どもが三歳未満と非常に短く、労働組合などが、強く希望していた「就学後も」は見送られました。

 もう一つの柱は、男性の育児休業取得の促進です。育児休業を取得したい男性は、三割を超えていますが、実際の取得率は1・56%です。

 男性が育児休業を取りにくい要因の一つである休業中の賃金保障(現行は暫定措置で五割)は改正案では改善されていません。

表

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