2009年3月3日(火)「しんぶん赤旗」

介護認定新方式 民医連が検証

ヘルパー週10回→3回

生活壊す軽度判定続出

厚労省も認める


 全日本民主医療機関連合会(民医連)が四月実施予定の新しい要介護認定方式にもとづいて一次判定を検証したところ、十二人の介護保険利用者のうち九人が現在の要介護度より軽度の判定が出ました。二日に都内で記者会見を行って発表しました。認定新方式による個別の利用者への影響が明らかになるのは初めてです。


 検証は、認定方式の変更による影響を受けそうな利用者について、聞き取り調査の新しい判断基準と一次判定のコンピューターの新しいしくみを使って行いました。

 肺がん末期で入退院を繰り返している七十三歳の車いすの男性は現在、「要介護1」です。ところが新しい認定方式では「要支援2」に下げられます。週に九回利用しているヘルパーを最高でも週三回しか利用できなくなり、食事、排せつ、入浴、掃除の援助が不足し、生活が破たんしてしまいます。

 先天性の股関節症などがある六十八歳の女性は「要介護1」から「要支援2」に下がります。病弱な夫と要介護状態の母親と同居中ですが、ヘルパーを週十回から三回に減らさざるをえなくなり夫の負担が激増。家族三人の生活が危機に陥ります。

 民医連が同日行った厚労省との交渉では、同省は新しい聞き取り調査の基準を用いた場合、一次判定が軽度に出る傾向があることを認めました。

 厚労省が昨年行った約三万件のモデル事業でも、二次判定での変更率が現行方式の29・8%から新方式の18・3%へと大幅に低下していました。生活実態と比べて低い一次判定が出た場合、二次判定でも是正されない恐れがあります。

 民医連は(1)四月からの新方式実施の凍結(2)モデル事業などの検討内容の公開(3)認定制度全体の総合的な検証と改善(4)国会での審議―を求めています。


 要介護認定 介護保険サービスを利用するためには要介護認定(軽い順に「非該当」「要支援1、2」「要介護1―5」の8段階)を受ける必要があります。コンピューターによる1次判定と認定審査会による2次判定が行われます。新しい認定方式では審査会に提出される統計的な参考資料が削除されており、1次判定の変更が難しくなると批判されています。

表

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