2009年2月17日(火)「しんぶん赤旗」
大統領3選制限撤廃
国民投票 社会変革継続を選択
ベネズエラ
【カラカス=島田峰隆】南米ベネズエラで十五日、大統領や州知事、国会議員などの三選制限を撤廃する憲法修正の是非を問う国民投票が投開票されました。全国選挙評議会が同日夜、開票率94%の段階で発表したところでは、賛成54・36%(約六百万票)、反対45・63%(約五百四万票)で、修正案は賛成多数で承認されました。棄権は約33%でした。
今回の国民投票は、チャベス大統領の就任からちょうど十周年の時期に行われました。国民の多くは、新自由主義と対米従属から決別し、貧困層を支援する同政権の社会変革を継続・発展させる方向を選択したといえます。
チャベス大統領は十五日夜、カラカス市内の大統領府で、「明確な勝利だ。今日われわれは未来へ扉を開いた」と勝利宣言しました。
同大統領は「尊厳のなかった過去へは後戻りしない」と変革の継続を約束。二〇一二年に予定される次期大統領選への立候補に意欲を示しました。さらに「人間の尊厳への道は社会主義だ。真の社会主義への歩みを強めるよう呼びかける」と語りました。
与党、統一社会主義党の党員や支持者らは、全国で旗やプラカードを持って通りに繰り出し、勝利を祝いました。
反対派の学生運動指導者は、「結果を受け入れる」と表明しました。
チャベス政権は、豊富な石油資源の収入を使い、無償の教育や医療、職業訓練、市場価格より食料品を安く売る店の設置など社会計画を進め、貧困を大きく減らしました。チャベス大統領は、「変革の深化にはさらに十年は必要」と述べ、憲法修正へ支持を訴えました。
二〇〇七年十二月には、憲法に社会主義の方向性を盛り込み、大統領の三選制限を撤廃する改正の是非を問う国民投票が行われました。この時は反対がわずかに上回り、修正案は承認されませんでした。