2009年3月18日(水)「しんぶん赤旗」

出産・育休で不利益

厚労省まとめ 是正は1%未満

育休後に復帰、突然遠くの支店に異動命令…


 「派遣元に妊娠を告げたら契約更新しないといわれた」「産休・育休を取得して復帰したら、突然遠くの支店への異動を命じられた」―。妊娠・出産、産前産後休業、育児休業をめぐり、雇い止めなどの不利益取り扱いを受けたとして、労働者から都道府県労働局に寄せられる相談が急増しています。

 十六日、厚生労働省が発表した緊急調査のまとめでは、育児休業取得をめぐり不利益取り扱いを受けたとする相談が今年度二月末までで千百七件にのぼり、昨年度の八百八十二件を大きく上回りました。

 妊娠・出産を理由にした解雇などの不利益取り扱いも、千八百六件で、昨年度の千七百十一件から増加しています。いずれも二〇〇四年度から増加傾向にあります。(グラフ)

 相談が急増しているにもかかわらず、労働局の指導による是正件数は相談件数の1%にも届きません。育児休業をめぐる不利益取り扱いでは、〇八年度是正指導されたのは相談件数の0・4%の四十七件。妊娠・出産を理由とした不利益取り扱いでも、同じく0・1%の二十四件です。

 妊娠・出産、産前産後休業や育児休業の申し出、取得を理由として、解雇など不利益な取り扱いをすることは、法律で禁止されています(男女雇用機会均等法第九条三項、育児・介護休業法第一〇条)。

 また、産前産後休業の期間とその後三十日間の解雇は禁止されています(労働基準法第一九条)。妊娠中と産後一年以内の解雇は、「妊娠・出産・産前産後休業取得等による解雇でないこと」を事業主が証明しない限り無効です(男女雇用機会均等法第九条四項)。法律にもとづく厚生労働省の指導の強化が求められます。

 厚生労働省は、育児休業取得などをめぐる相談が急増していることを受けて、十六日付で、雇用均等・児童家庭局長名の通達「妊娠・出産、産前産後休業及び育児休業等の取得等を理由とする解雇その他不利益取扱い事案への厳正な対応について」を都道府県労働局長に出しました。

グラフ

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp