2009年2月28日(土)「しんぶん赤旗」

米欧などにハマスとの交渉呼びかけ

元豪外相ら14氏が書簡


 イスラエルのベンアミ元外相や豪州のエバンス元外相ら、世界各地の紛争で和平交渉に携わってきた政治家、外交官十四人が二十六日までに、米欧などに中東和平の実現のためパレスチナのイスラム武装抵抗組織ハマスとの話し合いをよびかける公開書簡を発表しました。

 英紙タイムズ(電子版)によると、書簡は「平和はハマスとの話し合いによってしか実現しない」と題したもので、オバマ米政権の登場で現実主義にたった新しい戦略追求の希望がでているとして、和平達成にむけた戦略再考を求めています。

 ハマスは二〇〇六年のパレスチナ評議会選挙で勝利したものの、イスラエルや米国、欧州連合(EU)はハマスをテロ組織だとみなし、和平プロセスから排除し孤立化を図ってきました。

 書簡は、昨年末から一月にかけてのイスラエルによるガザ地区攻撃などを念頭に「最近起きた最悪の血まみれの紛争は、ハマスの孤立化を目指す政策が安定をもたらさないことを証明した」と指摘。「これまで(各種の)和平交渉にたずさわってきた私たちは、失敗した孤立化政策を捨て、ハマスを政治プロセスに関与させることが極めて重要だと考える」と主張しています。

 書簡は、ハマスに対しイスラエルの承認と、すべての暴力の中止を求める一方、経済封鎖や軍事侵攻の中でもハマスがパレスチナ社会を支え続けてきたことを挙げ、「われわれが望むかどうかにかかわらず、ハマスはなくなりはしない」と強調しました。

 そのうえで、ハマスとの交渉なしにはパレスチナとイスラエルの共存も平和も安全もないと提起し、「(交渉への)ハマスの関与が、テロや市民への攻撃を大目に見ることになるわけではない。実際には、実現可能な合意をとりまとめ、安全を達成するための前提条件なのだ」と述べています。

 書簡に名前を連ねたのは、両元外相のほか、北アイルランド紛争の和平交渉にかかわったパッテン英上院議員やアンクラム英下院議員(保守党)、国連のソト元中東特使らです。


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