2009年2月17日(火)「しんぶん赤旗」

主張

マイナス12.7%

根本的な反省と転換が必要だ


 GDP(国内総生産)速報によると、昨年十―十二月期の実質成長率は年率換算でマイナス12・7%となりました。輸出は過去最大の落ち込みとなり、輸出との連動を強めている設備投資がマイナス、雇用と所得の悪化で家計消費も減少しています。

 同じ時期のアメリカの実質成長率は3・8%減、ヨーロッパは5・7%減で、日本経済の落ち込みの激しさは米欧を大きく上回っています。異常な「外需頼み」が破たんし、家計を中心にした国内需要も総崩れとなっていることが日本の景気悪化を深刻にしています。

自公政府の責任は重大

 経済専門家からも厳しい指摘が出ています。「内需を犠牲にして、輸出を増やし景気を押し上げてきたことのツケが、急激な景気悪化を招いている」(みずほ総研の杉浦哲郎チーフエコノミスト、『みずほリサーチ』二月号)―。

 「構造改革」で暮らしの基盤をぼろぼろに壊してきた自公政府の責任は極めて重大です。

 自公政府は財界の戦略に従って労働法制を連続で規制緩和し、不安定で劣悪な雇用をまん延させてきました。大企業の公的負担をいっそう軽減するために、税制と社会保障の改悪で国民に年額十三兆円もの負担増を押し付けています。いくら働いてもまともに暮らせないワーキングプア、とりわけ子どもの貧困は切実な社会問題です。その結果、日本社会の将来をゆるがす少子化傾向にも、まったく歯止めがかかっていません。

 財界は「構造改革」路線に確固とした将来展望を持っていたわけではありません。かつて、日本経団連会長の奥田碩・トヨタ会長(当時)が告白しています。「(少子化で国内需要が減ってくると)また『輸出立国』のような話が出てくるのか。そういうことを実業界としては考えあぐねているという段階だ」(二〇〇五年一月、経済財政諮問会議)

 にもかかわらず昨夏、アメリカの金融危機が抜き差しならない様子を見せ始めるに至っても、日本経団連の現会長の御手洗冨士夫・キヤノン会長は言っていました。「『輸出立国』でいくしかない」(『文芸春秋』昨年七月号)と。

 米欧の急速な景気悪化によって、甘すぎる「輸出立国」論はあえなく崩壊しました。財界中枢のキヤノン、トヨタを先頭に、輸出大企業があわてふためいて道理のない派遣・期間工切り、下請けへの犠牲転嫁に走っています。国民に痛みを強いてきた財界が、その破たんの痛みを再び国民に押し付けて底なしの被害を広げています。

 赤字の見通しを示しているトヨタも、これまでの巨額の利益で十二兆円もの内部留保をため込んでいます(昨年十―十二月期決算)。景気の悪化を加速し、暮らしと経済の悪循環を引き起こしている財界の身勝手な行動を、政府はただちにやめさせるべきです。

見通しを失った財界

 「構造改革」の司令塔である財界が完全に見通しを失っています。家計を犠牲にして外需・輸出だけで稼ぐゆがんだ路線は、徹底的に改めることが必要です。

 来年度予算案を抜本的に組み替え、雇用を守り、社会保障を抑制から拡充に切り替え、中小企業、農業、税制のあらゆる面で内需主導の経済体質へ、根本的な転換を図ることが求められます。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp