2009年2月28日(土)「しんぶん赤旗」

主張

予算案衆院可決

危機感も打開策も全くない


 二〇〇九年度の予算案が自公の賛成多数で衆院を通過しました。

 衆院予算委の二十四日の参考人質疑を通じて、雇用破壊の先頭に立つ財界・大企業トップを招致する必要性がいっそう明確になったところです。この点だけから見ても審議はまったく不十分です。

 口では「百年に一度の危機」と言いながら、麻生内閣と自公には景気悪化を止める真剣さがかけらも見られず、民主党となれ合って予算を押し通しました。民主党も党略を優先し、政府予算案の組み替えすら求めませんでした。

景気悪化を食い止める

 雇用と家計を犠牲に進めてきた「外需頼み」の経済成長が、アメリカ発の金融危機で根底から崩れています。空前の利益をあげたトヨタなど財界トップ企業は、輸出が落ち込むとすぐさま、最も弱い立場の派遣労働者や下請け中小業者に被害を押し付けました。もともと内需が冷え込んでいた上、大企業がいっせいに現行法にさえ違反する「派遣切り」「下請けいじめ」に走り、景気はアメリカよりも急激に悪化しています。

 日本共産党の志位和夫委員長が予算委で追及したように、失職させられる労働者の多くは違法な中途契約解除や偽装請負などの被害者です。本来は企業が直接雇用を申し込まなければならないのに、逆に不当解雇しています。

 横行している一方的な下請け単価の大幅切り下げ、有無を言わせぬ発注の大幅カットも明白な下請代金法の違反です。明らかになっているのは氷山の一角で、緊急に立ち入り検査を実施するとともに下請検査官の増員が必要です。

 政府は現行法にもとづいて、大企業の無法なやり方を是正しなければなりません。中小企業に対する貸し渋り・貸しはがしの先頭に立っている大銀行に直ちに指導に入り、信用保証制度を全業種・全額保証に拡充して年度末の資金繰りを確保すべきです。

 くらしを支える社会保障予算の自然増を毎年二千二百億円も削減し続ける方針を撤回し、社会保障を拡充する方向に転換することも不可欠です。

 しかし政府予算案には「派遣切り」「下請け切り」や貸し渋りを止める対策はありません。社会保障の抑制路線にも固執し続けています。与謝野馨財務相は「〇六年の『骨太方針』に書いてある原則だ。ここでやめるとは言えない」と答弁しています。

 その一方で予算案は、海外に進出している大企業への新たな減税を開始し、株のもうけや配当への大幅減税を三年も延長します。

 足元の景気の深刻な落ち込みを食い止める対策もなく、外需頼みから内需主導に転換する方策もありません。従来型の政府予算案では、内需の冷え込みと景気悪化の悪循環を加速するだけです。

消費税増税は撤回を

 政府・与党に日本経済を立て直す気概も真剣さもないことは、あくまで消費税増税に固執していることに、はっきり表れています。

 オバマ米政権が、財政再建で富裕層への増税と同時に、「年収二十五万ドル(二千四百万円)未満の世帯には十セントすら税金が増えない」と宣言したことと対照的です。

 まじめに経済政策を考えるなら消費税増税の計画を撤回し、少なくとも庶民に増税はしないというぐらいは約束すべきです。


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