2009年3月7日(土)「しんぶん赤旗」

住友生命 教育保険

満期353万円のはずが221万円

「元本割れの説明なかった」


 「だまされたようなものだ」。生命保険会社大手、住友生命の教育保険について、こんな訴えが編集局に相次いで寄せられました。多くが「満期時の保険金が契約時の説明と違う。大幅にへらされた」という内容。あらためて契約時の説明のあり方、その後の告知責任が問われています。


18年間1度も

 「こんなことなら銀行に貯金していた方がよかった」というのは、大阪府交野市の中井賢一さん(62)=仮名=です。

 中井さんは長男が一歳のとき、一九九〇年二月に住友生命の新教育保険に加入しました。十八年満期で毎月の保険料は一万三千二百五十四円。同社作成の「設計書」によると、満期時(〇八年二月)受取額は合計三百五十三万円。ところが、同年一月の住友生命からの「お知らせ」は、満期時受取額が配当金を含め二百二十一万円でした。

 問い合わせると、同社は「期待に沿えない実績となった」ことに「お詫(わ)び」しつつ、「市中金利の動向で積立利率は年々下方修正を余儀なくされた」と弁明しました。

 このやり取りを通して中井さんははじめてわかりました。確定している受取額は(1)満期時育英資金の六十万円(2)契約三年後から毎年受け取れる、積み立ても可能な年十万円の育英資金十五回分の百五十万円―で、この合計は二百十万円。もともと、十八年間の保険料(年約十五万九千円)の合計約二百八十六万円を下回るしくみだったのです。育英資金を積み立て高い利率で運用すれば、保険料総額を上回りますが、0%では「元本割れ」となります。

 中井さんは「6%の利率で運用することが当然の前提だった。元本割れの可能性もあるという説明は十八年間一度もなかった」と今も怒りがおさまりません。

“詐欺も同然”

 「これでは詐欺同然ではないですか」と社会部に怒りの電話をしてきたのは新潟県新発田市の田中実さん(52)=仮名=。

 田中さんは一九九〇年六月、長男が三歳のときに、住友生命の新教育保険に入りました。続いて九二年十一月、次男が三歳のとき同じ新教育保険に加入しました。いずれも十八年満期。月々の保険料は、それぞれ一万四千三百円と一万円。

 加入時の「お見積もり」によると、長男の方の満期時受け取り額は四百二十一万円。ところが、住友生命からの「お知らせ」には受取額は約二百六十万円。次男は百八十二万円で、いずれも「元本割れ」。田中さんの抗議に、新潟支社は中井さんの場合と同様に「お詫び」し、積立利率が、「年々下方修正を余儀なくされた」と回答してきました。

 住友生命本社の広報室は本紙に「個別の案件にはお答えできない」とのべつつ、「誤解を解くように努力している。ただ、パンフレットには現行利率が変動する場合があることは明記してある。不備はないと考えている」といいます。中井さん、田中さんの怒りは「誤解」というわけです。

 二人は口をそろえます。「あとでいろいろ説明をうけても、ごまかされたとしか思えない。元本割れする可能性があることがわかっているなら、そんな保険には入らなかった」


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp