2009年4月15日(水)「しんぶん赤旗」

派遣切り問題 労働局申告

直接雇用へ速やかな指導を

志位委員長が政府に申し入れ

厚労相“体制強化し対応”


 日本共産党の志位和夫委員長は十四日、全国各地で派遣労働者が派遣先企業への直接雇用・正社員化を求めて労働局に「申告」している問題で舛添要一厚生労働相と会談し、速やかな是正指導を行うよう政府に申し入れました。小池晃政策委員長が同席しました。


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(写真)舛添厚労相(右)に要請する志位和夫委員長(中央)、小池晃政策委員長=14日、国会内

 志位氏は、派遣期間制限の三年を超えて働かされるなど、違法派遣状態のまま「派遣切り」にあった労働者が申告に立ち上がり、日本共産党が把握しているものだけでも二月以降、三十一労働局に六十五派遣先事業所の二百八十人にのぼることを紹介。直接雇用を促すなど一部の労働局では前向きの対応が始まっているものの、指導・助言をしたのは七労働局にとどまり、詳細な書類の提出がなければ不受理にし、立会人も認めず尋問のように聴取するケースも少なくないなど、解雇通告がなされ、切迫した状況に置かれている労働者の実情に応じた対応になっていないとのべました。

 そのうえで、(1)すみやかに調査に入り、必要な指導・助言を行う(2)口頭であっても文書であっても不受理とせず、親身に対応する(3)派遣期間制限を超えて働かせている場合、指導・助言は「直接雇用をすすめる」という立場で行う(4)労働局の体制の拡充をはかる―を求めました。

 舛添厚労相は、「窓口で『親切さ』の度合いが違うのは申し訳ない。立会人がいなくても親身に対応する」「こういうひどい扱いがあったと具体的事例をあげてくれれば個々に適切に指導する」「労働者派遣法で申告ができるとした趣旨が無にならないようにしたい」と言明。人員体制については、「体制を強化しないと労働者は守れない」とし、増員を求めていきたいとのべました。

 直接雇用の指導については、派遣元から派遣先への抵触日の通知があって、直接雇用の義務が生じるとのべました。

 これに対して志位氏は「偽装請負を行っている企業が通知をおこなうはずがない。実際に期間が超えているかどうかを見て指導すべきだ」と指摘。舛添厚労相は「法律違反は違反として徹底して指導する」と語りました。

【Movie】直接雇用へ速やかな指導を 志位委員長が政府に申し入れ(09.4.14)


派遣労働者の派遣先企業への直接雇用・正社員化を求める「申告」への対応について

(全文)

 日本共産党の志位和夫委員長が十四日、舛添要一厚生労働相に手渡した麻生太郎首相と厚労相への要請書「派遣労働者の派遣先企業への直接雇用・正社員化を求める『申告』への対応について」の全文は次の通りです。

 昨年秋以降、急速に広がった「派遣切り」「雇い止め」は、厚生労働省調査でも、「六月末までに十九万二千六十一人」、業界調査では「三月末までに四十万人」とされています。おびただしい数の労働者が、職を失い、ホームレスにおいやられる事態が続いています。

 重大なことは、私が、二月四日の衆議院予算委員会の質疑で明らかにしたように、「派遣切り」にあっている労働者の多くが、偽装請負などを通算すれば「最大三年」という期間制限を超えて派遣として働かされ、違法派遣状態になったあげく解雇されていることです。違法行為によって期間制限をごまかし、直接雇用の責任を逃れてきた派遣先企業にたいして、政府・厚生労働省が、直接雇用・正社員化の義務を果たせと厳しく指導することが、強く求められています。

 この間、全国各地で、派遣労働者が、違法派遣の実態を訴え、派遣先企業への直接雇用を求めて労働局へ「申告」をおこなっています。わが党が掌握した分だけでも今年二月以降、三十一の労働局にたいして、六十五派遣先事業所の派遣労働者約二百八十人が「申告」をおこなっています。一部の労働局では直接雇用を促す指導をおこなうなど前向きの対応が始まっていますが、これまでに指導・助言をおこなっているのは七労働局にすぎず、対応が遅れています。また、「申告」のさいに、労働者側に、派遣期間や業務内容についての詳細な書類の提出を求め、それがなければ不受理にするという対応や、「一人ずつ個室に呼び出されて、尋問のように聞かれた」「立会者の同席を拒否された」など、必要以上に派遣労働者たちに緊張を強いる対応があります。

 「申告」をおこなっている労働者は、すでに派遣会社との雇用関係が切れていたり、解雇を目前にしているものがほとんどであり、労働局がすみやかに調査し、是正の措置をとるかどうかが、派遣労働者たちの暮らしと命に直結しています。

 政府・厚生労働省に、つぎの対応を緊急に要請するものです。

 1、派遣労働者の「申告」については、すみやかに調査に入り、必要な指導・助言を行うこと。指導・助言の内容を、当事者たちに速やかに報告するとともに、現時点での調査状況などについても当事者たちの要望に基づいて報告すること。

 2、派遣労働者であることが確認されれば、口頭であっても、文書であっても労働者の申告権を認め、不受理とするようなことがないようにすること。立会人を認めることはもちろん、圧迫聴取などをきびしく排し、「親身に対応する」という厚生労働大臣答弁の立場を徹底すること。

 3、派遣期間制限を超えて働かせている場合は、派遣先大企業に直接雇用・正社員化の義務を果たさせる指導・助言が当然だと考えるが、政府自身も昨年十一月二十八日の通達で、「直接雇用を推奨する」としており、指導・助言にあたっては「直接雇用をすすめる」という立場で行うこと。

 4、労働者の権利と生活を守り、雇用の安定をはかるために、労働局の体制の必要な拡充をはかること。



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