2009年3月16日(月)「しんぶん赤旗」

SFCG(旧商工ファンド)破たん

過払い金返還逃れか


 高金利融資と強引な取り立てで自殺者までだしてきた商工ローン最大手のSFCG(旧商工ファンド)が、先月二十三日、東京地裁に民事再生法適用を申請し受理されました。しかしこの経営破たん、あまりに不可解な点が多すぎます。


資産目録すらない

 今回の民事再生法適用申請について、日栄・商工ファンド対策全国弁護団の長田淳弁護士は、「申立書に資産目録がつけられていないのは極めて異例で、(添付を義務付けた)再生法規則一四条違反だ」と指摘します。

 債権者説明会でSFCGの代理申立人はこのことについて「資産が正確に把握できていないので、つくっていない」と説明したといいます。四半期(三カ月)ごとの決算は出しているのに、資産が把握できないというのは不自然です。本当だとすれば逆に決算が粉飾であった可能性もあります。

 資金状況を示す資金収支実績表もずさんです。保証料収益、過払い金の項目が空欄になっており、従業員九十二人の人件費は月二億五千万円と記載しています。これでは一人の月給が二百七十万円ということになります。

直前に債権を譲渡

 東京都豊島区でビルメンテナンスの会社を営む佐藤幸一社長(58)=仮名=に先月二十四日、債権譲渡通知書が届きました。SFCGから借りている二百八十八万円が日本振興銀行に譲渡されたというのです。年利は15%、連絡や取り立ては今後ともSFCGグループが行うという内容です。

 佐藤さんはSFCGから総額八百万円を借り返済途中。契約時にかわした公正証書には年利15%とあるのに、実際は27%で払わされて過払いが約百八十万円あることがわかり、返還訴訟を起こそうとしていた矢先のことでした。

 「債権譲渡で新しい契約にして、これまでの過払い分をチャラにしてしまおうという作戦ではないか」と佐藤さんは憤ります。

 SFCGは二〇〇八年八月以降、日本振興銀行に千七百二十七億円を超える債権を譲渡しています。これは同年七月時点の同社の営業貸付金の約36%にあたる額です。

優良部分は銀行に

 東京都内でラーメン店を営む小川茂樹さん(60)=仮名=は、今年一月、過払い金三百十八万円の返還でSFCGと和解しました。二月十日が返還約束日でしたが、銀行に払い込まれません。SFCG側に問い合わせると「来週払い込みます」の返答。ところが次の週になっても払い込みがないので二十日に再度電話で問い合わせると「上の決裁が出ていない」といわれました。

 「逃げる気だな」と分かった小川さんは、民主商工会と連絡を取り対応しようとしますが、その三日後にSFCGが破たんします。

 年利35・96%の暴利で金を借り、完済した小川さん。「悔しい、何としても過払い金の一部でも取り戻したい」と話します。

 日本共産党の大門実紀史参院議員は三日、国会でSFCG問題を追及。「優良債権を日本振興銀行に移し不良債権をSFCGに残し財産はないと開き直る。過払い金返還と借金をチャラにするための、SFCGと日本振興銀行の一蓮托生(いちれんたくしょう)の破たん劇ではないか」と指摘しています。


 SFCG 一九七八年、中小業者に高利で融資する商工ローンの商工ファンドとして設立。九〇年代後半から、30%台後半の暴利や、脅迫的な取り立てが「赤旗」の告発記事などで社会問題になり、二〇〇二年にSFCGと改名しました。七百三十四億円の融資をリーマンブラザーズから受けていましたが、〇八年九月同社が破たん。その直後から一括返済要求など強引な取り立てを強め、約二百八十人が提訴しています。取引先は約五万件。

写真

(写真)佐藤さんに送られてきた債権譲渡通知書の一部。譲受人(日本振興銀行)と譲渡人(SFCG)の一体ぶりを示している


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