2009年2月23日(月)「しんぶん赤旗」

イスラエル 対イラン「秘密戦争」?

暗殺・破壊行為・二重スパイ…

“核開発阻止”名目に 英紙など報道


 【カイロ=松本眞志】スパイを使って核開発を阻止するなど、イスラエルがイランに対する「秘密戦争」を行ってきたとの報道が相次いでいます。オバマ米新政権がイランとの対話姿勢を示していることにイスラエルが懸念を抱き、「秘密戦争」を強化するとの専門家の指摘もあります。

 十六日付の英紙デーリー・テレグラフが米中央情報局(CIA)元高官の発言として、イスラエルがイランの核開発を「違法な兵器開発計画」だと認識し、これを阻止するために「暗殺者、破壊行為、ダミー会社、二重スパイ」などを利用していると報じました。

 この匿名のCIA元高官は「秘密戦争」について、「目的は、何らかの解決策がとられるまで、とにかく核開発を遅らせること。それは、何が起きたのかわからないような方法が採用されている。許容できない犠牲をもたらす軍事的排除とは異なるすぐれたやり方だ」と述べています。

 同紙は「秘密戦争」の主要な作戦のひとつとして、核開発事業にかかわる指導的人物の暗殺行為があると指摘。イラン最高の原子力科学者だったアルデシル・ハサンプール氏が、二〇〇七年にイスファハンのウラン濃縮施設で「ガス中毒」によって死亡した事件や、最近のイランの核開発にかかわる重要人物の死亡などの背景に、イスラエル情報機関(モサド)の存在があるとの西側専門家の声を紹介しています。

 ロイター通信も最近この問題をとりあげ、イスラエルの情報部員が身分を隠して西側政府や企業で勤務しているとの情報や、ウラン濃縮施設のあるイラン中部のナタンツへの電力供給を妨害する「破壊活動」があったとのイラン側研究者の声を伝えています。

 米国の民間情報機関ストラトフォーのレバ・ブハラ上級研究員は、オバマ米政権のイランとの対話政策にイスラエル側が懸念を強めているとし、「秘密戦争」をエスカレートさせると予想。「(米・イスラエル間の)政治的空気はこじれ、結果としてイスラエルの対イラン秘密戦争はより強化されることになるかもしれない」と指摘しました。


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